スウェーデンでは国民の4人に1人が糖質制限を実践し始めている
さて、二つ前の記事で取り上げた「The Food Revolution - AHS 2011」という講演の動画についてです。
この講演は、スウェーデンの臨床医がアメリカで行ったものですから、英語も片言でわかりやすいです、ぜひ実際に視聴してみてください。
⇒ The Food Revolution-AHS 2011
http://youtu.be/FSeSTq-N4U4
(日本人にとってドイツ語やスウェーデン語は聴き取りやすい言語のようで、彼らの話す英語もまた聴き取りやすいです。)
この内容に基づいて、いくつかスウェーデンのダイエット事情について触れてみたいと思います。
先日、Scientific flaw、科学的に信頼するに値しないとしてスウェーデン女性の食生活パターンと心血管系疾患の発生率の統計率調査の論文をこき下ろしましたよね。
どうしてあのような「糖質制限たたき」をするために無理やり解釈したような論文が作製されてしまったのか?
スウェーデンという国の現在の状況が反映されていると考えていいでしょう。
スウェーデンでは、この20年ほどの間に脂質摂取率がものすごく下がって、逆に、肥満率がものすごく上がって、糖尿病患者もものすごく増えたのです。
これはスウェーデンでのバターの消費量と肥満率の変化をグラフに表したものです。
1985年ごろからバターの消費量が目に見えて減ってきたスウェーデン、15年間で半分以下になりました、それと対照的に肥満率は30%から46%へと跳ね上がっています。
アメリカのNCEPに倣っての脂質摂取制限政策により、脂質摂取量を減らして、その代わりに炭水化物摂取量を上げた。
良かれと思ってやったそれがこの結果をまねいたとしか思えない、そういうことに2005年ごろ、国民が気が付きました。
そのころすでに、糖質制限がダイエットと糖尿病の治療に向いていると提唱する医師はスウェーデンにもいました。
2007年にそういう医師の一人である、開業医のDahlqvistさんが二人の栄養士から、スウェーデンのNational Board of Health and Welfareに訴えられました。
彼女の指導するLCHF、低糖質高脂肪食は科学的エビデンスに合致していないから問題があるのではないか!
と言われたのですね。
その結果はしかし、訴えた人たちの思惑とは逆に動いてしまいました。
顛末は2009年のLancet誌に掲載されていますので確認していただくとして。。。
⇒ Fad diets in Sweden, of all places
(糖質制限が流行していることに対してはやや批判的な論調です。)
内容をかいつまんで説明しますと、その訴えに対応するために、スウェーデンのNational Board of Health and Welfareは糖尿病学の専門家に鑑定を依頼します。
依頼されたウプサラ大学のChristian Berne博士(有名な糖尿病学者)からのレポートはこうでした。
「There was some scientific basis (short-term trials) for recommending such diets.」
「そのようなダイエットを推奨するだけの科学的根拠は(短期間の実践に当たっては)存在する。」
National Board of Health and Welfareとしてはそのレポートを根拠に、Dahlqvist医師の指導するダイエット方法は無罪であるとせざるを得ませんでした。
これに飛びついたのがマスコミであり、一般市民でした。
Dahlqvist医師は一躍、時の人となり、彼女の書いた本はベストセラーとなり、スウェーデン国民の多くが糖質制限と脂肪摂取量増加に取り組み始めます。
今では、スウェーデン国民の成人の23%が糖質制限高脂肪食をいくらかは考えて摂食するようになっているというのです。
実際に、先ほどのバター摂取と肥満率の変化のグラフをよく見てみてください、2006~2007年ごろからバター摂取量低下が止まって、逆に反転してきています。
そして、肥満率の上昇にも歯止めがかかり始めています。
LCHFがスウェーデン人の肥満率上昇にブレーキをかけ始めたのです。
この状態、「脂質とコレステロール摂取を下げてその代わりに炭水化物を摂取するように推奨してきた医師や栄養士たち」からしたら、自分たちの顔に泥を塗られるようなものですから許せないわけです。
なにがなんでも、糖質制限たたきをしてやる、そういう意地になって反駁する人も少なからずいるはずです。
彼らの反論のひとつがBMJに載ったあの科学的に首をかしげざるを得ない論文だったのだと思われます。
現在、スウェーデンでは少なからぬ数の研究者や医師たちが「脂質摂取制限が間違いであった、無意味であった」と声を上げ始めています。
もちろん、BMJの論文のように糖質制限を否定する話も出続けていくかなと思うのです。
実際にどうなのかは、長期的な結果も含めて、そう遠からず、結論が出るでしょう。
理論的に考えれば、高糖質低カロリー食の方が悪い結果(糖尿病の悪化や内臓脂肪の増加)をもたらす、と、私は思います。
これまでがすでにそうでしたからね(笑)。
糖質制限ダイエット ブログランキングへ
3週間ほど前に今からプチを循環器医の夫とはじめてみますと書いていた者です。頑固な夫は半信半疑でしたが、(自分ができるかどうか)なんとプチを始める事になったのです!ただ夕食の主食だけでなく「おやつ」もかなり(ほとんど)減らしています。朝は変わらず手作りパン6枚切りの半分くらい(マーガリンなしジャム少々)とコーヒーか手作りフルーツジュースのみ。昼食の手作り弁当のご飯は麦ごはんにし今までの半分にしました。3週間で私の体重は58キロから55,5キロ、夫は82キロから77キロ台へ。夫はうれしくなったらしく、もっとがんばってみるといっています。あれほどの甘いモノ好き、ご飯パンラブの人が!!これなら続けられそうで二人とも喜んでいます。
スウェーデンの話は興味深いです。夫はこういうブログとか全然見ようとしないので、私が報告します。ではまた。
京都市北区出身の大阪のおばちゃんさん
よかったですね!ご主人ともども、おめでとうございます!!
>3週間で私の体重は58キロから55,5キロ、夫は82キロから77キロ台へ。
プチ糖質制限だけでそんなにすんなりと体重が減るとは!
私はいきなり「ほぼスーパー」にチャレンジしたのですが、ご主人の減量効果は私のスーパー糖質制限の効果とほとんど変わらず、ちょっとびっくりです。なんか悔しい(笑)。
ご自身も2.5kg減、おめでとうございます。
ぜひこのまま継続されてみてください。
このブログにもたくさんの方がコメントくださって、糖質制限の効果は人それぞれですが、お二人は「どんぴしゃ」で効果を享受できるケースだったのでしょうね。
ひとつお勧めなのは、今のうちにありのままの姿を撮影しておくことです。
このまま半年、一年と続けられると、見た目がどんどんスッキリして若返ってくると思います。
徐々に徐々に進むのでわかりにくいのですが、一年後ぐらいに、一年前の姿を見ると、きっと愕然とするぐらい老けてたるんで見えると思います(特にご主人の場合)。
それを見れば、二度とあの姿に戻る物か、って気になりますので、まだまだ痩せる余地の多い今のうちに、飾らない姿の記録をぜひ。
ご主人としても、減量した方がいい患者さんへ減量を勧めるときに使えるエビデンスになると思いますので、仕事の上でも一石二鳥だと思います。ぜひに。
また次回のご報告を楽しみにお待ちしています。
スウェーデンのエントリー興味深いですね。
これまで塩分や脂質、肉を減らしましょう!と盛んに言われてきましたが
糖分を減らしましょう!というのは余り聞いたことがありませんでした。
むしろ、改めて見回せば、私たちの周りには糖質の食べ物ばかりですね。
ところで、(ほぼスーパー)糖質制限を始めて1ヶ月。
でも私の体重は1Kgも変化がありません。
身長163cm 50kg BMI 18 体脂肪 25% です。
私自身のベストは47Kgで、とても身が軽く感じられ動きやすい体重なのですが、ちょっと期待していたのに減りませんでした。
糖質制限は太っている人は痩せ、痩せている人は標準になると聞きましたが、私にとっての標準が今のベストなのかな?
体重の変化はありませんでしたが、その他の変化は大きかったです。
これからどんな変化があるのかも楽しみです。
すみれさん
>(ほぼスーパー)糖質制限を始めて1ヶ月。 でも私の体重は1Kgも変化がありません。 身長163cm 50kg BMI 18 体脂肪 25% です。
・・・まったく痩せる必要はない体重だと思うのです。
でも、どのぐらいがベストなのかは人それぞれですからね。
年齢とともにそれも変わるかもですが。(^^;)
他の変化を楽しんでくださいね。
Dr. カルピンチョ先生
本記事で紹介されている講演の動画 「The Food Revolution – AHS 2011」
の2016年版がyoutubeで2016/03/11 に公開されていました。お知らせまで。
「The Food Revolution 2016」
https://www.youtube.com/watch?v=l55OjWS9pEc