「猫じゃ猫じゃ」という江戸時代にはやっていたという演芸場パフォーマンスをご存知でしょうか?
平べったい底の深いステージの中に猫がいます。
そこに、三味線を持ったおばさんたちが現れて、演奏しながらいろいろ歌うのですが、その中に「猫じゃ猫じゃ」という曲があります。
それまでのそのそ、多少不安げながらステージの上を歩いていた猫たちが、その音楽がかかるなり、一斉にぴょんぴょんと飛び跳ね始めます。
とても頻繁に、まるで踊るように跳ね上がるというのですね。
よくぞ気難しい猫に芸を仕込んだものだとお客さんはやんやの喝采です。
でもこれ、動物虐待の極致な芸でした。
実はこの猫たちを鉄板の上に載せておいて、下に置いてあるまきに火をつけると同時にこの曲を奏でていたのですね。
猫は熱くなる鉄板の上で鉄板の熱さを避けるために必死で飛び上がります。
そのうち、条件反射で、三味線でその曲を聴いただけで、熱くなるに違いないと想像した猫が必死で飛び上がるというわけです。
人工甘味料の多くは体に吸収されることなく、血糖値を上げることもありません。
でも、甘い、砂糖のような味がしますよね・・・ここに猫じゃ猫じゃが成立します。
人工甘味料の味を知っている人間の大人に人工甘味料をなめさせると、わずかですが、インスリン分泌量が上がるそうです。
(インスリンは基礎分泌量というのがあって、普通の人はわずかですが常に分泌しています。)
甘い味を口で味わった時点で、本当に血糖が上がる前にあらかじめ少しインスリンをあげておけば、本当に甘い砂糖が入ってきたときにスムーズに糖質カロリーを吸収して血糖を下げ、脂肪として貯蔵できます。
エネルギーを効率よく脂肪として蓄えるために我々の脳が取っている戦略ですね。
だから、人工甘味料の入っている清涼飲料水を飲みながらいろいろ糖質を摂取すると、お茶などの甘味のない飲み物を飲みながら食べる場合に比べて効率よくデブになっていく可能性が高いということです。
甘いという味覚だけでインスリンが出てしまう。
猫じゃ猫じゃのねこちゃんたちみたいな条件反射を我々の体はしてしまうのですねえ。
前の記事で幼小児期から人工甘味料を摂取し続けると高脂肪食をたくさん食べるようになるという話を紹介しました。
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/2012/05/post-35.html
あの理由として、小胞体ストレスにより発生段階の脳細胞がやられるという可能性に触れました。
でも、もしかするとそれに加えて、人工甘味料の味でインスリンの基礎分泌が亢進する、そのことが高脂肪食を好むようになる理由の一つかもしれないなと思います。
・・・といってもそれは私の単なる想像で科学的実験の証拠はありませんが、逆の角度から見るとこの可能性は面白いです。
もしも人工甘味料の継続的な摂取がインスリン基礎分泌量をあげるとすれば、
「糖質を毎日たくさん摂取してインスリン基礎分泌量を上げる」という部分を、
「人工甘味料を毎日たくさん摂取してインスリン基礎分泌量を上げる」に置き換えることで、
「血糖値を上昇させることなくインスリン分泌を促す」という作戦をとることができます。
つまり、「糖質を食べ続けないとインスリン分泌量が減るから危険だ!」という風に思い込んでせっせと高糖質食を食べている糖尿病の患者さん。
彼らが糖質の代わりに人工甘味料を摂取することでインスリン分泌能を高く保てるのであれば、いい話なんじゃないかな。
多量の糖質を食べて血糖値ががーっと上がるよりも安全なんじゃないかと思えます。
私個人的には、疲れている膵臓をひっぱたいてインスリン分泌を促すのは糖尿病の進行を早めるだけで間違っている行為だと思います。
これまでの「高糖質食+SU剤治療」の歴史がそれを物語っていると思っています。
低糖質食に勝る食事療法はないと思います。 ←くどい(^_^;)
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