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食後高血糖と食後低血圧に関する考察



食後低血圧について前の記事で考察したことがありました。

どうやら「食後低血圧を引き起こす要因を持つ人々」が、糖質をたくさん摂ったときに簡単に食後低血糖を引き起こしてしまう。

その食後低血糖は糖質制限によって防げる、というものです。


実験事実が既に報告されているのですが、その割にはそれが日本では一般的な話題には上がってこない。

ネットで検索する限りはそのことに触れているのは私の前の記事ぐらいです(笑)。


さて、その後、どうして「糖尿病の人や高齢者」で糖質摂取による食後低血圧が起こってしまうのか?

そのことがどうもすっきりしなくて気になっていたので、考察してみました。


これまで、食後低血圧に関しては、こう考えられていました。

食後に血流が消化器官に集中した時に、それ以外の場所(特に頭部)の血管は収縮して血圧が落ちないようにしなければならない。

でも、高齢者や糖尿病患者では末梢神経系の反応性が落ちているために血管がうまく収縮できないので食後低血圧が起こる、そういう概念です。

末梢神経系の反応性の低下が起こりうるような病気の人で食後低血圧が起こることからもこの考えは支持されてきました。



・・・ところが、前の記事で書いたように糖質制限食を食べれば高齢者の食後低血圧を防げます

そして改めて考えてみましょう。

糖尿病患者や高齢者が糖質を摂取した後に起こる食後低血圧状態の時に共通して起こっていると思われる状態は何か?

それは

「インスリン抵抗性が上がっている、もしくはインスリン分泌能が落ちていることにより、食後高血糖が誘導されている。」

ということです。


さらにもう一つ考えてみましょう。

消化管内に食べ物が入っているのを感知して、それを消化吸収するために消化管の血管を広げてそこにたくさんの血液を送り込もとするシステム。

その感知するシステムはなんでしょうか?


「まだ消化管内に食べ物がたくさんあるよ、消化管にどんどん血液を送り込んでもっと消化・吸収しなくちゃ。」

そう思わせるシグナルはいったい何でしょうか?お腹が膨れていることによる神経進展の刺激もあるかもしれないけれども・・・

もしも「血糖値が高いことが、血糖の濃度依存性に消化管血液の血管を大きく広げる」のだとしたらどうでしょうか?


血糖値が高いほど消化管への血流は増大し続ける仕組みがあるのかもしれません。

そして、インスリン抵抗性やインスリン分泌が正常な人や若い人ではインスリンが作動して血糖が下がることでそれが程よく抑えられている、でも、糖尿病患者や高齢者の一部ではそれがコントロール不能になると。


もちろん、これまで考えられていたように末梢血管収縮系の昇圧剤が治療に奏功することから、末梢の血管の収縮が悪いことも原因の一つとして考えなければなりません。

ですが、高血糖状態が消化管以外の末梢血管の収縮を抑えてしまうなんらかのメカニズムが存在するのかもしれません。

(基本的にはインシュリン抵抗性の増加はインシュリン分泌過多を招き、腎尿細管でのナトリウム再吸収が増えるので、水分貯留して高血圧になるものと考えていましたが・・・。)


でも、そちらと同時に、「血糖値と消化管血流の関連性」、これについて考える必要があると思うのです。

高血糖が続いてしまう状況において食後低血圧が起こる。


・・・ひょっとしたらその研究もすでにあるのかな?

できることなら山田先生に尋ねてみたい。。。


この連休にでも調べてみたいと思います。



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2012年7月14日 00:53

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コメント(2)

はじめまして。
ブログ拝見させて頂きまして大変勉強になる情報を教えて
下さり有難うございます。
私事で恐縮ですが、ダイエット目的で江部先生の本を買い
実践しており、効果は抜群なのですが
最近(ここ1ヶ月くらい)たまに炭水化物を食べた後の、
眠気、だるさがひどく
食後1時間に血糖値を計ってみたら(テルモの自己測定器)170にもなっておりました。
これはこちらのブログでもかかれておりましたが
糖質制限しているとたまの炭水化物での高血糖症状が
でるという事で判断すれば宜しいでしょうか。
もしかしたら既に糖尿病だった・・かもと心配てしまいます。毎年人間ドッグを受けており直近(6月)の空腹時血糖値は78/ヘモグロビンA1Cが4.8(5.1)でした。
大変お忙しい中申し訳ないですが、ご見解お聞かせ頂ければと思います。

体重 44Kg(BMI値 18)元の体重は46Kgです
年齢 38
です

ちいこさん
コメント活用ありがとうございます。ひさしぶりにコメントいただいて、まじめな質問で嬉しいです。
そして検査数値、素晴らしいですね!

質問内容ですが、

2011年に改訂された国際糖尿病連合(IDF http://www.idf.org/ )の「食後血糖値の管理に関するガイドライン」では「食後高血糖の目標値は食後の時間にかかわらず、160mg/dL未満にする」、とされています。持続血糖モニター(CGM)の普及で食後40~50分にピークがある人が多いというのが分かってきたのが主な理由ですね。

ですが、テルモに限らず、自己測定器の場合、少し高めに出ることがあるので、±10%くらいまではブレの範囲だと考えておいていいです。(これはテルモの人から直で聞きました(笑)。)

170といえば微妙なところですから、私だったら保留です(次にもう一度やってみます)。


逆にお聞きしたい点もふたつあります。

1.炭水化物を摂取されたという食事内容は何をどのぐらいでしょうか?昔はOGTTの負荷量は100gだったのですが、1982年から75gに減らされ、判定基準値も変わりました(これがお茶わん2~3杯に相当します)。つまり、糖質の負荷量が多い場合、どうしても血糖値は高くなります。
もしかして、「お寿司を12貫食べて、てんぷらもつまんだ、日本酒も飲んだ、ついでだからと糖蜜たっぷりのお餅のデザートにも突入した」という状況だったりしたら、高くても仕方ないかと(^_^;)

2.食後2時間値は計測して見られましたか?2時間値が140mg/dL以下に明らかに下がっていたようであれば、耐糖能に関して現段階でそれほど気にする必要はないと思います。

いずれにせよ、一度だけの計測結果で170mg/dLということであれば、気にしないで、また炭水化物を食べてしまった時にはかって見られたら良いと思います。
それでも高いようであれば、病院で75gOGTT を受けてみられることをお勧めします。

糖質制限後に糖質を摂取して感じる眠気とけだるさですが、これは私も半端なく強く感じます。

月に一回のラーメンのときには焼酎もロックでダブル2杯飲んでいるのですが、2時間後あたりからかなり眠くなり、朦朧としながら帰ってます。

でも、私のその習慣(ラーメン+焼酎)は糖質制限を始める前と同じもので、しかもそれを毎週末のように繰り返していたのです、つまり以前から食後に同じような高血糖の状況に陥っていたはずです。でも、以前はそんなに朦朧とすることはありませんでした。

ということは、食後の高血糖に、身体が慣れていただけなのだと思われます。今では、糖質制限したことで「高血糖」状態を経験する機会が減り、「高血糖」状態への耐性がなくなっているのだと考えます。

糖尿病になっているから血糖が抑えられなくて耐えられなくなっているというわけではないと思われます。


結論ですが、空腹時血糖の数値から考えても、ちいこさんが現時点で糖尿病であるようには思えません。

もう一度、糖質摂取トライアルをしたときに、1時間値と2時間値をはかってみてください。それでやはり高いようであれば、病院で75gOGTTを受けてみられたらよいでしょう。

でも、仮に耐糖能異常などがあっても、少なくとも、糖質制限をしている限り、糖尿病や耐糖能異常があっても進行することは少ないはずです。(膵臓のβ細胞そのものに問題が起こっている場合を除いて)

ちいこさんは血糖自己測定もされていますので、仮に糖尿病の素因があっても常に先手を打って対応できますし、心配する要素はほとんどありません。

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そういうところでいちいち、しかし、例外はあります、とか言って全ての人に配慮した注釈を付けると、読む側もメッセージがなんなのかわからなくなります。

したがって、読まれた方の立場次第では、その記事では自分の存在を無視されているように感じる、配慮が足りないと感じられる記載内容があり得ます。
その場合、その記事はほかの人に向けられた記事であると、スルーしていただけたらありがたいです。

よろしくお願いします。

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