受診者は思ったより少なくて暇な外来ですが、それなりに結果は出ています。
半年~8か月程度で4kg~10kg減った人たちがそこそこいます。
血糖値だけでなく肝機能や中性脂肪も改善し、血圧も下がってきた人たちがいて、まずまずです。
おめでとうございます、みなさん。
その一方で、うまく痩せることができずに途中で受診しに来なくなった方々も少なからずいらっしゃいます。
なんでうまく痩せることができなかったのかというと
「こちらが伝えたとおりに行動してくれない」
これがほとんどです。
私の外来、基本的には、食事をきっちりレコーディングしてきてもらって、それを見てなぜ太るのかについて個別に検討し、食べ方を変えるように説明するのです。
最初の受診の時には健康診断よりも多めの項目について血液検査しますし、内臓脂肪と皮下脂肪のCT検査も行います。
それらに基づいて、その方がどのように食事を変えていけばいいかを説明させていただいています。
(つまり、データによって私からの食事の指導は変わりますし、改善すべき疾患があれば投薬する場合もあります。)
みなさん、やる気満々で受診されます。
検査結果について説明し、ここにこういう問題があるからこう改善しましょう、という説明までは聞かれます。
で、具体的な食べ方の説明をすると、いくつかの反応があります。
1.はい、それでともかくやってみます。
・・・この人たちはほぼ成功します
2.自信ないけど、できる範囲でやってみます。
・・・この人たちもスローペースながら改善することが多いです。
3.食べ方を治すよりわたし、運動して痩せたいんですけど
・・・それなら来るところが違います、スポーツジムでがんばってください
4.食べ方は変えずに痩せる薬とかないんですか?
・・・痩せる薬を出す自由診療のクリニックに行ってください。
5.そんなこと知ってる、テレビで聞いたのと同じだ。もっとほかの方法を教えてよ。
・・・教えてもやらないでしょ。
6.俺はやる気になれば自分でダイエットできるからそんなめんどくさい食べ方はしない。
・・・そう?で、それをいつか見せてくれるの?
私は、あなたが今どういう健康状態にあって、あなたの食事のどの辺に問題があって太るのかについての解説はします。
だからこういう食事にしましょうという説明もします。
この食餌にすれば生活習慣病になる可能性はかなり低くなります、ともお伝えします。
でも、
「俺の要望する食事方法で痩せさせろ。」
とか、
「やせさせることができるもんならやってみろ。」
とか、
「仕事や付き合いの関係上、今まで通りの食べ方で食べます。」
とかおっしゃる方々をやせさせる努力までは私、しません。
自分の体、自分の健康だからね、どうするかは自由です。
外来に来る気がなくなるのも仕方ないといえば仕方ない。
動くのはあなた自身です、わたしではありません
でもね、一つだけ書いておくと、
通院していてもなかなか痩せない、食べ方を変えられないという人が長く長く通院しているうちに、いつの間にか食べ方を変えるのが苦ではなくなり、気が付くとやせ始めている!
というケースもあります。
とりあえず、通院することは続けていると、その日が来る、かもしれませんよ。
]]>http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat36/post_281.html
こちらで、一般内科とは別に肥満外来を開設します。
毎週金曜日 午後2時から午後4時です。
ブログの読者さんによっては、時間が合うのならこちらに来ていただく方が目的に適うかもしれません。
こちらは比較的早くに完成します。
次にホルモンのスイッチです。
胎盤のホルモン産生は自らhCGと呼ばれるホルモンを大量に出して妊娠が継続するように母親の内分泌系(視床下部-下垂体系など)をコントロールします、これのピークが8~10週前後で、20週前後には低下し、そこからは維持量として出続けます。
また、胎盤からのプラセンタルラクトーゲン(hPL)やプロラクチンといったペプチドホルモンの放出は徐々に上がっていきますが、hPLの数値が急増するのが16週くらいからです。
このhPLは主に母体に働きかけて脂肪酸の分解を促進し、母親の脂質代謝を亢進します。
ですが、妊娠初期の胎盤(ホルモン環境)が形成されつつある時期までは、受精卵となった卵子が放出された後に形成される妊娠黄体と呼ばれる卵巣の組織が重要な役割を果たします。
卵巣黄体が6~8週ごろまでは活発に働いて、やはり妊娠を維持するために母親の内分泌系をコントロールします。
また、胎盤のホルモン産生が本当に安定するのは妊娠17~20週ごろなので、内分泌的に言えば妊娠17週ぐらいまでは妊娠初期とも言えるでしょう。
hCG, hPL, PRL の構造,生理作用,分泌調節およびその意義
http://www.jsog.or.jp/PDF/52/5203-031.pdf
このように、妊娠初期の「妊娠黄体がホルモン制御の主体」の時期から、妊娠中期以降の「胎盤がホルモン制御の主体」の時期に切り替わるまでの時期に主につわりが発生します。
実際に多くの方が妊娠12週ぐらいまでつわりに苦しみ、長い人は17~20週ぐらいまでけっこう症状を引きずりますよね。
ホルモン制御が不安定なこの時期に、なぜつわりの症状が出るのでしょうか?
そして、なぜ、つわりが発症する必要があるのでしょうか?
妊娠の継続に有利に働くなにかがあるからとしか考えられませんよね。
そうでなければただ気分が悪くなって何も食べられなくなるのって、妊娠維持にとってはマイナスであるとしか考えられません。
<つわりの症状はインスリン抵抗性の上昇に伴う反応性低血糖かもしれない>
妊娠中の摂食に関連するホルモンの変化で有名なのは、インスリン抵抗性が上がるということです。
具体的には、(少なくとも糖質を普通に摂取している妊婦では)空腹時血糖値が低下し、食後高血糖が下がりにくくなります。
インスリンの分泌量はむしろ上がっていることが多く、すなわち、妊婦の末梢組織でのインスリンの効きが悪くなっている状態を表しています。
これは内臓脂肪が増えるタイプの耐糖能異常の方や2型糖尿病の方と似ていますね。
このために、妊娠初期には以下のようなことが起こっているのかもしれません。
1.妊娠前と同じように糖質を食べる
2.インスリン抵抗性が上がっていてインスリンの効きが悪く、食後血糖値がなかなか下がらない
3.インスリンの追加分泌が長く続く、結果的に逆に反応性低血糖が起こる。
4.反応性低血糖がしばらく続くと、何も食べていなくてもグリコーゲン分解や糖新生で血糖値が上がる(これが寝ていて起きるちょっと前に発生すれば暁現象)
5.何も食べないのに上がってきた血糖値を下げるためにインスリン分泌がまた追加される
6.それほど高血糖ではなかったのにインスリン分泌が多いので、また血糖値が必要以上に下がる
7.下がった血糖値を上げたくなるので、妊娠前と同じように糖質を食べる
→2.に戻る
そう、機能性低血糖と同じ状態です。
妊娠悪阻の状態と機能性低血糖の患者さんの主訴とはかなり重なる部分があるように思います。
一部の妊婦さんには「食べづわり」というのがありますよね。
つわりのころに、気持ちの悪い症状を抑えるためにひたすら食べる。
食べたら血糖が上がるのでよくなる、でもしばらくしたらまた低血糖になって気持ち悪くなるから食べる。
ということでつわりで太ってしまう妊婦さん。
つわりの本態が
「制御不能な反復する低血糖である」
と考えれば、食べづわりという形があるのも納得できます。
<どうして妊娠したらインスリン抵抗性が上がる必要があるのか?>
このようにインスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性が上がる)ことの必然性に関して、従来の「妊娠の生理学」の教科書的な推測は
「胎児の組織に十分にブドウ糖を送りこむために母親の体はブドウ糖を使えないようになるのだろう。」
でした。
これは単なる推測であり、何の証明もされていません(私の知る限りでは)。
一方、妊娠中は次第に血中遊離脂肪酸の濃度が上がることや、妊娠後半にコレステロール値がとても高くなることも以前からよく知られています。
このことから、
「妊娠中、特に後半は妊婦はブドウ糖ではなくて脂肪酸を主なエネルギーとして利用するのであろう」
と推測されていました。
不思議なことに、母体はそのように糖から脂質へのエネルギー源のシフトが起こることが認められている一方で、
「胎児の栄養源は妊娠中、終始一貫してブドウ糖であるに違いない。」
と、ずっと推測されていました。
ずっとそのように信じてこられていたようです。
この理由はさっぱりわかりませんが、妊娠に関する生理学の教科書に書かれていることはこうです。
「母親は脂質代謝がメインにシフトするけど、胎児は糖質代謝が大事でずっと変わらないんだよ。エビデンスはないけどたぶんそう。」
・・・変でしょ?
同じ一人の人間の中で親子で使っている栄養素が異なるってなんでそう思うの?
なんのエビデンスもないのに、決めつけられてる。
ほんとうは、妊娠中は母親も胎児も脂質代謝の方がメインになるんじゃないの?
もしも母親も胎児もともに糖質代謝は抑え込まれて、脂質代謝がメインになるのであれば、話はぐっと簡単になります。
それが特に強く働きかけられるのが妊娠12週ぐらいまでだと考えるとリーズナブルです。
<妊娠初期の母親の食欲を抑え込んでケトン体エンジンを動かすことがつわりの目的?>
つわりのときにはともかく食べれなくなる人が多いですよね。
食べづわりという特殊なケース以外では、多くの方が軽い吐き気を感じて、摂食量が減ります。
そして母親がつわりで何日も何も食べれなくても、ほとんどの場合、妊娠初期のあかちゃんの成長は止まりません。
それもそのはず、実際に赤ちゃんはブドウ糖ではなく、脂質で育っているからです。
正確に言えば、母親の肝臓で作り出されるケトン体で育っていると推測されるからです。
宗田マタニティクリニックの宗田先生の研究では、妊娠初期の絨毛組織や胎児組織では組織間ケトン体値がとても高いことが確認されています。
出産時においても臍帯血や胎盤組織のケトン体値は非常に高いのです。
これは糖質制限している妊婦さんたちだけではなくて通常食、糖質60%の食事をしていた方たちでも同様です。
つまり、妊娠初期から出産に至るまで、胎児や胎盤にとってもっとも大事なエネルギー代謝システムは脂質(ケトン体)代謝なのです。
母親同様に、胎児も胎盤も脂質代謝でエネルギーを得る生き物なのです。
であるならば、妊娠初期のつわり、意味があります。
ケトン体の産生量が上がるのはどういうときでしょうか?
食事から糖質を摂取しない状態が長く続くとき、絶食状態が続くときです。
食欲不振で間歇的ファステイング状態に陥った母体は、インスリン分泌量も減り、ケトン体産生が亢進します。
これがある程度続いて、食事による血糖上昇がなければ、インスリンの追加分泌は起こりませんから、ケトン体産生も抑え込まれることがありません。
ケトジェニックな状態が維持されて、ケトン体エンジンが回ることが期待できます。
妊娠初期に、胎児の発育のために非常に重要な栄養素であるケトン体産生を増やすために、つわりは発生しているのです。
絶食して、母親の体に蓄えた体脂肪をエネルギーにしてケトン体エンジンを回すために、妊娠悪阻が発生するのです。
それを積極的に制御するのは胎盤ではなくて、胎盤の完成までの妊婦の内分泌系を制御する妊娠黄体だと思われます。
胎盤が完成してしまえばもう、強力なケトン体産生装置である胎盤によって胎児は守られますから安心です。
それまで、妊娠黄体は胎児を守るために必死で「つわりになる指令」を出し続けているのです。
(時期的に言えば妊娠8~10週が産生のピークになる胎盤から出るhCGの方がその指令を出しているのかもしれませんが。)
<人間を含む哺乳類のメスの体が丸みを帯びるのは胎児を育てる体脂肪を蓄えるため>
こう考えてみると、男性と異なり、女性の体が丸みを帯びるのにも十分に意味がありますね。
女性は卵巣ホルモンの働きで皮下脂肪が非常に蓄えられやすく、内臓脂肪はつきにくいことがよく知られています。
男性は若いころから内臓脂肪がついて太鼓腹になりやすいのですが、女性は生理がある間は内臓脂肪はつきにくいですよね。
もっぱら皮下脂肪がついてしもぶくれになりやすいです。
CTで検査すると、皮下脂肪はものすごくたくさんついているのに内臓脂肪は全く正常値という20代~40代の肥満の女性は多いです。
この女性の皮下脂肪、妊娠中の胎児を育てるためについてたんです。
体脂肪はケトン体を生みだす大事な貯蔵燃料です。
妊娠初期からずっと、ケトン体代謝で胎児を育て続けるために、女性は皮下脂肪をあれだけたくさん蓄えるのです。
逆に内臓脂肪がつかないのは、お腹の中は胎児を育てるスペースを空けて置かなければならないからです。
ホルモン制御により体脂肪のつく場所がコントロールされるのもリーズナブルです。
良くできていますよね。
でも、どうして胎児を育てるのに食物から得る糖質エネルギーではなくて体脂肪から得るケトン体エネルギーを重視するのか?
言うまでもありません、食料が手に入らなくてもエネルギー供給が安定するからです。
現代と違って、ほんの数百年前まで人類の毎日は飢えとの戦いでした、狩猟採集生活のころには何日も獲物が手に入らないことは当然予測すべき事態でした。
しかし母親の体脂肪を燃料にして胎児を育てるのであれば、大事な大事な胎児の初期発生の時期にエネルギー不足で胎児発育がうまくいかない危険を回避できます。
(つわりの妊婦さんの胎児発育を超音波で見ていて実感します。重症のつわりで何日もなにも食べれなくても妊娠初期の赤ちゃんたちはすくすく育ちます。)
これは人間だけではないですよね。
哺乳類のメスはどの種も皮下脂肪が多く、丸みを帯びた優しい体つきをしています。
おそらくすべての哺乳類のメスが、妊娠中は胎児を育てるためにケトン体エンジンを優先する、その備えとして皮下脂肪がつくのです。
そのことを哺乳類のオスの脳もよく知っているから、皮下脂肪のたっぷりついた丸くてふくよかなメスを生殖相手として好むのです。
痩せて体調の悪そうなメスには興味を示しません。
まあるいお尻の後をついていきます。
(痩せてても健康そうでお好みのタイプなら話はまた別ですねw)
<妊娠悪阻や機能性低血糖のあるなしの差はどうして生まれるのか?>
こうしてみてくると、つわり(妊娠悪阻)の不快な症状は、機能性低血糖と同じメカニズム、反復する低血糖で発生する病態であると思われます。
妊娠とともにインスリン抵抗性が上がり、ケトン体エンジンをメインで動かすようにホルモンでコントロールされるので低血糖に陥るのです。
でも、吐き気を催し、何日も食事がのどを通らないようなひどいつわりを経験するのは一部の人たちだけです。
つわりなんてほとんどなかったわよ、と、ケロッとしている人たちもたくさんいます。
どうしてそのような違いが出てくるのでしょうか?
それはおそらく、妊娠前のエネルギー代謝の状態が違っていたためだと思います。
(生まれつきの体質、つまり持っている遺伝子配列の差もありえます。)
妊娠前から糖質エンジンだけで生活していたような人は、妊娠とともに始まるケトン体エンジンのシステムに体がついていけないのです。
たとえば菓子パン、カップ麺&スナック菓子で生きていた女性たちですね。
(たんぱく質と鉄が不足していてミトコンドリアがうまく回りません)
糖代謝からケトン体代謝にうまく切り替えることができずに、糖新生もうまくできません、激しい低血糖やエネルギー不足で体調を崩し、嘔吐し、寝込んでしまいます。
ですが、妊娠前から糖質エンジンもケトン体エンジンも両方回していた人の場合、あるいは回していなくてもいつでもケトン体エンジンを回せる準備が整っていた人の場合、妊娠に伴うケトン体エンジンへの移行も楽にできます。
(たとえば糖質も食べるが脂質・たんぱく質と鉄分も毎日十分食べていた女性)
もともとハイブリッドエンジンを無意識にときどき回していたので、つわりはケトン代謝に切り替わるまでの軽い症状で乗り切ることができるはずです。
そしてラッキーなのは妊娠前から糖質制限をしてケトジェニックに体が適応している人の場合、
(ケトジェニックな食事で快適な毎日を送っていた方の場合)
最初からケトジェニックなので、つわりはごく軽く済む可能性が高いと思われます。
<妊娠悪阻(つわり)と機能性低血糖は似ている>
機能性低血糖も同じことかと推測されます。
機能性低血糖の方では、インスリン分泌制御が変調しているので、血糖を下げるべきと気にインスリンが分泌されにくい、あるいは作用しにくくて、逆にもう十分に血糖が下がっているのにインスリンが分泌されたりします、その一方で糖新生の能力は低かったりします。
このために血糖値が乱高下して低血糖の時に吐き気や気分不快などの激しい低血糖症状にさいなまれます。
機能性低血糖の方の治療としても糖質制限食は有効であることが知られています。
一般的な現代人のように精製糖質を大量に食べるような食事を避けることで、少なくとも食後高血糖は避けることができます。
これは機能性低血糖の症状を軽くしてくれます。
さらに、高たんぱくで、かつ鉄を十分に食べることができていれば、ミトコンドリアやその後の電子伝達系が快調に動きます。
仮に糖代謝が狂って血糖値が乱高下するような体質であっても、絶食時にスムースにケトン体が産生されます。
ケトン体エンジンがまわってくれますので、エネルギー不足にならずに低血糖もそれによる症状も軽く済みます。
でも、菓子パンとカップ麺ばかり食べて暮らしていると、ブドウ糖エンジンしか回せません。
糖代謝が乱れると血糖値の乱高下に振り回され、それを補うケトン体エンジンも回せないので完全なエネルギー不足に陥り、倒れるしかなくなります。
<結論:妊娠する前に高糖質食をやめてたんぱく質と鉄分をしっかり摂りましょう>
で、結論です。
つわり(妊娠悪阻)は妊婦さんの体が妊娠とともにケトン体エンジンにきり替わるために必要な体の反応です。
糖質摂取を控えて、さらには短期間ですが食欲を抑えて絶食することでケトン体エンジンを回そうとする結果、引き起こされる反応なのです。
すべての哺乳類のメスが、妊娠とともにケトン体エンジンをフル回転するようにホルモン制御でスイッチするのです。
(野生動物の多くは常時ケトン体エンジンが回っていると思いますが)
それであるならば、対処方法はわかりますよね。
妊娠前から、必要となればいつでもケトン体エンジンを回せる体になっておくのが大切なのです。
「スーパー糖質制限の継続なんてあたし絶対無理~~!」
という人は、別に厳しい糖質制限を継続しなくてかまいません。
MEC食でいいですし、山田悟先生のロカボでもいいです。
たんぱく質と鉄分をたっぷり取り、その分、精製炭水化物の摂取は控えめにすることだけは、妊娠前から心がけておいてください。
そうすることで、必要となればいつでもケトジェニックに切り替えられる体の準備ができています。
妊娠悪阻は軽いもので済ませられるはずです。
以上の話についてはダイジェスト版をHealthPressのサイトに上げさせていただきました、字数制限の関係上、言葉足らずになっていますが、私のこの記事と両方読んでいただけますと幸いです。
妊娠中でも糖質制限して大丈夫?「つわり」のメカニズムと糖質制限の安全性
http://healthpress.jp/2018/01/post-3450.html
<追記>
蛇足になりますが、絶対に疑問に思われる人、私はここに書いてあるどれにも該当しない、カルピンチョ先生の嘘つき!と主張される方がいると思うので最後に書きます。
いくら食事を正しく行っても、体質的にケトジェニックな生活が合わない人はある程度確実に存在すると思います。
妊娠前はケトジェニックで快適に過ごしていても、妊娠したらつわりの症状でひどく苦しむ人も理論的には発生します。
糖質過剰の現代でなら穏やかに過ごせていても、低糖質の食事には体がついていけない方も絶対に一定数存在すると思うのです。
そういう場合は、つわりでも機能性低血糖でも、遠慮せずに医療機関に相談してください。
「食事さえ正しくすればやがてなんでも必ず改善する、それまではひたすら我慢だ!」などと思いこんで自分を追いこむ必要はありません。
自分はどうもうまくいかないなと思ったら、医療関係者を頼ってください。
もちろん、糖質制限やケトン食のことを正しく理解している医療機関であることが大前提なのですけれども。
<追記もうひとつ>
胎盤の産生するホルモンの産生ピークの時期について、私の記憶が不確かで間違っていたので訂正しました。
参考文献も文中に提示しています。
(時期の訂正のある項目は黄色のハイライトをかけています。)
hCGの産生は受精後早くからで、血中濃度のピークは妊娠8~10週、底値は妊娠20週、以降は一定。
hPLの産生は妊娠16週ごろから急増し、妊娠末期にプラトーに達します。
となると、時期的に見てhCG高値がもっともつわりとは関連性が高い、逆にhPLが上がってくるとつわりが消える人が多い、ということになりますね。
hCGの受容体の発現組織を見ると以下のようになっております。
副腎や膵臓のランゲルハンス島にも作用するようです。
興味深いです。
失礼いたしました。
]]>左がカルピンチョ
しかもカルピンチョだけぐいぐい上がる!
こっそり砂糖を入れたわけでもないのにばんばん上がる!!
なんでだ~!!!
ってパニクってたら、ブランコさんの血糖値も上昇し始めました。
これまた上がり始めるとすごい勢い。
二人ともに甘いジュースでも飲んだかのような上がり方です。
最終的にはこんな変化です。
これはブランコさんが左側、カルピンチョが右側です。
ブランコさんの場合、豚骨ラーメン摂取後の血糖値は200を超える時間が長く続いたせいか、最初はコーヒーによる上昇は見えませんでした。
しかしラーメンの山が下るところで小さな山がぴょこっと出てますよね。
それがブラックコーヒーを飲んだ後の山です。
カルピンチョは、ラーメン後の山がほとんど下がりかけたところでコーヒーを飲んだとたんに急上昇。
ラーメンを食べた後の山と変わらないぐらいに高い山が出てしまいました。
というか、カルピンチョの場合、ラーメンの食後最高血糖値よりもブラックコーヒーの食後最高血糖値の方が高かったです。
なんなんだこれは?
ということで、コーヒーと血糖値について調べてみました。
最後に関連商品が紹介されているブログ記事でこういう内容がありました。
~食後のコーヒーは血糖値を上げる~
コーヒーはカフェインを含むので、カフェインが副腎を刺激してアドレナリンを放出する可能性があります。
アドレナリンが血中にたくさん出るとインスリンの分泌を抑制し、血糖値が上がることが知られています。
結果として、食後にコーヒーを摂取するとインスリンの分泌が阻害され、血糖値が上昇する可能性があります。
あ~なるほど。
ということはつまり、
ブランコさんに比べるとカルピンチョの方がラーメン食べた後のインスリン分泌量が多くて、それをコーヒーでブロックしたから今度はカルピンチョの血糖値がハイスピードで爆上がりし始めた。
ということになるわけですね。
ふむふむ、よくわかります。
ということは、食後(特に普通に糖質食後)にコーヒーを飲む習慣のある人では、予想外に食後高血糖が誘発されているかもしれないということですね。
<食後のコーヒーで上がる血糖値が肉の適量を教えてくれる?>
これに関連して、別な日のリブレ観察を思いだしました。
カルピンチョは職場のそばのいきなりステーキでランチを食べることがしばしばあります。
300gかそれ以下の肉と付け合わせのブロッコリーだけをウーロン茶とともにいただきます。
(間違えてコーンが出てきても食べません)
そしてその後はスタバでコーヒーのトールを一杯。
基本的にはステーキの食前からコーヒーの食後2時間まで血糖値はほとんど動きません。
ところがある日、大きめにカットされた肉の脂身があまりにおいしそうだったので、414gのリブロースステーキを食べてしまいました。
その後、血糖値は上がらないだろうと思っていたら、コーヒーを飲みだしてしばらくしたら急上昇でした。
20mg/dl程度の上昇なので、なんだろうなと思いつつ、放置でしたが、ここにもインスリン分泌が噛んでいるとしたら?
仮説はこうです。
ある程度以上の量の脂身肉を一度に食べると、消化管の膨満によりインクレチンの分泌が亢進する、それも特にGIPの分泌が亢進することによりグルカゴンとインスリンの両方が膵臓から分泌される。
インスリンの効果で血糖値上昇は抑制されているものの、このときにコーヒーを飲むと、インスリンの分泌が抑制されるので、グルカゴンの効果だけが勝って血糖値が上昇してくるのかもしれない。
ということは、やはり400gのステーキ肉は多すぎるんですね(食べる前にわかれよそのぐらい^^;)。
ってことで、現在はいきなりステーキでお肉を食べるときには300g以下にしています。
サーロインを250~280gぐらいが適量かな、美味しいです♪
ちなみに、この記事のステーキ肉の量とコーヒーの関係は推測ですし、症例数もn=1ですので、俺はそんなことないぞ!などのご意見お待ちしております。
<コーヒーでインスリン分泌を抑えることは体に悪い?良い?>
ひとつだけ、書いておきたいポイントがあります。
観察結果から、糖質食後、血糖値が下がりかけているときにコーヒーを飲むと再び血糖値が上がってしまう、それはおそらくインスリン分泌を抑えるからではないかと思われます。
・・・それは体にとって悪いことなのでしょうか?
これ、わからないです、むしろよいことである可能性もあります。
というのも、糖尿病合併症である血管の病気を誘発する原因の一つはインスリンの作用が過剰に働くことにある、とする考え方があるからです。
インスリン製剤の長期間の注射や、インスリン分泌を促す薬の長期間の常用が糖尿病合併症を生みだす。
つまり、血糖値はインスリンに頼って下げすぎないのがよい。
だとすれば、
過剰な糖質摂取後のコーヒーでインスリンの作用が阻害されるのは悪いことではないのではないか?
とも考えられますよね。
多すぎない糖質摂取に対する適度な量のインスリン分泌が阻害されるとしたら体にとってはよくないことかもしれませんけど。
食後のコーヒーがあかんやつなのかどうかの結論は先送りです。
気になる人はデカフェのコーヒーにしてしまいましょう。
もちろん、基本的には、インスリンがドバドバ出るような糖質の多い食事をしなければ、つまり低糖質食や、適量の肉を食べていればインスリンはたいして追加分泌されません。
その場合、コーヒーを飲もうが飲むまいが問題にする必要はないはずです。
カルピンチョはラーメンマンだった
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat35/post_275.html
大倉山で豚骨ラーメンを食べた翌日は、姫路のフレンチレストランでランチしました。
姫路に行った理由は秀吉展が兵庫県立歴史博物館で開催されていたからです。
これがねえ、もう歴史マニアは垂涎の内容なんですが・・・語るのやめておきます。
食事と血糖値の話に進みましょうねえ。
GINJYO
https://tabelog.com/hyogo/A2805/A280501/28028677/
西二階町49にある「GINJYO」(ギンジョウ)という名前で、日本酒の蔵元さん(灘菊酒造さん)直営のフレンチです。
ランチは1種類のみで、1000円台のリーズナブルなお値段。
なによりも、昼から美味しい吟醸酒が飲める!
ということでカルピンチョがそこを選んだのをブランコさんは知りません(入ってみてやられた~と言ってましたw)。
スタート時点での血糖値はこんなものです、朝からぺったんこな右側がカルピンチョです。
糖質高そうなポタージュ、フランスパン、お酒もしっかりからスタート、ぜんぜん低糖質ではありません。
ランチはいろんなものが盛りだくさんのプチコースになっていて、茹でたシンプルなエビがとてもおいしかったです。
芋の天ぷらなど、血糖の上がりそうな素材もけっこうはいってるし、
なぜか明太子パスタも出てくる、
これでは和風イタリアンではないですか?
ま、いっか、美味しかったから。
(カルピンチョは美味しいお水も150mlほどいただきました。)
鰆の西京漬の焼きものは低糖質でした。
そしてデザート
で、けっきょくの血糖値なんですが、カルピンチョだけ上がる上がる。
すごい勢いで血糖値が上がっていきます。
飲んだお酒は辛口なのであまり上がらないはずだったのです。
お酒の効果があったにせよ、私だけハイペースで血糖が上昇するのが解せません。
フランスパンもたくさん食べましたけど・・・
昨日の豚骨ラーメンの結果と全く逆です。
そんなはずはない~!
と、思いましたが、お酒も入ってランチもおいしかったし、秀吉の資料がたくさん見れるからま、いっか。←すっかりよっぱらい
・・・そういう問題ではなく!
食後しばらく、博物館に向けて歩いているとブランコさんの血糖値も上がってきましたが、すぐに下がってしまいました。
それに対して私の血糖値はだらだらと高いままなのです。
姫路城が遠くに見えていい天気なのに、何か心が晴れません。。。
ということで、
「カルピンチョはラーメンに適応していて、私はフレンチに適応しているのね、ふふふ。」
と、勝ち誇ったように言われてしまいました。(*´Д`)
なんか納得がいかないカルピンチョ。
これは辛口とはいえ、糖質がある程度は含まれているはずの純米吟醸の日本酒をカルピンチョがほとんど飲んだからだ、日本酒のせいだ!
フレンチのランチがカルピンチョに向いていないからではない!
・・・はずだ!!
ということで、次はお酒抜きでランチの食後血糖値勝負をブランコさんに挑んだのであります。
続きは次の記事で(まだ続くんかい!^^;)
この驚くべき数値の違いを見よ!
そのほかの食事をしたときにはカルピンチョの方が血糖は長時間にわたって高かったので、耐糖能が低いのはカルピンチョの方だと思っていたのですが、
豚骨ラーメン耐性はカルピンチョの方がはるかに高い!(;^ω^)
熊本生まれ育ちのカルピンチョにとって、豚骨ラーメンはやはりソウルフードであった!!
ということで、これは次なる検証実験に続くのでありました。
あ、いや、糖質を食べたいんじゃないんですよ、実験ですよ、実験。
むふ。(#^.^#)
<妊娠糖尿病とは>
妊娠糖尿病というのは妊娠中だけに出現する糖尿病のような状態であり、妊娠中に初めて発見された場合を指します。
妊娠初期に随時血糖(空腹時ではなくてよいです)を計測し、高いときにはブドウ糖負荷試験をして診断します。
妊娠初期に陰性であった人も、妊娠中期(24~28週)にもう一度スクリーニングを行います。
妊娠糖尿病の方が何も対処しないで現代の食生活を続ける場合、妊娠中の体重増加と胎児の巨大化を招くことがあります。
そこで、妊娠糖尿病と診断された場合、食事指導が行われますが、一般的にはカロリー制限だけで糖質は60%以上摂取するように言われます(一般的な産婦人科・内科)。
残念ながら、この食餌療法では多くの方で妊娠糖尿病は改善しないので、さらに厳しいカロリー制限になることがあります。
それは間違った食事指導であると私は思います。
(このことに関しては後述)
<妊娠前に低糖質(総カロリーの40%前後)摂取で動物性のたんぱく質・脂質を主に取っている人は妊娠糖尿病になりやすい>
さて、論文紹介、タイトルは以下です。
Prepregnancy low-carbohydrate dietary pattern and risk of gestational diabetes mellitus: a prospective cohort study.
Bao W, Bowers K, Tobias DK, Olsen SF, Chavarro J, Vaag A, Kiely M, Zhang C.
Am J Clin Nutr. 2014 Jun;99(6):1378-84.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24717341
妊娠前の低糖質の食事パターンと妊娠糖尿病のリスク;前向きコホート研究
以下は要旨。
Google翻訳に私がちょっとだけ手を加えたものです。
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バックグラウンド:
低炭水化物ダイエット(LCD)は、体重減少のために非常に普及している。
低炭水化物の食事パターンと妊娠糖尿病(GDM)のリスクとの間の関連性は未知のままである。
目的:
我々は、3つの妊娠低炭水化物の食事パターンとGDMのリスクとの関連を展望的に検討することを目指した。
実験デザイン:
看護師の健康調査IIに含まれている21,411の単子妊娠について、LCDスコアはを食品頻度のアンケートから計算し、検証しました、以下を含みます。
炭水化物、総タンパク質、および総脂肪の摂取量に基づく全体的なLCDスコア;
炭水化物、動物性タンパク質および動物性脂肪の摂取量に基づく動物のLCDスコア;
炭水化物、植物性タンパク質、および植物性脂肪の摂取量に基づく野菜のLCDスコア。
より高いスコアは、脂肪およびタンパク質のより高い摂取および炭水化物のより低い摂取を反映し、低炭水化物食パターンへのより密接な遵守を示しました。
RRおよび95%CIは、対数二項モデルを用いた一般化された推定式を用いて推定された。
結果:
我々は10年間のフォローアップ中に867件の妊娠糖尿病を記録した。最も低い四分位数との比較のためのGDMの多変数調整RR(95%CI)は、全般的なLCDスコア(P傾向= 0.03)については1.27(1.06,1.51)、動物のLCDスコアについては1.36(1.13,1.64) P-trend = 0.003)、野菜LCDスコア(P-trend = 0.08)については0.84(0.69,1.03)であった。
LCDスコアとGDMリスクとの間の関連性は、年齢、パリティ、糖尿病の家族歴、身体活動、または体重過剰状態によって有意に変化しなかった。
結論:
動物性食物源からのタンパク質および脂肪の高い妊娠中の低炭水化物の食事パターンは、GDMリスクと正の関連があるのに対し、植物性食物源からのタンパク質および脂肪の高い妊娠低炭水化物の食事パターンはリスクと関連していない。
低炭水化物の食事パターンに従う生殖年齢の女性は、GDMの危険性を最小限に抑えるために、タンパク質と脂肪の動物源ではなく野菜の消費を検討するかもしれません。
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この記事のイントロに書いた通りに、
アンケート調査によって21411件の妊娠(単子)前の食事内容を検討し、分類した。
カロリー比で高糖質群、中糖質群、やや低糖質群、低糖質群に分け、それぞれの脂肪やたんぱく質摂取内容について検討した。
低糖質群の妊婦が動物性のたんぱく質や脂質を多く摂取した場合のみに妊娠糖尿病の発生リスクが高くなった。しかし植物性のたんぱく質や脂質を多く摂取した場合にはリスクは高くなかった。
というものです。
低糖質食の場合、動物性のたんぱく質や脂質を摂取するよりも植物性のたんぱく質や脂質を摂取する方が安全だよ、ということが言いたいみたいですね。
ですが、論文をよく読むと以下のテーブルが出てきます。
全体をカロリー比で高糖質群(58.8%)、中糖質群(51.8%)、やや低糖質群(47.3%)低糖質群(41.6%)と分けた、となってます。
動物性のたんぱく質や脂質を摂取するグループは糖質摂取量の多い少ないを58.8%、52.1%、47.8%、42.1%の4群に分けられてますし、
植物性のたんぱく質や脂質を摂取するグループも糖質摂取量の多い少ないを54.6%、50.6%、48.5%、46.0%の4群に分けられてます
つまりこれは「糖質41.6~46.0%程度の食事をした場合、動物性脂肪やたんぱく質を食べるよりも植物性脂肪やたんぱく質を食べる方が妊娠糖尿病になりにくかったよ」というお話です。
糖質41.6~46.0%の食事が糖質制限、あるいは低糖質食だと思っている人はいないと思うんですが。。。
<正しい糖質制限の宗田クリニックでは妊娠糖尿病の患者さんが激減している>
妊娠糖尿病の治療としてカロリー制限だけが指導されて、糖質はたっぷり摂取するように言われている理由は、一般的な内科や産婦人科の医師や栄養士は、
「胎児の主要なエネルギーはブドウ糖であり、断じて胎児血中でケトン体が増えてはならない。」
と思いこんでいるためです。
しかし、産婦人科医の宗田哲男先生は自身が糖尿病を糖質制限であっさり治療した経験から、妊娠糖尿病も糖質制限すればよいと考えました。
実践したところ、妊婦さんの血糖値はすみやかに改善して、母親も健康だし、生まれてくる子供にも何の問題もありませんでした。
なにより、安産が増えました。
そして正常妊娠の母体血、臍帯血、胎盤、母乳栄養新生児などの血液を計測してみるとケトン体が高いことも確認され、論文報告されています。
Ketone body elevation in placenta, umbilical cord, newborn and mother in normal delivery
Tetsuo Muneta, Eri Kawaguchi, Yasushi Nagai, Momoyo Matsumoto, Koji Ebe,
Hiroko Watanabe, Hiroshi Bando
http://www.toukastress.jp/webj/article/2016/GS16-10.pdf
宗田マタニティクリニック( http://muneta.org/ )のように糖質制限の食事指導をしている産婦人科であれば、妊娠糖尿病と診断されても、母子ともに何の問題もなく出産に至るケースがほとんどです。
宗田哲男先生のフェイスブックのグループ( https://www.facebook.com/groups/ninshin/ )に参加されるとわかりますが、ここでは以下のごとくです。
「一度妊娠糖尿病になったら次の妊娠もまた高率に妊娠糖尿病になってしまうのが現在の治療ですが、実は糖質制限を知ってしまった当院の方は次には妊娠糖尿病ではなくなっています。」
妊娠糖尿病になった方が糖質制限をすると、出産後も糖質制限を継続される場合が多くて、その場合は次の妊娠時に妊娠糖尿病はほとんど出ないのです。
その宗田マタニティクリニックでの糖質制限は断じて糖質41.6~46.0%の食事ではありません。
糖質摂取量は20%以下でしょう。
動物性のたんぱく質や脂質もがっちり摂取しますが、問題ありません。
<能登先生の研究で、危険な糖質制限として指摘されたのは糖質摂取量37%の食生活>
覚えていらっしゃるでしょうか、新聞の一面を飾った能登先生の論文
「糖質制限すると生活習慣病が増え、死亡率が高まる」
というものでしたが、あの論文で「危険な糖質制限」として指摘していた糖質摂取率が37%です。
このブログでその論文について紹介したのはこちらの記事です。
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat31/5.html
この論文の内容をわかりやすくするために、ファストフードで比較して示したのがこちらですね。
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat6/post_159.html
ビッグマック+コカ・コーラのSサイズをマクドナルドで食べるとちょうど糖質37%ぐらいになります。
そういう食生活は生活習慣病を引き起こしやすい危険な食事である、ということになります。
現実としては、「ビッグマック+コカ・コーラのSサイズ」が糖質制限食だと思っている糖質制限実践者は皆無に近いと思います。
山田先生のロカボでさえも最大糖質摂取量は25%かそれ以下でしょう。
ですから糖質制限実践者からしたら、糖質摂取量37%の食事がよいか悪いかなんて、論じるまでもない馬鹿げた話だと思っていました。
<結論:40%前後の糖質摂取時は肉は食いすぎるな>
今回の妊婦さんの前向きコホート研究を見ると、能登先生のメタアナリシスも含めて、糖質40%前後の摂取の時の栄養バランスを考えることって、けっこう意味があるのかもしれないなと思います。
「37~42%の糖質摂取+主に動物性のたんぱく質や脂質の摂取」は重大な病気(冠動脈疾患や生活習慣病)を起こしやすいかもしれない
ということが示されているということですね。
中途半端に糖質摂取量を減らしたときに肉を積極的に食べるのはお勧めできない
ということになります。
これは晩ごはんだけ糖質抜きのような緩やかな糖質制限に取り組むときにぜひ注意してほしいポイントです。
糖質摂取量40%程度の食事の場合、肉ばかりではなくて、魚料理や豆腐料理主体の「地中海食風」や「和食風」のおかずを意識的に摂る方が安全かもしれない。
気にかけておきましょう。
もちろん、断糖肉食できる人には関係ないけど(笑)。
関連記事
マイルドな(中等度の)糖質制限で脂肪摂取が増えるとかえって危険
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat31/post_150.html
ちなみに、今回の記事は予定している別な記事の前ふりの記事だったりしますw
]]>江戸時代は江戸前寿司が発明された時代でもあります。
刺身を載せて酢で味付けした白米を食べるファストフード、白米が余った江戸の町ならではの発明品ですね。
これはヨーロッパにおける砂糖余りと似ています。
黒人奴隷をたくさん集めてきて南の島でプランテーションを経営して、最初は高級品だった砂糖が値崩れし砂糖商人たちは困ります。
目を付けたのが労働者です。
労働者に、紅茶に砂糖を入れて飲ませると、急速に上がる血糖値にドーパミンは出るわ筋肉のエネルギーは補給されるわで、ちょっとの休憩ですぐに働いてくれるようになります。
紅茶と結びつけて一般庶民に販路を広げることで、砂糖商人たちは大きな利益を安定して確保していくことができたのですね。
こうして紅茶やコーヒーに砂糖を入れて飲むという悪しき習慣が・・・だいぶ脱線してきたのでやめます(;^ω^)。
で、日本に話を戻します。
<5.明治から第二次大戦までの軍国日本を支えたエネルギーのひとつは確かに白米であった>
さて、白米に貨幣と同等の価値を持たせ、日本中で流通させたのは豊臣秀吉です。
それを確立させ、さらには貨幣価値の落ちた白米を「毎日消費すべき食材」として習慣づけたのは江戸時代の幕府であり、江戸の米商人たちだったと考えられます。
しかし、江戸時代にできた「一日三回白いご飯を食べる」習慣が根付いていたのは江戸を含む大都市だけの話です。
人口の八割が日本全土に散らばる農作業者であった江戸末期の日本では、以前として地方では米は年貢として納める貨幣のような農産物でした。
一般の農民が食べるものではありませんでした。
その間接的な証拠が、明治時代の富国強兵の政策の中で生み出された兵隊募集のキャッチコピーです。
「軍隊に入れば一日六合の白米が支給される。」
この殺し文句に九州や東北の農家の次男三男は飛びつきました。
白米は明治時代の初期にもなお、貨幣にひとしい威力を持っていたのです。
そして明治・大正・昭和と軍国主義の流れの中で、白米は日本軍の兵隊のパワーを支える大事な食料として重宝されます。
食べたら即エネルギーにできて疲労を回復できる糖質たっぷりの白米は、激しい兵役をこなす兵隊たちに最適の食べ物だったのです。
第二次大戦の時ですら、携行食の中心は白米で、一般国民が食糧難で雑草や芋を食べていても、兵隊たちには白米がたっぷり(補給路が途絶えなければ)支給されました。
日本軍が白兵戦に異様に強かったのは武士道の精神などもあったかもしれませんが、確かに白米という食料が戦闘行為に向いていたからだとも考えられます。
<6.平成時代の現代まで、秀吉の始めた白米の貨幣化は今なお続く>
第二次大戦以降、焦土からの復活を試みる日本は、農業の復活に必死になります。
戦国時代と同様に、まずは食料の確保が第一です、そのためにもっとも効率がよいのはやはり、稲作での米の確保です。
すべての職業の人たちが(おおむね)勤勉に働きましたが、農地法の改正によって自分たちの田んぼを手に入れ、自分の米を生産することができるようになった小作農家の人たちは、第二次大戦後にもっとも勤勉に働いた日本人たちの一つではないでしょうか。
アメリカからの援助物資に助けられながら、昭和30年代になると白米による食料自給が見えてきました。
それどころか、昭和40年代になるとコメ余りが問題になり始めます。
国の政策として米作りを奨励してきた農林省は困ってしまいますし、米を売買することを商売にしている人たちも困りますよね、江戸時代の米商人たちが困ったのと似てますね。
昭和50年代、官僚と一部の栄養学者との話し合いで、日本人が食べるべき食事の栄養バランスなるものが決められます。
「炭水化物60%、たんぱく質20%、脂質20%」
これは1980年当時の国民の平均摂取エネルギーバランスに倣っただけのもので、科学的根拠はありませんでした。
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat22/60.html
http://kinkiagri.or.jp/library/foods/nihongata-shokuseikatsu.htm
http://www.maff.go.jp/kyusyu/seiryuu/daizu/pdf/gijigaiyou_kityoukouen.pdf
国民全員に一日三食、炭水化物60%の食事を摂取させれば、勢い、米の消費は安定します。
江戸時代の幕府と米商人のお知恵拝借です。
しかし、第二次大戦後、欧米から入ってきた様々な食材を食べることを知った現代の日本国民は、そう簡単に算段通りには動きませんでした。
国民に白米をがっつり消費してもらわないと困る。
そのためにふりかざしたのが以下のようなキャッチフレーズですね。
「日本人は神代の時代からお米を食べて来た農耕民族なのだから、三度三度しっかり白米を食べないと体を壊します。」
というあれです、今でもこれをどうどうと言い張る方々がたくさんいます、科学的根拠は示してくださいませんが。
挙句の果てに、このようにもおっしゃいます。
「糖質制限なんかしたら体を壊す、糖尿病になりますよ。ご飯食べなきゃダメです。」
まあ、ここまでいくと無知さ加減が哀れとしか思えないのですが、、、
<まとめです>
・・・また脱線しかけました(;^ω^)。
まとめましょう。
0.信長は貨幣経済を軸に全国制覇を目指したが、流通量が少なくて挫折した。
1.白米の価値が上がったのは秀吉の時代からで、それは代替貨幣としての価値であった。
2.徳川幕府が白米を全国から江戸に集めて管理し、幕府の財力を支えた。
3.白米が余り始めた江戸時代から「白米を一日三回食べる」習慣が広まった。この習慣は労働者を働かせ続けるのを容易にし、為政者にとっては好都合であった。
4.軍国主義の日本の兵隊を支えたのは白米のエネルギーであったことは確かだ。この習慣は兵隊を戦わせ続けるのを容易にし、為政者にとっては好都合であった。
5.第二次大戦後の日本の復興を支えた産業の一つは白米作りであった。まずは食料の確保は正解である。
6.しかし頑張りすぎて白米、作り過ぎてしまったのと、食の多様化もあり、余った。
7.余剰米をなんとかしたい人たちが知恵を絞り、炭水化物60%摂取のキャンペーンをはって国民を洗脳することに努めた。
8.この一連の流れを知らない人が洗脳されたまま、「日本人は農耕民族だから白米食べなきゃ。」と未だに言いはっている。
と、戦国ものに興味を持つと、このような糖質を巡る日本社会の時代の流れを知ることができるのですね、歴史オタク万歳\(^o^)/。
( ・_・)ノ☆(*_ _)ばしぃ!!
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2016-11-18 05:00:07
テーマ:癌、ビタミン・ケトン療法
「ビタミン・ケトン療法」
爆誕しました。
「パラダイムシフト好きの外科医」先生と、私とで同時期に始めた治療。
これが、2人で話す内に、だんだんハッキリと形になりました。
で、名前がないと呼ぶ時に面倒なので、私がネーミング。
さらに藤川 徳美 先生も強力に理論的な根拠を構築。
治療も3本柱なら、創始者も3人です。
「パラダイムシフト好きの外科医」先生は、癌末期で全く食べられない患者さんを、ビタミン・ケトン療法によって、2週間で退院、という成果を出しました。
私は胃癌末期の患者さんをビタミン・ケトン療法によって、CTと胃内視鏡で見て、明らかに縮小させる、という成果を出しました。
どちらも、従来治療では死を待つだけの状態でした。」
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これだけではなんだかわからないですね(^▽^;)。
一番わかりやすい動画がそろっているのがこの記事です。
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ビタミン・ケトン療法のミニ講座!
2016-12-19 23:57:09
テーマ:癌、ビタミン・ケトン療法
ビタミン・ケトン療法
のミニ講座、アップしました。
内容は5例目までとなっています。
・・・以下略
http://ameblo.jp/naikaimizuno/entry-12230175552.html
記事内の動画のurlはこちらです。
ビタミン・ケトン療法 3分講座、その1
(ビタミン・ケトン療法の効果のしくみ)
https://youtu.be/QIijr902fus
ビタミン・ケトン療法 3分講座、その2
従来治療との比較(バオバブ・モデル)
https://youtu.be/RcEolwCYDnk
ビタミン・ケトン療法 10分講座
症例報告まで含めたフル動画バージョン
https://youtu.be/BRCmpSMrvto
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上の動画を見ていただくのが手っ取り早いです。
ビタミンC+糖質制限(ケトン食)の話はビタミン・ケトン療法の中の一部です。
さらに、この治療法に関する様々な意見を記事として提示されています。
癌、ビタミン・ケトン療法の記事(45件)
http://ameblo.jp/naikaimizuno/themeentrylist-10099845483.html
で、このようなビタミン・ケトン療法の治療は水野先生の友愛病院でも受けることができますし、他にも全国の複数の医療機関で実践されています。
どの医療機関でそれが行われているかはこちらのFacebookグループに情報があります。
ビタミン・ケトン療法グループ
https://www.facebook.com/groups/vktherapy/
近くに該当する医療機関がなくても、糖質制限をうたっておられる医療機関であれば問い合わせしてみるのも一つの方法かと思います。
<もう一度2017年4月に発表された最新の論文の内容を水野先生の話と比較>
上でも紹介したCancer Cellの論文ですが、メカニズムについて説明して、さらに臨床研究が付け加えられていると書きましたね。
その内容について、解説した日本語の記事から引用してみます。
「詳細は省くが結果を要約すると以下のようにまとめられる。
ガン細胞ではミトコンドリアの酸化的代謝が上昇し、スーパーオキシドアニオンラジカル濃度が高まる。このラジカルにより鉄代謝が阻害される結果、蛋白複合体から離れたフリーの不安定な鉄分子のレベルが上昇する。このフリー鉄がビタミンCに働いて酸化を促すことで、さらにフリーの鉄のレベルを上昇させるサイクルが動き始める。こうして上昇を続けるフリー鉄と過酸化水素が反応すると、ハイドロオキシラジカルの産生が上昇し、細胞が障害されることになる。
この効果は、ガンでもともと活性酸素やフリー鉄のレベルが上がっているために得られる効果で、なぜがん細胞だけでビタミンCが活性酸素のレベルをあげる作用があるのかをうまく説明している。一方正常細胞ではフリーな鉄のレベルが低いため、ビタミンCの寄与は低く、上昇した活性酸素を十分処理することができるため、細胞障害はおこらない。
実験は十分納得出来るもので、Scienceに発表された論文より一段と理解が進んだと言って良いだろう。 」
・・・要約でも十分詳しいですね(笑)。
「ガン細胞ではミトコンドリアの酸化的代謝が上昇し、」つまりがん細胞のミトコンドリアの機能は正常細胞と異なる。
ここのところが最大のポイントになります。
(逆に言えば、ミトコンドリアの代謝機能が正常細胞と変わらないがん細胞があれば、それはビタミンC点滴には抵抗性があるわけです。)
さらに、この論文の臨床研究の内容についてみてみましょう。
「最後にこの研究では少人数のグリオブラストーマ患者さんに大量のビタミンC投与治験を行い、患者さんは高濃度のビタミンCの点滴に十分耐えることができ、これまでの文献から期待される抗がん剤と放射線治療以上の効果が得られることを示している。
臨床治験については、コントロールを設けた治験ではないため、新たに治験を進める必要があるが、グリオブラストーマの患者さんの50%生存期間が2年、一部の患者さんは4年近く生存するのを見ると、期待が持てる。基礎と臨床が橋渡しされた優れた研究と言って良いだろう。
最後に付け加えておくと、ビタミンCは全て点滴で投与しており、なんと60g以上投与する必要がある。この濃度は到底経口では到達できない。とはいえあまり強い副作用は出ていないことも驚く。
メカニズムは急速に明らかにされている。ぜひもっと多くの患者さんを使った治験が進み、この安価な治療が普及することを期待する。」
・・・素晴らしい結果ですし、この論文で書かれている内容と水野先生が昨年から主張され、自分の病院で実践されている結果とどちらも希望の持てるものです。
ビタミン・ケトン療法の方がビタミンCの投与量に関して言えばずっと少なくて済むわけですし、おそらく最終的な治療成績は水野先生の病院のビタミン・ケトン療法の方がすぐれているだろうと私は思いますけれども。
2016年10月に水野先生からビタミン・ケトン療法の話を聴き、
2017年4月にこの論文の存在を知った時には、
「自分の頭で考える町医者の科学的思考と実践の方が世界最高峰の一流誌の論文の先を走っている。」
「患者さんにとっては一流誌に掲載された論文が医学界全体のコンセプトとなるのを待つよりも自分が受けられる目の前の医療の方が大事だな。」
それを確信しました。
なんといっても癌の治療に関わることですからね。
ただし、私の意見を何度も書きますが、ビタミン・ケトン療法単独がベストだとは思っていません。
これが通用しない腫瘍細胞もいるはずです。
基本的には糖質制限とビタミン摂取を軸にするにしても、情勢次第で抗ガン剤も含めてあらゆる手段を用いて総力戦の持久戦で臨むべきだ、がんとの付き合いはそういうものだと私は思います。
<なぜこの記事を書いたのかの理由>
で、最後になりますがこの長い長い記事を書いた理由です。
2017年4月から掲載しているヘルスプレスでの記事でこの話題「糖質制限とビタミンC投与ががん治療に使えるか」について触れました。
「糖質制限+ビタミンC」は「がん」の新たな治療法となり得るか?
http://healthpress.jp/2017/07/post-3067.html
2000字から3000字で書くという字数制限と、スマホで読む一般読者にわかりやすいように書いてほしいとの前提条件もあり、たくさんのボリュームを何とかまとめた形ですが、わかりやすく書けたつもりでおりました。
癌に対する私の持論も書きました、総力戦で臨むべきだと。
ところがこの記事に対して、イギリスで栄養学の疫学研究をしている学者さんが噛みついてきました。
「糖質制限+ビタミンC」は「がん」の新たな治療法となり得るか?
http://healthnudge.jp/11973
ひどいですよ、私のことを信用してはいけない医者だと明白に言っています。
あげくには世にはびこる不確定な医療情報の代表のように書き、厚生労働省や公衆衛生学会と一緒になって糾弾するかのような物言いですね。
この方及び運営サイトを威力業務妨害・名誉棄損など法的に訴えることができないか検討・・・と思ったけどやめました。
おかげで記事が注目していただいたし、私のことを知っていただく機会も増えたので感謝すべきかなと思えてきました。
それで、読者さんや患者さんに選んでもらえばいいんですよね。(^◇^)
しかしまあ、この方の論文検索能力が低いためか、臨床の世界をまったく知らないためか、事実を誤認されている部分(まさか故意にやってないと思いたいですが)もあり、まあ仕方ないかなと苦笑もしながら読ませていただきました。
で、ひょっとしたら、この栄養学研究者さんの記事を読んで不安に思われている読者の方がいらっしゃるかと思ったこともあり、この記事を書いた次第です。
私がどのような経過とどのような気持ちでヘルスプレスのあの記事を書いたのかについて明らかにしておきたかったのでこの記事を書かせていただきました。
今回の私の記事を読んで、
それでもやはりあの栄養学の疫学の専門家さんが書かれていることが正しくて、私の方が間違ってると思われるのであれば、それはそれで致し方ありません。
どうもお騒がせいたしました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
○イライラしやすい。集中力低下。神経過敏。些細なことが気になる。
○立ちくらみ、めまい、耳鳴り。偏頭痛。
○節々の痛み(関節、筋肉)。腰痛。
○喉の違和感(喉が詰まる)。
○冷え性
○朝なかなか起きられない。疲れ。
○出血(アザ)。コラーゲン劣化(肌、髪、爪、シミ)。ニキビ、肌荒れ。
○不妊。
○レストレスレッグス症候群(RLS=ムズムズ脚症候群)
○やたらと氷を食べる。・・・・・・など。」
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(本文96~97ページより抜粋)
ありふれた症状であり、良く聞く病気ですよね。
生活習慣病の患者さんに向かっていると非常に良く遭遇する諸症状でもあります。
これらの諸症状の背景、というか発症メカニズムに鉄不足が潜んでいる可能性があるということなのです。
この場合、鉄不足を補正してあげるだけで様々な症状が改善する可能性があります。
さらに言えば、精神神経的な治療薬だけではなかなか症状が改善しなかった人の症状が、鉄不足の補充を組み合わせるだけでも改善する効果が期待できるということです。
その具体的な方法については本をぜひ、ご覧ください。
うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった (光文社新書)
Amazonリンク
うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった [ 藤川徳美 ]
楽天リンク
私も以前からFacebookで勉強させていただいていたのですが、本の形で読むことで、鉄不足をどのように診断するのか、どのように対処すべきかが明確になりました。
早速、手元に届いた翌日から実臨床に取り入れさせていただいております。
基本は「糖質制限+鉄不足の改善」です。
私の中では「今年の一推し医学書籍」です。
Facebookで勉強したければ、こちらのグループに参加申請されることをお勧めします。
メガビタミン主義+糖質制限=藤川理論(非公開)Facebook
https://www.facebook.com/groups/1727173770929916/
さて、今回はNature Communicationsという雑誌に発表された論文のご紹介です。
実はインスリン、脳にもダイレクトに作用するというお話です。
脳の様々な場所別でのインスリン受容体の発現で高い部分が散見されます、つまり、脳にもインスリンがダイレクトに働きかけることを示唆しています。
では、脳に働きかけるインスリンは何をしているのか?
それを人間の被験者で実験したのがこの実験です。
人体実験ですが、侵襲性は非常に低いです。
これは画像診断技術が発展したことから可能となりました。
インスリンを投与して、その時の脳の働きをMRIで観察するというものです。
まずは雑誌のサイトでの紹介記事を載せますね
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【神経科学】食べ物に対する脳の応答をインスリンが変える
http://www.natureasia.com/ja-jp/ncomms/pr-highlights/12036
Nature Communications
2017年7月19日
Neuroscience: Insulin changes the brain's response to food
鼻腔スプレーでインスリンを投与されると、同じ食べ物が以前ほどおいしく感じられなくなり、この効果に伴って、報酬処理に関与し、通常、食物と関連した快楽応答に関係する脳領域の活動が低下することが判明した。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。
今回、Stefanie Brassenたちの研究グループは、一晩絶食した48人の参加者に空腹感の程度を自己申告させ、その後両方の鼻孔にインスリンまたはプラセボを投与した上で、食品の写真を見せて、どの程度おいしそうに感じられるかを評価させ、その評価を行う参加者の脳を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で撮像した。それぞれの参加者に対しては、インスリンでの実験とプラセボでの実験の両方が実施された。インスリンに対する感受性が日常的に高い者がインスリンの投与を受けた場合には、プラセボを投与された場合よりも食品が魅力的に感じられなくなり、食事や食品と関連する報酬を処理する脳領域の活動も低下していた。このような結果は、インスリン抵抗性を示す(が糖尿病ではない)参加者には見られなかった。おいしそうな食品と感じるかどうかの主観的評価も脳内の報酬もインスリンの投与によって影響を受けなかったのだ。
以上をまとめると、今回の研究結果では、脳内で食物と関連する報酬が処理される仕組みがインスリンによって変化し、食べ物が以前ほどおいしそうに感じられなくなることが示唆されている。また、インスリン抵抗性を示す者の方が魅力的な食べ物を我慢するのが難しい点については、今回の研究で分かった効果がインスリン抵抗性を示す者に生じないことが1つの理由になるかもしれない。
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どうですか?
わかりにくいでしょ?(笑)
簡単にまとめますと、
1.糖質などを食べてインスリンが放出されると、インスリンは脳にも作用して、食欲を下げる。
2.だけど2型糖尿病の予備軍の人たちではその効果が見られなかった。
3.(だから食欲が止まらなくて太るのかもしれないね。)
というお話です。
ということで、インスリン抵抗性がある(高い)と食欲も止まらなくなる
つまりインスリン抵抗性は脳においても問題を引き起こしているというものですね。
やはり病的に上昇したインスリン抵抗性は下げておく方が良いわけです。
どうすればいいかというと、肥満の人はまず痩せること。
(これはどんな手段で痩せても効果はあります。)
肥満でなくてインスリン抵抗性が高い人は、糖質摂取を極力減らすことです。
やるべきことはいつも同じなんですけどね、簡単にご紹介でした。