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さるかにがっせん ~糖尿病メビウスリング~



ある日、カニがおにぎりを持って歩いていました。

「今日の晩ごはんもおにぎりかあ、お昼ごはんもおにぎりだったし、糖質だらけで体に悪いから、歩いて筋肉使って血糖下げておかなきゃ。それにしても、たくさん歩くのは疲れるなあ。もっと楽な生活の仕方があるといいんだけどなあ。」


せっせとカニが歩いていると、岩陰からひょいっと猿が出てきました。

「おい、カニくん、そのおにぎりをいいものと交換しないか?」

ずるがしこいことで有名だったサルを警戒して、カニはおにぎりを抱えたままで言います。

「な、なんだ、だまされないぞ、僕の晩ごはん、もう少しあるいたら食べるんだ。」


猿は手のひらにのせた茶色い平べったいものを見せます。

「そんなおにぎりよりもこっちの方がずっと価値が高いよ。」


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「え?茶色くて平たくて2㎝くらいで、そ、それってもしやチャバネゴキ・・・」

 ( ・_・)ノ☆(*_ _)ばしぃ!!


「何を言うんだカニくん、これは柿の種だよ、これを撒いて柿の木になったら美味しい柿の実がたくさんなるよ。おにぎりの何十倍もたくさんの数が食べれるよ。」

さるかにがっせん ウィキペディア.png


カニはちょっと考えました。

柿の実もしょせん糖質です、でも、果糖は血糖値をすぐに上げることはないって聞くし、ビタミンや食物繊維も豊富そうだし、猿が言うように木に鈴なりになればたくさん食べられます。

(柿の実を食べても、毎日たくさん運動すれば何とかなるカニ~。)

 ( ・_・)ノ☆(*_ _)ばしぃ!! 


そう思ったカニは柿の種とおにぎりを交換することにしました。


家に帰ったカニは庭に柿の種を植えて、その周りを歩き回りながら歌います。

「早く芽をだせ柿の種、出さなきゃ鋏でちょん切るぞ」

すると、お約束通りに柿の木はぐんぐん大きくなりました。

そしてあっという間に鈴なりの実をつけはじめます。


「おお!物語とはいえ、なんて都合のいい、
じゃなかった、
さすが人間の愛する果物、品種改良でハイスピードで実が生るなあ、甘そうだ。
果糖は太ると聞くけど、ま、いっかあ。」

カニが喜んだのはつかの間の話でした。

柿の木が大きすぎて柿の実に手が届きませんし、カニは木に登れません。

そこに猿がやってきました。


「おお、カニくん、もうそんなにたくさんの実を生らせたの?あれ?どうして取って食べないの?」

舌なめずりしながら木を見上げる猿、カニを見ながら言います。

「なんだったら、ぼくが木に登って柿の実をとってあげようか?」

なんか嫌な予感がしたカニですが、お願いすることにしました。


猿は木に登ると、いきなり一番熟れた柿の実から食べ始めました。

「まずは熟れてるかどうかを僕が確認してあげよう。うんうん、これは甘い、よく熟れてるぞ。」

猿は手当たり次第に柿の実を食べ始めます。

「ねえ、僕の分を早くとってくれないか?」

しばらくカニの願いを無視し続けていた猿ですが、何度も頼まれるうちにだんだん腹が立ってきました。

「ほれ、これでも食っとけ!」

「うわ、ぎゃあっ!」

青くて硬い柿を思いっきり投げつけられたカニはつぶれて死んでしまいます。

Young_kaki.jpg

GFDL, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=287583

その様を見ていたカニの息子たちは怒りに震え、柿の木の周りに集まってきました。

一斉にハサミをカチカチ鳴らしながら柿の木の上のサルを見上げます。


「ありゃあ、めんどくさいのが集まってきたな、しばらく木の上で暮らすかあ。」

猿はあえて戦いを避け、木の上で寝泊まりすることにしました。

柿の実は幸いにして山ほど生っています、当分は食べ物に困らなそうです。



柿の実の下に集結したカニの子供たちですが、膠着状態を何とかしようと助っ人を呼ぶことにしました。

さるかに合戦のむかし話のお約束通りに、栗と、蜂と、昆布と臼です。


作戦会議が始まりました。

「基本的には持久戦で、猿の自滅を待ちましょうよ、元気なサルが下りてきて戦うとこっちの被害も大きいわ。」

昆布がいいます。栗もうなづきます。

「そうだね、このまま猿が上にいて、ひたすら柿の実だけを食べ続ければやがて猿は肥満になり、生活習慣病になって落ちてくるよ。」

そう言われて、カニの子たちはちょっと悩みました、もっと早く決着をつけることはできないだろうか?

「なにかもっと早く猿を弱らせて落とせないですか?」


カニの子たちの真摯なまなざしに、臼とハチが提案を出しました。

「僕の臼で餅をついて、毎日サルに投げつけよう。
猿はバカだから喜んでそれを食べるだろう。
果物ともち米のダブル攻撃をずっと受け続ければ肥満するのは早い。
2型糖尿病になるのもすぐだぞ。」

ハチはそれにうなづきながら、こう言います。

「私は猿のところに飛んでいき、インスリンを注射してあげるわ。」


「え?その薬って、猿の糖尿病を治してしまうんじゃないですか?」

カニの子の素朴な疑問にハチがニヤリとします。

「インスリンはね、1型糖尿病っていう本当に基礎分泌インスリンが不足している人には命を助ける薬だし、いろんな非常事態の健康管理にもとても役に立つ薬だわ。
世紀の大発見なのよ。
けれど、あの2型糖尿病のバカ猿みたいに、食事の意味を考えもせずに糖質食べまくってインスリン使ってたら、肥満と2型糖尿病がさらに進むのよ。」


それに相槌を打った臼も付け加えます。

「インスリンを必要以上に打つと低血糖にもなるからな、それを防ぐには食後血糖を上げる食べ物を食べるしかない。
わしらが投げる糖質たっぷりの餅をサルは喜んで食べるだろう。」


臼とハチの恐ろしい戦略に、意を決した顔の栗もこう言いました。

「俺たちをイガイガから出してサルに投げつけてくれ、あいつ俺たちを食うだろう。栗は健康にいい食べ物だと思われているが、なあに、俺たちを食えば猿の食後高血糖がさらに進む。」


そこに昆布も続けます。

「私は猿が足を滑らせるために木に巻きつけられる、という形で投げてちょうだい。あたしは美味しいからサルははがして食べると思うのね。でも、昆布って30%も糖質があるのよ、低カロリーで美容にいいなんて思って食べてくれたら思うつぼだわ。」

Crab_and_the_Monkey_Emaki_2.jpg


友達たちの身を呈した献身的で恐ろしい戦略に、カニの子たちは感謝の言葉もありません。


その日から、臼のつく餅、身を挺した栗や昆布の糖質攻撃が始まりました。

何も知らないサルは、投げつけられる餅、栗、昆布を毎日喜んで食べます。

「へっへーい、いくら投げたって俺には当たらないぜ、というか簡単にキャッチできるし、柿の実ばっかり食べて飽きてたところにありがたいぜ、天国に住んでるようなもんだ。」


そういいながら糖質を食べ続けてきた猿、次第に体が重たくなってきました。そして疲れやすくなってきました。

「あれ、なんだか最近、体調が悪いなあ。腹もずいぶん出てきたし、運動不足かなあ、う~ん、なんか頭痛もするぞ。血圧ってのが高いんじゃないのかなあ?」


そんな猿のそばにハチが飛んできてささやきます。

「猿さん猿さん、あなたはメタボという怖い病気にかかってるみたいよ、食べすぎと運動不足ね、高血糖だわ。お薬で高血糖を治して差し上げましょう。」

「え? そんなに都合のいい薬があるの?」

「ええ、このインスリンというお薬を栗やお餅を食べる前に注射してごらんなさい。ちゅー♪」

「あれ、今までお餅や栗を食べた後にぼーっとしてたのが、なんだかよくなったぞ。これはいいや、ありがとう、蜂さん。」

「いえいえどういたしまして、毎食直前に必ずこのインスリン注射を打ちなさい、これでいくらお餅を食べても大丈夫よ、元気になるわ。」

「わあい、どんどん食べるぞ~♪」


木の上に居座って糖質を食べ続けてメタボになり始めていた猿でしたが、ハチのくれるインスリンを自己注射したおかげでとりあえず高血糖症状が改善し、調子に乗ってどんどんお餅や柿を食べ続けました。


猿はどんどん肥満してインスリンが効きにくくなります。

食後高血糖が進むので、それを下げるための自己注射インスリンの量も増えます。

インスリンを打ち過ぎるとときどき低血糖になるから、安全のためにもっと糖質を食べます。

するとさらに高血糖になるから、もっとインスリンを打ちます。

高血糖と低血糖をいったりきたり、運動不足に拍車がかかり、でも、食欲は全く衰えません、それにつれてさらにさらに自己注射のインスリンの量も増えます。

体重もどんどんどんどん増えていきます。

みごとに糖尿病悪化の無限ループに入りました。



ある日

ばきばきばき~っ!

轟音とともに柿の木の太い枝が折れて、メタボ猿は地面に落ちてしまいました。


「いまだ!お父さんのかたき!」

カニの子たちはいっせいにメタボ猿に群がりました。


しかし、カニの子たちは異変に気がつきます。

「このサル、目が見えてないみたい。」

「このサル、手足の指先が黒くなって腐ってる。」

「このサル、なんかすごいむくんで顔色も悪い。」

自分たちが手を下すまでもありません、猿はもうすでに糖尿病の合併症でボロボロでした。


「いつもながら糖質攻めの効果はてきめんだな。」

臼がうす笑いを浮かべながらつぶやきます。

「インスリンも食餌療法との組み合わせ方が間違ってると役に立たないどころか逆に・・・だわね。」

ハチが冷ややかに猿を見ています。


「臼さん、蜂さん、ありがとうございました。悪いサルでしたが、なんだかちょっとかわいそうです。」

カニの子たちは涙を浮かべていました。


「あらあら、やさしいのねあなたたち。親のかたきなのに助けてあげたいの?」

カニの子たちは黙って頷きます。

「頼まれたのなら仕方がない、とりあえず人工透析の導入だな。」

臼のつぶやきに、ハチも頷きます。


「臼さん、ハチさん、ありがとう、でも、透析ってお金がかかるんでしょう?」

カニの子たちの質問に、臼とハチは顔を見合わせてニヤリとします。


「大丈夫よ、透析の費用は税金で支払われるの。」

臼が白衣を着て、ハチがナー○服に着替えました。


「えええ!臼さんとハチさん、病○の人だったの?」

カニの子たちはぼーぜんとしています。


「これでまた安定収入源確保ね、せんせ♪」

「うんうん、糖質制限が世に広まらないうちに患○をたくさん集めておかなきゃ。」

臼とハチは救○車を呼ぶと、嬉しそうに猿を乗せて去っていきました。



ぼーぜんとしていたカニの子たちですが、ともかく敵討ちは成功したのです。

気をとり直して、みんなそれぞれの生活に足を踏み出すことにしました。

たくさんのお餅を臼が親切に残していってくれたので、それをお弁当にして、それぞれ新天地に向けて旅立ちます。


「お餅は糖質が高いからな、しっかり歩いて運動して、血糖が上がらないように注意して食べていかなきゃ。それにしても、たくさん歩くのは疲れるなあ。もっと楽な生活の仕方があるといいんだけどなあ。」

せっせとカニの子が歩いていると、岩陰からひょいっと猿が出てきました。

「おい、カニくん、そのお餅をいいものと交換しないか?・・・」

2017年6月15日 12:17

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コメント(13)

かるぴんちょ先生今回も面白いお話ですね
っていうかブラックですね
とんちどころじゃないですねw

いや、本当に恐ろしいのは糖質中毒と高血糖ですか・・・

私は最近仕事のストレスのせいか、夜家に帰ってからの食事が糖質中心に傾いていたところです。おかげで最近の体重は増量傾向になっていました。Hba1cも5.9から6.2へ上がってしまいました。朝と昼は糖質制限ができているのですが・・・

合併症が出ないうちに今日のお話を肝に銘じてまた糖質制限を再スタートしたいと思いました。

面白いお話ありがとうございました。

カルビンチョ先生、初めまして。
教えていただきたいことがあります。

hga1cですが、病院によってはかなりの誤差があるものなのですか?
近くのクリニック(外注検査)は5.6
別の大きな病院(院内検査室)は6.1
僅か10日の間の検査、どちらもNGSPです。
いつも通りの糖質制限の日々で、この差に驚いています。

私は、三浦半島在住です。
先生はもうこちらでの診察は完全に終わられてしまったのでしょうか?
今さらながら、お目にかかれなかったことを後悔しています。

いつも参考になる記事を有り難うございます

今日のは面白すぎました!(≧∇≦)
思わずコメントさせて頂きましたが
これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます

こんばんは。

暑くなりましたね。お忙しい事と存じます。ご自愛下さいませ。

個人的にはブラックな方が好きです。先生らしい‼とすら思います(笑)

おもえば小学生の頃から色んな物にケンカうってきてる人生かも。

また、キッツーいブラックなお話をお待ちしております。

会社の人たちも何か買うときに糖質をチェックする習慣がついた模様。

お昼ご飯を見ても明らかに低糖質な物を選んでます。

ただ、レベルが違いすぎてオススメしてもらっても手が出ない物がほとんどです。

私の場合は一食で糖質10㌘以下でないと厳しいのです。

また楽しみにしております\(^_^)/

横レスですがりんさんへ。

2016年8月25日西日本新聞ですが、久留米大学研究員の小田部修一さんの記事で、HbA1cの測定法、HPLC法と酵素法で平均0.3の誤差があるとあります。
HPLC法はアークレイの製品、酵素法は協和メディックスの製品だそうです。
私の実感でも薬局での測定では機械を黙視する限りでは協和メディックスで、病院での測定は機械が目の前に無いので判らないけど病院の測定より0.3低く出る気がします。

機械のメンテしたばかりと部品が古いのでも誤差が出ると言ってる人も居るので何とも言えないんですが。
高い方を参考にしてた方がいいと私は思います。

チャバネ・・・うわあ!そこが自分的に一番ブラックですー。

実家の庭に大きな富有柿の木があって、スーパーのレジぶくろLLサイズに20袋ぐらいあまーい柿の実が採れてママ友呼んで柿狩りしても近所や保育園で配っても余りまくってたのを思いだしました。

父は20年ぐらい糖尿の薬を飲んでるようですが、目も足も腎臓も悪く無い。
一番の合併症は認知症だと思います。
柿の実はあんまり食べて無いと思うんですけどね。
父とは仲悪いから何の薬飲んでるか聞けないです。

ただ、父はお酒が好きで食事はどうでも良い人なので、だから高血糖防げてたのかなー?なんてこの頃思います。
お酒飲んで糖新生を阻害してごはん食べないで血糖値上がらないのかなとか。

先生。

2年ぶりにコメントさせていただきます。
中華レストラン効果というお題で、レタスの一気食いによる
弊害で、インクレチンとグルコガンという言葉を勉強させていただきましたmiyuと申します。

その後の食生活で、たとえ低糖質でもドカ食いをしないように気をつけて、美味しい肉料理をゆっくり味わう生活を心がけて…というようなサクセスストーリーは迷走中です(笑)。
結局、食事の内容に気をつけることができても、ストレス解消の手段として食べ過ぎてしまうという、食習慣を変えていくのはとても困難でして(^^;)食い意地が張っているこの性分が恨めしいですし、まさに、デ○に不思議のデ○なしですね。

すみません、今回コメントしたかったのはそういうトホホの愚痴を言いたいのではなくて。

さるかにがっせんのお話、読みながら心がざわつきました。
昔話に糖質依存の恐ろしさを織り込んで、合併症が出てくるあたりは心底ぞっとさせられました。
何より怖いのは、残酷な敵討ちの描写が、実は医療という名を借りた行為(好意?)で、今この瞬間も行われているという事実ですね。。。
そのことに、改めて警鐘を鳴らしてくださってありがとうございました。
それにしても、最後のオチがまた凄く怖かったです。。

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私のブログをまったく読まずに一方的に質問を投げかけるのはおやめください。 いただく質問の答えは、ブログ内の記事、あるいはコメントでのやり取りに記載されている場合が多いと思います。 量が多くて読むの大変だから、ということであれば、知恵袋などの質問サイトをご利用なさってはいかがでしょうか。 また、コメントへの返信やメールへの返信は「無償の善意の第三者」としてやり取りさせていただいているつもりです。 自分の家臣に問いただす殿様みたいな非常識な投げかけは、ときに無視しますので、あしからずです。 コメントやメールには医学的に間違いないようにお答えしたいと思いますし、急に忙しくなって対応できないこともありますので時間がかかる場合があります、ご了承ください。


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