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ビタミンCには神経毒性があり、大量に摂らないほうがいい?

ビタミンCに関していくつかコメントいただきました。

「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」に、

「1日400㎎以上の量では、ビタミンCはアンチオキシダントよりもオキシダントになり、神経障害をきたす可能性がある。あなたがすでにビタミンCを余分に摂っている場合には、それをやめるか、あるいは1日250㎎いかに減らすことを強く勧告する。」

と書いてあるので(第3版では69ページの欄外の"注意"のコラム)、摂取量を減らしていますというお話。



はてな? ビタミンCで神経障害?



という感じで、私自身はな~んにも気にしていなかったのですが。

なんだか先日のオリーブオイルには発がん性があるという話と似た匂いがして(;^ω^)。

ちょっとだけ調べてみました、


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PubMedで「vitamin c AND neurotoxicity」で検索してみました。


結果をザーッとみると、

ビタミンCはさまざまなものから神経を守る保護作用がある

、という論文報告が圧倒的に多い。


バーンスタイン先生の欄外の記述とは全く逆の話ばかり並びます。


でも、たまに、神経毒性があるという話が出てきます。


Prooxidant properties of ascorbic acid in the nigrostriatal dopaminergic system of C57BL/6 mice

Min Jeong Kanga, b, Sang Sun Leea, b, Hyun Chul Kohc,

Abstract

Ascorbic acid (AA) is a well-known reducing agent; however, under appropriate condition, it can facilitate oxidation. In this study, we investigated the effect of AA on dopamine (DA) and glutathione levels in the nigrostriatal dopaminergic system of male seven-week-old C57BL/6 mice (weight, 23?25 g). Mice were treated with AA (400 mg/kg, i.p.) once per day for four weeks, and changes in tyrosine hydroxylase (TH) immunoreactivity, DA and its metabolites, and glutathione (reduced and oxidized) in the substantia nigra pars compacta (SNpc) and striatum were measured. 以下省略

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0300483X12000170



Hypothermic inhibition of apoptotic pathways for combined neurotoxicity of iron and ascorbic acid in differentiated PC12 cells: Reduction of oxidative stress and maintenance of the glutathione redox state

Masashi Hasegawa, , Tohru Ogihara, , Hiroshi Tamai, Mayo Hiroi

Recent clinical trials have demonstrated the efficacy and safety of therapeutic hypothermia for neonatal hypoxic ischemic encephalopathy (HIE). We previously reported that the levels of non-protein-bound iron and ascorbic acid (AA) are increased in the CSF of infants with HIE. In this study, we investigated the effect of hypothermia on the combined cytotoxicity of Fe and AA for differentiated PC12 cells. 以下省略

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S000689930901172X

これらの話、実験動物の腹腔内に大量のビタミンCを反復投与したらどうなるかとか、PC12という培養神経細胞に鉄イオンとビタミンCを同時に投与すると神経毒性が誘導されるという話とかですね。

ある条件下の実験では、ビタミンCに神経毒性があるというものです。



・・・ふつうに人間が経口摂取する分にもそれ(神経毒性)があるんでしょうか?



1999年の総説ですが、その疑問に対する意見があるのを発見しました。

Does vitamin C act as a pro-oxidant under physiological conditions?

ANITRA CARR and BALZ FREI1

The Linus Pauling Institute and the Department of Biochemistry and Biophysics, Oregon State University, Corvallis, Oregon 97331, USA

?Correspondence: 1Correspondence: Linus Pauling Institute, Oregon State University, 571 Weniger Hall, Corvallis OR 97331-6512, USA. E-mail: balz.frei@orst.edu

Abstract

Vitamin C readily scavenges reactive oxygen and nitrogen species and may thereby prevent oxidative damage to important biological macromolecules such as DNA, lipids, and proteins. Vitamin C also reduces redox active transition metal ions in the active sites of specific biosynthetic enzymes. The interaction of vitamin C with 'free', catalytically active metal ions could contribute to oxidative damage through the production of hydroxyl and alkoxyl radicals; whether these mechanisms occur in vivo, however, is uncertain. To examine this issue, we reviewed studies that investigated the role of vitamin C, both in the presence and absence of metal ions, in oxidative DNA, lipid, and protein damage. We found compelling evidence for antioxidant protection of lipids by vitamin C in biological fluids, animals, and humans, both with and without iron cosupplementation. Although the data on protein oxidation in humans are sparse and inconclusive, the available data in animals consistently show an antioxidant role of vitamin C. The data on vitamin C and DNA oxidation in vivo are inconsistent and conflicting, but some of the discrepancies can be explained by flaws in experimental design and methodology. These and other important issues discussed here need to be addressed in future studies of the role of vitamin C in oxidative damage.?Carr, A., Frei, B. Does vitamin C act as a pro-oxidant under physiological conditions?

http://www.fasebj.org/content/13/9/1007.long

これも無料で読めますので各自で読んでいただきたいのですが、上の要旨の最後の三行だけを直訳すると、以下です。



ヒトにおけるタンパク質の酸化のデータがまばらで決定的ではないが、動物での利用可能なデータは一貫してビタミンCの抗酸化剤の役割を示しています。
生体内でビタミンCとDNA酸化のデータは、一定していなくて矛盾していますが、不一致のいくつかは、実験計画と方法論の欠陥によって説明することができます。
ここで説明したこれらの、あるいはほかの重要な問題は、酸化的損傷におけるビタミンCの役割を今後の研究にゆだねる必要があります



結論は出せないけど、ビタミンCに神経毒性があるという論文の中には実験デザインに問題があるものもある、という感じですね。



最後は自分の判断で。

2015年6月 6日 09:59

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コメント(6)

カルピンチョ先生、どうもありがとうございます!
結局、まだよくわからない部分もあるのですね。

私は現在、食事とわずかなサプリメントでほどほどの量のビタミンCを摂取しています。

今のところ特に不具合もないので、このまま現状維持でいいかな?と思っています。

なんでもそうですが、最後は自分で決めなくてはいけませんね。

私もCのサプリを飲んでます時代と共に情報って変わりますよね(>_

>100年前には当たり前の食事療法だったのに、インスリンが発明されてからは糖質を食べてインスリンで下げることの方が正しいとされてしまいました。

んーーそのほうが「人の欲望」を満たしながら、健康をある程度、維持できるという意味では医者、製薬会社、患者の利害が微妙なバランスで一致してるというのが根底の部分でしょうね。

冷却装置が壊れたというトラブルに対して、参加チームは大きく分けて2つの選択を迫られる。

飽くまで「完走」だけを目標に、順位を上げることを望まずとにかく、水温管理を徹底して、順位はともかく、最後まで走り続けた、リタイアだけはしなかった、最終的にレース中にゴールしたという事実や実績だけを残そうとする選択。もしかしたら交換部品の到着が間に合って、レースに復帰して、逆転できる僅かな可能性も無いわけではないが……


飽くまで壮絶に「戦う」ことを優先し、最後まで諦めずに、マシンを火だるまにしてまでも、あくまで「最前線」を守り続け「悔いのないレース」に固執する選択。

最終的には、エンジンのピストンは2-3個飛んで、あちこち、炎を噴き上げて、冷却水をぶちまけ、オイルも巻き散らして、自走することもままならず、ドライバーが自ら後ろから手押ししてるような壮絶な状況で、結局はゴールすらできず、不屈の闘志だけが讃えられる?ような状況は目に見えてるわけだが…

それぞれにドラマが想像できる話になるんだけど…

糖質制限がどっちの選択かと言われたら…
間違いなく前者だろうね。

そして、後者を選択する人は糖質を食べ続けたい人たちだよね。

どちらのイメージでも、一度、冷却系がぶっ飛んだら、レースの【優勝】はありえないって意味ではまず、冷却装置を壊さないことが一番大事だろ!って話になるわけだが…^^;

どっちがどっちかよりもよりクレバーだとは言い切れないかもしれない…^^;

私個人的には、火を吹き上げるマシンをドライバーが手押しする姿というドラマのほうが物語としては見たい気がするけどw

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