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肉食の歴史について考えてみる


人類はタンパク源として一体どのような肉を食べてきたのかについて考えてみましょう。

(これは先に予定している記事の「赤い肉(Red Meat)は控えめに食べるべき?」と連動した記事ですが、独立した記事でもあります。)


だいぶん前の記事で「アイスマン」について記載しましたよね。

彼は5300年前の新石器時代に生きた人です、彼の食事内容はその地域に住んでいた鹿の肉、粗精製された小麦の原種、大麦であったようです。

この時代の人類は100人程度の集落を作って生活し(大きくても数千人)、簡単な農耕もしていましたが、野生動物の狩猟採集による食事摂取がまだまだ中心を占めていたと考えられています。


狩猟される動物として、牛や鹿などの大型の草食動物は魅力的ではありますが、そう簡単に手に入る食事ではなかったはずです。

基本は肉、魚介類、野草、昆虫類、たまに手に入る果実が主食とならざるを得ません。

アイスマンは鹿の肉を複数種類食べていたようですが、そういうものを頻繁に食べれるのは権力のある大人の男性であったからこそ、という可能性を考えておかなければならないと思います。



では、肉を安定的に生産して食べることのできる「食べるための動物の家畜化」はいつごろ始まったのでしょうか?

実は、やはりこの「農耕文明の発達・普及した」新石器時代から鉄器時代へと移り変わるあいだに、タンパク源としての動物の家畜化が始まっています。

以下はWikipedia家畜からの抜粋です。

800px-WildZwijn.jpg

ヒツジ・ヤギ・ブタは紀元前8000年頃の西南アジアで、それぞれムフロン・パサン・イノシシから家畜化されたと言われる。
ブタは中国でも独自に家畜化されている。
ウシは紀元前6000年頃に西南アジア、インド、それにおそらく北アフリカでオーロックスから家畜化されている。
ウマは紀元前4000年頃のウクライナで、ロバは同時期のエジプトで、スイギュウも同時期の中国で家畜化されている。
ラマやアルパカは紀元前3500年頃のアンデスで、グアナコやビクーニャから家畜化された。
ヒトコブラクダは紀元前2500年頃のアラビアで、フタコブラクダも同時期の中央アジアで家畜化されている。



現在、世界中の人たちが当たり前に食べているヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシといった家畜たちは、8000年から6000年前ころにタンパク源としての飼育が始まっていたというわけです。

アイスマンの消化管の中にあったのは野生の鹿ですから、彼の村ではまだ畜産は始まっていなかった。

家畜化が世界中まで浸透したのは鉄器時代の終わりぐらい、今から2000年ほど前のことでしょうね。


これは農耕技術が発達して、穀物の大量生産が可能になった時期と時を同じくしてのことです。



つまり、

1.小麦や大麦や米、高粱やトウモロコシなどの主要穀物、あるいは雑穀を育てて、

2.穀物のあまりや、収穫の時に出るわらや糠などを冬のあいだの飼料の一部として牛や羊を育てて、

3.それら家畜の肉を毎日の食事として食べる生活

農耕生活とシンクロして、せいぜい2000年前から始まったものでしかないわけです。


小動物や野生の植物の狩猟採集生活がメインであったと思われる5300年前のアイスマンの遺伝子が現代人とほとんど変わっていませんから、

大量に生産された精製された穀物をたくさん食べることも、

大量に飼育された羊や牛の肉をたくさん食べることも、

その二つを組み合わせて食べることも、

現生人類がせいぜい2000年前(早い地域でも4000年ほど前)から始めた食習慣に過ぎないということですね。



何度も書きますが、数万年続いた旧石器時代に現生人類の遺伝子のルーツがあるわけです。

その遺伝子が適応していたのは、農耕文明や家畜の飼育が始まる以前の生活なわけです。

タンパク質は小動物や魚介類や昆虫や野生の豆などから摂取していましたし、糖質は野菜に含まれる少量の糖質がメインでした。

脂肪を蓄えなければならない晩秋にのみ、野生の果実や穀物から摂取していたのです。


「穀物と家畜の肉を毎日三食しっかり食べるのが人類本来の伝統的な食事である」

なんてのは、ちゃんちゃらおかしい勝手な思い込みというわけです。



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穀物以外の植物、魚介類、昆虫を含めた小動物、たまに手に入る大型獣の肉、たまに手に入る果物(その果物の旬の時期だけ)を食べる生活こそが人類本来の伝統的な食事なので、糖質制限している人でも、自宅の庭の樹の柿とか蜜柑を食べるのはまあOKってことですな。

ただし、エアコンでぬくぬくの現代人の冬を送るつもりなら食べてはいけません、あくまでも寒さへの備えとしての果実ですからね。

柿や蜜柑をたっぷり食べたいなら、エアコンなしで火鉢にあたる冬をお過ごしください。



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2012年9月22日 20:47

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コメント(4)

収穫の秋・・ブドウに柿、果物が美味しい季節。我が実家はハウスいちごの生産者(-_-;)只今農作業の真っ最中。クリスマスくらいから半年近く収穫します。今のいちごって甘さを追求しすぎて・糖度だってそこそこ甘くて12度。これはっていうのは15度超。サイズも70g超ってのがありますから。糖尿人には毒ですね(笑)

タンパク質のお話で“体重はカロリーだ”ってブログを見つけたのですが・・・微妙に引っかかる点が。「糖質制限で糖尿病が治らないのは糖質にこだわりすぎてタンパク質量が多すぎるから」完治しないのだそうです。
彼が提唱する方法、糖質自体もそんなにとる必要はなくその人の希望体重に見合ったタンパク質を最低限摂ることでカロリーコントロールする・・・と完治するそうです。
自分が診察をしていた時もうまくコントロールできた人はいつの間にか病院に来なくなっている=完治している・・・ずっと通院している人はカロリーコントロールができていない。だそうです。
・・・彼の言う“完治”は本当に”糖尿病の完治”なのでしょうか。


これ糖質制限のテーマ曲になりますかね~?
http://www.youtube.com/watch?v=VrTPAgNau58

子供のころに見ていたのが懐かしいです。
マンモスのお肉、すごく美味しそうだったなあ。

糖質制限を始めて1ヶ月。
今日初めて体脂肪が減って、筋肉量と骨量、基礎代謝が増えました!体重は全く変わりませんが!
でも、なんだかとっても嬉しいです!

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そういうところでいちいち、しかし、例外はあります、とか言って全ての人に配慮した注釈を付けると、読む側もメッセージがなんなのかわからなくなります。

したがって、読まれた方の立場次第では、その記事では自分の存在を無視されているように感じる、配慮が足りないと感じられる記載内容があり得ます。
その場合、その記事はほかの人に向けられた記事であると、スルーしていただけたらありがたいです。

よろしくお願いします。

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