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脂肪をエネルギーとして利用する能力で鳥は人間より優れている

鳥のケトン利用に関するお話です。


胎児の栄養素としての女性の皮下脂肪の話がバストアップへと脱線したので、鳥の卵の話に戻そうと思いますw



2015年4月3日のヤフーニュースに出ていました。

アメリカ大陸を縦断して移動する小さな渡り鳥、ズグロアメリカムシクイは、移動するのに三日三晩飛び続けるそうです。

その大旅行の前に彼らの体は劇的に変化するそうです。


まず、体脂肪をものすごく溜めこむらしいのですね、体脂肪率が数倍に上がります。

そして驚くことに、腸などの消化器の一部を吸収してなくしてしまうそうです。

渡りの間は何も食べないから身軽にすることもかねて不要な臓器を廃棄しちゃうというんですね、驚きました。

(もちろん、渡り終わったら再生するんでしょうけど)


*****
小鳥が自ら腸を吸収し3日間飛び続けることが判明

ナショナル ジオグラフィック日本版 4月3日(金)10時25分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150403-00010001-nknatiogeo-sctch
*****

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"Flickr - Dario Sanches - PULA-PULA (Basileuterus culicivorus) (3)" by Dario Sanches from SÃO PAULO, BRASIL - PULA-PULA (Basileuterus culicivorus). Licensed under CC BY-SA 2.0 via Wikimedia Commons - http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Flickr_-_Dario_Sanches_-_PULA-PULA_(Basileuterus_culicivorus)_(3).jpg#/media/File:Flickr_-_Dario_Sanches_-_PULA-PULA_(Basileuterus_culicivorus)_(3).jpg


鳥が絶食で飛び続けることができる理由としては、彼らが、脂肪(ケトン体)を主要なエネルギーとして直接利用できやすいことにあります。

その最大のポイント、鳥の赤血球は有核なのです。


人間を含む哺乳類の赤血球は分化の過程で核を失い、無核になりますが、その時にミトコンドリアなどの細胞内小器官も失います。

ケトン体をエネルギーとして利用するためにはミトコンドリアが必須なので、無核の赤血球がエネルギーとして利用できる栄養素はブドウ糖だけになります。

ところが鳥の有核の赤血球は、ミトコンドリアなどの細胞内小器官も保持しているので、ケトン体をエネルギーとして利用することができます。


「ほらみろ!鳥と人間は全然違うじゃないか!人間は糖をたくさん食べなきゃ死んじゃうんだ!」


と、小躍りしている人がいるかもしれませんね。

ふふふ。



実は、人間の赤血球も、有核赤血球が主流を占めている時期があるのです。

それはいつかというと、妊娠中の胎児の時期です。

お腹の中の赤ちゃんの赤血球は、妊娠中のある時期までは有核赤血球がほとんどであり、無核赤血球が出現してからもしばらくは、有核のものが含まれているのです。

(出産可能な妊娠の後半期にも有核赤血球が見つかります)


我々大人の赤血球は骨髄という造血器官で作られますが、胎児では最初は卵黄嚢という赤ちゃんの入っている袋が造血を行いますし、卵黄嚢の次には胎児の肝臓が造血するのですが、これらの時期の赤血球は有核赤血球が主です。

骨髄腔が発達して、骨髄造血が主流になるころになってようやく無核赤血球が主になります。

つまり、妊娠中の胎児は初めのうち、鳥と同じく、ケトン体をエネルギーとして利用できる赤血球を持っているのです。


悪阻の激しいころの妊娠初期の胎児なんか、有核赤血球がたくさんです。

渡り鳥が絶食して飛び続けるときと同じような、過酷な絶食状態にさらされる可能性の高い妊娠初期の悪阻の可能性の高いとき。


胎児の赤血球は、鳥と同じくケトン体を直接利用できる設定にある。

面白いと思いませんか?


このことを考えてみても、宗田先生の研究結果を考えてみても、

ケトン体は胎児の発育にとってとても大事なものでこそあれ、危険なものではないと思われます。

生理的なケトーシス状態で胎児は育つのです。


もちろん、命にかかわるような飢餓や栄養失調状態、あるいは糖尿病のコントロール不全による母親のケトアシドーシス状態(ケトーシスではなくて)が胎児の発育に影響を及ぼすことは否定しません。


ですが、このシリーズの最初の記事の

「妊娠糖尿病の妊婦さんでも糖質摂取は大事!」 リンク

なんて話にはなりません。


病的なケトアシドーシスと生理的なケトーシスを一緒にして怖がるのはそろそろやめにしてもいいんじゃないでしょうか?

⇒ ケトーシスとケトアシドーシス
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat29/post_152.html

そう、妊娠糖尿病の患者さんに糖質をバンバン食べさせる産婦人科の先生はこの両者の違いが理解できずに、恐れているだけだと思うのです。


と、いうことで、ようやく最初の記事に戻ってきました。




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2015年4月26日 11:45

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コメント(4)

 糖質制限を実践してからいろいろ意識が変わりました。健康過体重の方によく「運動ですよね」って語りかけられますが、「運動で痩せ続けたら最終的には死にます、でもあり得ませんね。だから最終的には痩せませんが、健康には寄与します」と言ってます。

 昔、大学時代の教授に「運動では痩せないよ、○○君!」みたいなニュアンスを言われ、若かった自分は???って感じでした。
 確かに運動を開始した2週間ぐらいで5㎏ほど痩せた経験があるんですが、半年間運動強度を上げ続けても減少しなかったです、毎日の体重測定は苦痛でした。

 そんなことを考えているうちに、極論ですがカロリー制限って死に向かっていく過程で痩せていってるんだ、じゃあカロリーを制限しない糖質制限は生きるための過程で必要なら痩せているんだって考えています。これって言い過ぎですか?

 トリはすごいですよね!さすが恐竜の生き残り!
ニワトリの性染色体の仕組みが違うとか、赤血球が有核だとか、
高校の図説でみて、ええー?っと思っておりました。
医師になってから、生物やったけどあんまり関係ねーなーと思っておりましたが、超関係あるなあ、と今は思います。
 たまたまホモサピ現代人の常識・期待と、実験に使わせていただいている基礎データの供給源の状況は、全然違っておる!
 ペンギンも、凄い脂肪蓄積能をもっていて、それゆえに漁師に狙われたはず。また、トリはものすごい免疫能をもっております。
 果糖を多く含む果実は、その多くが、トリに食べてもらう(不消化のまま種を排泄してもらう)ために進化しているはずです。担うトリは、とっくの昔に、糖毒性の問題を消化している可能性がありますね。それを横取りして、品種改良して、ヒトが年がら年中食らったら、…病気になりそうな気が。

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