先日参加したとある会合で、沖縄の琉球大学の益崎先生のセミナーを聴く機会がありました。
京都大学の代謝内科グループ出身の益崎先生は現在、琉球大学でメタボリックシンドロームの治療と研究に様々な取り組みをされています。
(最近の二つの記事、「インスリン分泌能」と「沖縄のメタボ」についてもそのお話からインプレッションを受けて書いたものです。)
益崎先生の話は多岐にわたり、すべてをフォローしきれなかったので、印象的なものしか覚えていません。
(一番印象的だったのは「低糖質は危険で低脂肪が正しい」というお話、日本糖尿病学会の指針にのっとった古典派の先生だったという部分でしたが、それはさておき)
特に面白いなと思ったのがダイエットコーラなどに使われている人工甘味料が大変危険な影響を脳に与えているということです。
甘味を感じる天然の物質のほとんどは「砂糖」「果糖」「麦芽糖」などの植物から得られる糖質です。
中には「ステビア」や「羅漢果エキス」のような糖質以外で甘みを感じる物質もありますが、割高なこともあってそれほど普及していません。
それと入れ替わって普及しているのが人工甘味料です。
アスパルテームなどですね、カロリーゼロ系の清涼飲料やお菓子に使われているものはほとんどがそれです。
これらの多くは「燃やせばカロリーがあるのだけれども、動物の体にはそれを効率よく栄養として利用する仕組みがない」という代物で、石油化学技術で開発されたものが多いのです。
本来、天然には存在しなかったものだけれども、甘味を感じるし、エネルギーとして体内に取り込まれる量はわずか、もしくはゼロである、という点が注目されてダイエット甘味料として普及しています。
これらに関して、体には特に害がないものとして売り出されてきたのですが、実は有害であることが益崎先生の研究で証明されました。
人工甘味料を子供のころから摂取し続けると、脂質を好む食嗜好に変わるかもしれないというものです。
脳につながる血管には、「脳血液関門」というものが存在します。
この関門は、高分子の物質が脳に到達しないようにしていて、脳が有害物質に刺激を受けることを回避しています。
アスパルテームなどの人工甘味料の多くはこの関門を通過しないらしいのですが、それは脳血流関門が完成した大人での話。
脳が発達途中にある、離乳後数週間のラットに人工甘味料入りの飲み物を毎日与えると、そのラットは大人になってから高脂肪食を極めて好んで食べるようになるというのです。
その時期に人工甘味料を飲ませるとどうやら脳の中に人工甘味料が入っていき、食欲中枢を含むいくつかの脳神経系の発達が影響を受けるというのですね。
メカニズム的には「小胞体ストレス」というもので、複雑な分子構造のタンパク質が細胞で作製されて分泌される過程の輸送経路できちんと折りたたまれた立体構造をとれないことにより、その輸送経路がやられてしまうというものです。
人工甘味料には神経細胞にこの小胞体ストレスを誘導する作用があるというのです。
結果として、高脂肪食大好きになったラット君たちは、高脂肪食を自由に食べれるような環境にしてやると非常に積極的にそれを食べて、どんどん肥満していくというのです。
元々、ラットは高脂肪食が好きではあるのですが、それでも脂肪を食べすぎるとフィードバックがかかって食欲が抑えられるのですが、どうやらそのブレーキが甘くなってしまうらしいのですね。
これ、人間でどうなのか?
ラットで行うような実験はできませんからまだわかりません。
ですが、脳の発達が盛んな10歳ぐらいまでは、合成甘味料は避けておいた方が好ましいように思えます。
また、妊娠している女性や授乳中の女性も、人工甘味料を大量に摂取するのは避けておいた方が良いように思われます。
そして、人工甘味料を世界で最もたくさん使う国アメリカが、世界で最も肥満率が高い、これも厳然たる事実です。
ダイエットコーラを飲みながら、糖質と脂質の塊であるピザのLサイズを食べる。
知らず知らずにとんでもないことを我々はやっているのかもしれませんね。
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