痩せる薬効が特許切れの抗アレルギー薬(アンレキサノクス)から発見されたとな?
面白いタイトルのニュースがあったのでちょっと調べてみました。
アンレキサノクスという口内炎の薬で肥満治療ができるかも?という話のようです。
しかも、特許切れになっている昔から使われている薬にそのような効果があるという話。
私、個人的にはとても好きな話です。
口内炎の薬に痩身効果? ネズミで確認、年内にも治験へ
CNN.co.jp 2月11日(月)12時40分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130211-35028071-cnn-int
(CNN) 口内炎の治療に使われる薬をネズミに投与したところ、肥満ネズミが痩せる効果が確認されたとして、米ミシガン大学の研究チームは10日、医学誌ネイチャーメディシンに研究結果を発表した。ネズミたちは食べる量を減らしたり運動量を増やしたりしなくても体重が減ったという。
研究チームは年内に臨床試験に踏み切る方針で、人間にも効果が表れる可能性は高いと期待を示している。
実験では、脂肪分の高い餌を与えて肥満状態にしたネズミに対し、口内炎の治療薬として米国で15年以上前から市販されているアンレキサノクスを投与した。
その結果、ネズミたちは高カロリーの餌を食べ続けているにもかかわらず体重が減り、アンレキサノクスの投与をやめると再び元の体重に戻った。
研究チームは複数の医薬品について調べた結果、代謝をコントロールする遺伝子に対してアンレキサノクスが作用することを発見。ネズミに投与すると、食欲を抑えることなく代謝を上げる効果があることが分かったとしている。
ルイジアナ大学で肥満などについて研究しているジョージ・ブレイ医師は、肥満を抑制するための新薬の開発につながる可能性があると期待を示す。
ブレイ氏は、性機能改善薬「バイアグラ」の開発史と似ていると指摘。ブレイ氏によれば、バイアグラは当初、胸の痛みを治療するために研究・開発が進められていたが、後に偶然、性機能を改善する効果が発見されたという。
臨床試験の結果、もし人間にも痩身効果があることが確認された場合でも、例えば心臓などほかの部分に思わぬ副作用が出る可能性もあることから、安全性の検証が不可欠となる。
また、アンレキサノクスを使い続けない限り体重が元に戻ってしまう可能性が高いことを懸念する声もある。
さて、この薬、実は日本では既に25年も前から使用されています(武田薬品 ソルファ)。
(特許が切れているので安価であり、かつ安全性も問題ない薬である、ということは日本の市場が証明してしまっているのですね。)
ただし、日本においてはアレルギー性鼻炎やぜんそくなどの疾患の症状を和らげる薬としての用途に限られており、肥満のことは誰も気がついていません。
また、アンレキサノクスは、病院での処方(医師の処方箋)が必要な薬です。
添付文書は以下で見ることができます。
ソルファ(アンレキサノクス)の添付文書
添付文書をちょっと見てみましょう。
【 効能・効果 】
?気管支喘息
?アレルギー性鼻炎
【 用法・用量 】
◇ 気管支喘息の場合
通常 、 成人には症状に応じて1回 アンレキサノクスとして
25~ 50㎎を1日3回 、朝、 夕及び就寝前に経口投与する 。
◇ アレルギー性鼻炎の場合
通常 、 成人には症状に応じて1回 アンレキサノクスとして
25~ 50㎎を1日3回 、朝、 昼及び夕に経口投与する 。
2. 副作用
承認時までの調査では 1,122例中 118例( 10.5% )に 、 市販後の
使用成績調 査( 再審査終了時点 )で は 6,401例中 168例( 2.6% )
に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている 。
以下の副作用は上記の調査あるいは自発報告等で認められた
ものである 。
0.1~ 5%未満 0.1%未満
1)過敏症 注 ) 発疹、 掻痒 呼吸困難
2)消化器 悪心、嘔吐、食欲不振、胃部不快感、胃痛、腹痛、下痢、胃もたれ
3)肝臓 AST( GOT)、ALT( GPT)の 上昇 黄疸 、 AL-P、 LDH、γ- GTPの上昇
4)精神神経系 頭痛 、 眠気 、 振戦 めまい 、 しびれ感
5)腎臓 BUNの上昇 、 尿蛋白の増加 、 頻尿
6)血液 好酸球増多
7)その他 動悸、 ほてり、全身倦怠感 、 浮腫
注) このような場合には投与を中止すること 。
さてさて、添付文書を見ると副作用として、薬物アレルギー反応(1)が最初に挙げられるのは当然として、その次が面白いですね。
2)消化器 悪心、嘔吐、食欲不振、胃部不快感、胃痛、腹痛、下痢、胃もたれ
非常に面白い。
マウスの実験では代謝をあげるからエネルギー消費が増えて肥満解消に効果があるとしていますが、現実にはこちらの効果が大きかったりしたら笑えますね。
胃もたれや食欲不振で痩せる薬かも(笑)。←単なる推測です。
まあ、やせることができるならどちらでもいいからこの薬売ってちょうだいと思う人も多いかもしれないけれども。
日本において、アンレキサノクスは、免疫抑制剤のステロイドなどの効果・効能とは関係なく、喘息を根本的に治療する薬ではない、補助的に効果がある薬であるとされています。
ロイコトリエンからのシグナルを抑えるからだ、と。
でも、ひょっとしたら違う作用機序でアレルギー性疾患を抑えていたのかもしれませんね。
痩せる効果が「アレルギー性鼻炎」や「ぜんそく」の症状を和らげているのかもしれないなと。
糖質制限するなどして肥満が解消すると多くのアレルギー疾患の症状が軽減することはよく知られていますからね。
なんだか、色々と考えさせられます。
メトホルミンのように、昔から使われている薬で新しい効果・効能が発見される薬はこれからも見つかってくるでしょう。
新薬の開発には安全性の確保の意味から作用機序がわかっていることが厳しく要求されますが、既に使用されている薬の見過ごされていた効果・効能に注目して新しい薬として適応を広げる、このことがもっと追求されてもいいのでしょうね。
その観点からすると、副作用としてリストアップされる症状の中に、新しい薬としてのヒントがたくさんあるのかもしれません。
(たとえば睡眠導入剤のドリウェルは第一世代の抗ヒスタミン剤であり、その副作用として中枢神経系に発現するヒスタミン受容体ブロックによる眠気誘発を新しい薬効として申請して市場に出た薬です。)
既存の薬の副作用の中にある、食欲不振などを手がかりに効能を再考することは、やせ薬開発の方法として有力候補かもですね。
たとえば、糖質制限に類似した薬(αグルコシダーゼ阻害剤)も、ひょっとしたら、糖質制限の効果として認められている効果・効能を新しい使用法として申請できるのかもしれません。
痩せる薬としてはもちろんのこと
睡眠時無呼吸症候群を改善する薬
逆流性食道炎の症状を和らげる薬
皮膚炎やアレルギーの症状を和らげる薬
肝機能を改善する薬
発毛を促進する薬
などなど、糖質制限で指摘されている効果・効能を歌う薬として再考することができるのかもしれません。
そして「逆もまた真なり」、であるものもなかにはあるかもしれない。
上にあげたような、糖質制限で認められる効果を効能としてもつ薬は、ひょっとしたら糖尿病の薬としても効果的なのかもしれない。
そうです、このアンレキサノクスなど、単なるやせ薬であるだけではなくて、糖尿病の治療薬としての可能性を秘めている薬であるとも考えられるのです。
この研究に関わったミシガン大学の広報ページはこちらです。
Old drug may point the way to new treatments for diabetes and obesity
アンレキサノクスが効いて肥満から回復したマウスの画像も載っています。
ミシガン大学は様々な疾患の患者さんのゲノムや血清をストックしていて、疾患治療を考えた大規模臨床スクリーニングを推し進めている大学です。
日本は全く太刀打ちできない物量であり、今回の研究結果は、それらのマテリアルをも用いて今後進められていくことでしょう。
日本は、そういう「物量に頼った」研究はできないのですから、考えましょう。
考えて、緻密に考えて、すでに存在するものの中から新しい宝石を拾い出す。
そのときに「糖質を制限したら体に良くないに決まっている」と決め付けるような頭ではなかなか新しいものに気がつかないと思います。
先入観をとっぱらって関連性を追いかけることで、さまざまな可能性を見つけることができると思うのです。
その意味では、自分で考えて糖質制限ライフを進めている我々は、すでに自由な発想でいろんなことを発見する能力をすでに身につけていると思うのですね。
医療とかに限らず、それぞれの分野で、新たな発見と開発を進めていく能力が高いと思うのです。
新たなアンレキサノクスを発見すること、世の中の役に立てること、ついでにそのお礼として豊かになること。
我々ならできます。
なんか、具合が悪くて痩せたようにしかみえませんよね^^
ならタバコはww
私はアレルギーバリバリで喘息でやばいときが
2回ほどあった過去を持ってます^^
抗アレルギー剤て気休めか眠いかいずれしかない
気がしてなりません < 極論
特にアトピーになんて・・全く効きません
皮膚科はちゃんとコントロールして投薬しているの
ですかねーーー・・・
# セレスタミンのゾロ飲んでます。
しかもマウスだしーーー
マウスには劇薬説をあげておきましょうw
naoさん
ぶはははは≧∇≦
眠いのは抗ヒスタミン剤の作用ですね。
あれはIgEが架橋されて入ったシグナルで肥満細胞から飛び出す刺激物質に対するレスポンスの一部を抑えるだけですからね、アトピーの根本的治療からはだいぶん遠い薬です。
それよりは糖質制限してワセリンで保湿している方がはるかにましな治療法なはずです。
ただ、セレスタミンならベタメタゾンが入っているので、ステロイドによる消炎作用は期待できるはずです。
もちろん、ステロイドで炎症を抑えたら徐々に離脱して、界面活性剤の使用を極力控えてワセリンなどで保湿に努めるのが皮膚にはベストだと思っていますが。
あーようは、ステロド以外の飲む薬は効いた事がないと
皮膚科の医師によく本当に抗ヒスタミン剤で効果あるの?
と聞いています^^
また、回答がはっきりしないんだ^^
これだから皮膚科は信用が受けにくいw
糖質制限後(私のはエセですがw)もアトピーにかんしては
あまり大きな変化ないです。
残念ですが、まー他にちゃんと原因があるのでしょう
片仮名の方のナオです(笑)。
ロイコトリエンは炎症エイコサノイドですよね。
肥満の脂肪細胞は炎症を起こしていると、以前N○Kでお医者さまが研究を披露してました。
肥満を解消するのではなく、脂肪細胞の炎症を是正するために痩せていくのでは……?
いつも勉強させていただいています。
ありがとうございます。
物量ではかなわない、そうですね。
アメリカの経済規模の3分の1から2分の1程度になった現在でも研究の物量ではかなわないのですね。
私が地方の国立の理系学生だった頃、実験用のビーカーを買う予算もなく、ポカリスエットのガラス瓶で実験をしていたことを思い出しました。
戦後すぐのころは当然基礎研究では欧米に後れを取っていたのでそれの応用でずっと最近まで日本は加工貿易で生きてきたのですよね。トランジスタだってアメリカの特許だったですよね。
よく思い出していきましょう。
アメリカの総合大学(ユニバーシティ)は本当に大きいですからね。十万人入るスタジアムとかビジネスジェット機を持ってたり。ただ規模の大きさだけでなく内部での激烈な競争があってさらにライバル校(ミシガン大ならミシガン州立大)の存在があるのが強みですね。物量じゃなくてそういうところを見習うべきでしょう。
太る(痩せる)仕組みには糖質制限以前から常々疑問を持ってました。自転車に乗っていたんですが、途中のコンビニで菓子パンやおにぎりを食べても痩せるんですね。二時間走っても消費カロリーはその半分ぐらい、いわゆるLSDで心拍数を130程度にコントロールしてますから全然たいした運動量じゃないんですがね。カロリー理論というのはどうもうそ臭いというのはけっこう自転車乗りの共通認識だと思います。三十分以上運動すると脂肪が燃えて痩せるというのは経験論で別に根拠はないんですがだいたい正しいんですよね。
私の同僚諸氏も四十近くなると太ってきて、セキやクシャミ、鼻水に悩まされる傾向にありますね。なんらかの共通因子が体内にある、第一容疑者は糖質および付随する血糖値の乱高下でしょうか。
naoさん
ステロイド意外の飲む薬でアトピー性皮膚炎に効く薬はないのか?
考えてみましたが、そういえばこの前夏井先生のところに、亜鉛のサプリメントを飲めば肌荒れが治った方の話が載っていました。
亜鉛のサプリメントならドラッグストアで買っても安いもんですし、騙されたと思って飲んでみてはいかがでしょうか?
科学的根拠は、、、あるといえばある、ないといえばない、私も屁理屈ならいくつか思いつきますが、まあ、飲んで見られるのが手っ取り早いかと。
効けばラッキーということで♪
片仮名のナオさん♪
ロイコトリエンなどを発現するのは肥満細胞(白血球の一種)です。基本的には近傍に存在する細胞を刺激します。内臓脂肪の肥大が原因として進む慢性炎症の場合、主役は脂肪細胞、マクロファージ、CD8T細胞と考えられています。この場には血球系の肥満細胞の関与は考えられていません。
・・・ですが、可能性として考えてみるのは面白いですね。実は腹腔というスペースにはマクロファージだけでなく肥満細胞が一定数います。内臓脂肪肥満の状態にあるときに肥満細胞がどのようになっているのか、活性化しているのかどうか?
近々に調べてみたいと思います。
ありがとうございます♪
しんさん
「物量」とシンプルに書いたのが混乱を招いたかもしれません。
ここで私が書きたかった「物量」というのは「臨床研究材料」のことです。
アメリカでは医療費を無料にするなどの条件と引き換えにさまざまな患者さんサンプルの「生検」や「新薬の臨床実験」を容易に大量に手に入れることができます。
それは医療に限らず、化粧品開発などにおいても同様です。
「選択の自由」が保証されていますし、「全員が等しく絶対安全である安全基準」も強く要求されることはありません。
「これこれこういう副作用がありうるけど、こういう条件と引換えて試験に参加しますか?」というのが日本に比べればやりやすいし、自己責任承知で参加するモニターさんもたくさんいる、その点の差です。
日本では、たとえお金があってもできないことです。
そこのところにどうしようもない大きな開きがあるということが書きたかったのです、失礼しました。
でも、ビーカーの話、よくわかります。
私の昔いた地方大学でもワンカップ大関とか、ガラス瓶のつぶつぶみかんジュースの空き瓶とか、実験室にはゴロゴロしていました。
もっとさかのぼって聞けば、ピペットマンのチップを洗って再利用していた時代も当たり前にあったそうですから、そのへんは日本も十分豊かになっているのだと思います。
そして、その貧しい頃の頭の使い方をこれからも生かせれば、山のような「ヒューマンマテリアル」という物量による医学研究とは別の戦い方で勝てると思うわけです。
SLEEPさん
おっしゃる通りですね、アメリカの一流の人たちは普通の勤勉な日本人をはるかに上回る勤勉さと集中力を持って仕事に取り組んでいると思います。
単に物量のせいにして、負けても仕方がないなどとは言いたくないです。
前向きに頑張ります。どうも失礼いたしました。
自転車、私も1年半ほど自転車通勤していた頃には毎日2時間、36kmほど乗っていました。
それだけ自転車こぐと、ちょっとやそっと食べても太りにくかったです。
筋肉量も増えるし、血流も良くなるから基礎代謝がかなり高くなっているというのがありますよね。
(それでも消費を上回って食べ過ぎれば私の場合は太ってましたが(^_^;)。)
ただ、あの頃は私もSLEEPさん同様に、私も糖質摂取のことを全然気にしていませんでした。
もしも糖質制限を取り入れて自転車通勤もしていたら、今頃どれだかかっこいい50過ぎオヤジでいられたかと思うとけっこう残念です(笑)。
なるほど、「臨床研究材料」の量ですか。
日本だとやりにくいのですか。
やはり自己責任の社会的概念が違うのでしょうね。
法的にも規制等が強いのでしょうか?
もし教えていただければ幸いです。
地方大学はいずこも同じなのですね。
とにかくお金がなかったみたいです。
日本は、世界で売りになるものが少ないので、技術で生きていくしかないというのが、戦後からの方針でしたね。
それが今は忘れられているような気がします。
戦略が必要ですね、世の中の仕組みも。
糖質制限の効果を立証するためだったら、私は臨床研究材料になりたいですね。
カルピンチョ先生~!
肥満細胞ではなくて、脂肪細胞が大量に増えた状態のスライドを表示していたと記憶しています(笑)。
その大量の脂肪細胞に新しい血管が作られ、絡まった画像がすごく恐ろしかったので忘れないでいたのです。
細胞ってたくさん種類があるんですねぇ。
生体の仕組みは複雑で難しいですね。
面白い記事がありました。
http://robust-health.jp/article/preventive01/000107.php?page=1
低脂肪食で基礎代謝量が-205、総消費が-423
低炭水化物食で基礎代謝が-133、総消費が-97
基礎代謝量が増える(この場合はアメリカ人の標準的な食事でしょうから減ってますね・・・)というのは糖質制限経験者、周知の事実でしょうが総消費カロリーでここまで差が出るかねと。またこの調査をふまえると時々目にする糖質制限で活力が出ない、頭が働かないというのはウソだなと。
一方で尿中コルチゾール、CRPの高さですが、そりゃ総消費カロリーでこんだけ差が出れば当然という理解でいいんですかね?というかむしろ体内の炎症に対する治癒に対しての指標と捉えるべき?
最近クリント・イーストウッドの映画を見ましたが相変わらずかっこよかった、台詞回しも完璧で、割れたビール瓶を喉元に突きつけるシーンなんかまさにダーティ・ハリーのイメージそのままでした。
しんさん
アメリカで臨床研究材料が集めやすい、それに反して日本では難しい、その理由はいくつもあります。
1.日本が誇る「国民皆保険」制度、みんなが等しく安価に世界で最高水準の医療(最先端のという意味ではなくて標準的なという意味でです。)の恩恵を受けることができます。貧困層も、というか、生活保護を受けている場合は医療費は原則として自費負担もありませんからね。
ところがアメリカの場合、国民皆保険はなくて、医療保険は民間のものに自分で入るものです。しかも医療費はべらぼうに高い。たとえば虫垂炎で緊急手術で1週間入院したら500万円ぐらい請求されるのは当たり前です。
貧乏人は治療を受けることができません。このときに、治療費は取らないから臨床治験に参加してくれないかと言われたら?喜んで参加しますよね。
患者の診療費を肩代わりする財源、これがまず必要です。
それは日本においても同じですね、アメリカより安いとは言っても、「治験」である以上、皆保険制度で負担している税金支出分も研究費から負担しなければならないわけです。
十割負担しなくてはなりません。その資金、日本とアメリカでは額が全く違います。
また、ご指摘の
2.倫理観の問題
3.法的な規制の問題
これらもすべて上の問題とリンクしてきます。
日本の医療は誰にでも平等に一定水準の医療を提供するようにと考えて作られていますから、既に安全であるとわかっている医療を官も民も求めます。
そのときに人とは違う新しい治療法を受けてみたいと思う人が一体どのぐらいいるのか?
薬効成分の入ってないプラセボ内服群に当たるかもしれない、新薬の群に入った時には、まだ見つかっていない副作用が見つかるかもしれない、そう言われて「安くて標準的な皆保険制度の医療」をあえてやめて、新しい方法にチャレンジしてみましょうと思う人がどのぐらいいるでしょうか?
そして、自己責任をとることを徹底的に避ける日本の「官」にそのチャレンジをすることに対しての裁定をもらわなければなりません。
よくわからない新しい臨床医学研究を許可する書類に喜んでハンコを押す「官」の人はいませんよね?
その状況でアメリカの大きな研究機関並みの数の治験参加者(一群あたり数百人規模が最低線でしょうね)を集めるのは難しいです。
でも、これは単純にどちらの国がいいかとか悪いかとかいう問題ではないですよね。
国のシステムや社会全体の倫理観やコンセンサスの問題ですから、日本とアメリカ、どちらにも一長一短があります。
なんでもアメリカが優れているわけではありませんし、日本が優れているわけでもありません。
だから日本では日本なりの医療研究に取り組んでいくべきだ、ということを書きたかったわけです。
ナオさん
肥満細胞(ヒスタミンを放出する白血球の一種)と脂肪細胞ってよく誤解されますよね。英語だと全く違うから誤解はないのですが(笑)。
脂肪細胞で炎症が起こる時には、しかしながらマクロファージやT細胞の一種がそこに集まってきて、彼らが炎症性サイトカインを産生することが問題だというのは比較的コンセンサスが得られている概念です。
肥満細胞は脂肪組織にはあまりいませんが、血管周囲にはたくさんいます。
脂肪細胞に絡み合っている血管の周囲の肥満細胞が炎症性サイトカインを発現して内臓脂肪の慢性炎症に寄与しているという可能性は、ないわけではないと思います。(そういう論文も幾つか見つけました。)
ただ、そのときに関係してくるのは「TNF」とか「IL-6」であって、ロイコトリエンではないようです。
でも、ありえないとして否定されているわけではなくて、見られていないだけかもしれないです。
肥満細胞の機能について興味を持つ人はアレルギーに興味を持つ人がほとんどで糖尿病に対しての興味はあまり持たないはずですから。
結論、関係性は現時点の論文漁りではよくわかりませんでした。
(・_・)ノ☆(*__)
SLEEPさん
この論文はスーパー糖質制限食で体に起こる変化を明快に表してくれていますね。
なぜ糖質制限すると効率よく痩せるのかを明瞭に表してくれています。
スーパー糖質制限食
エネルギー源の10%が炭水化物、60%が脂質、30%がタンパク質食
HDLが上がり、中性脂肪が下がる、
基礎代謝は1日平均-138kcal
総エネルギー消費は1日平均-97kcal
低脂肪食
エネルギー源として60%が炭水化物、20%が脂質、20%がタンパク質
HDLは一番低く、中性脂肪は一番高い、
基礎代謝の低下は1日平均-205kcal
総エネルギー消費は1日平均-423kcal
そして、中間食
エネルギー源の40%が炭水化物、40%が脂質、20%がタンパク質
どれも上の二つの中間の値。
コルチゾールとCRPが高い理由については、今の時点でわたしにもよくわかりません。
考えてみます。
後、この論文の考察の中で
「スウェーデンで行われた女性対象の調査でも、「低炭水化物ダイエットを長期間続けると、心血管疾患のリスクが増加する」という結果が出ています。」
という、スーパー糖質制限食の危険性に注意を促す文章がありますが、これは例のBMJの論文の話ですから、危険だと言われているのは実は「糖質摂取率30~40%の中間群」の話です。
毎度のことながら、なぜ、話がすり替わるのか?
不思議ですね。
カルピンチョ先生。
お騒がせしてすいませんでした〜。
与太話でしたね。
でも『なるほど!』と感心仕切りでした。
丁寧で解りやすい説明いつもありがとうございます。
インターロイキンと腫瘍壊死因子は肥満関係を調べてると必ず出てきますよね。
あっちこっち、いろんな生化学的ものを漁って読んでいると、部分でしか理解できてないので、色々な勘違いを起こしてしまいます…。
カルピンチョ先生のおかげで、すじ道が明確化されるのがたまらなく楽しいです。
ナオさん
いえいえ、新しい発見や発明はしばしば
「勘違いで関係ないものを結びつけたときに生まれる」
と私はつねづね思っています。
それに、理屈はわからないけどなんか引っかかる、って関係性の中に真実があったりするんです。
あの人は感が鋭いね、とかいう第六感というやつ、実は勘ではなくて、潜在意識の中では筋道立ててつながってたりするモノなんじゃないかと思うんですよ。
だから与太話のように思えるものも歓迎(^O^)。
またよろしくお願いします。
カルピンチョ先生〜!!
すみません、ありがとうございます!
これからも勘違い多目の与太話(笑)書き込ませていただきま〜す!
>>メトホルミンのように、昔から使われている薬で新しい効果・効能が発見される薬はこれからも見つかってくるでしょう。
『「寿命120歳」不老薬に現実味 実は安価な糖尿病薬 米で臨床試験許可』
『アンチエイジング(老化防止)薬として臨床試験が行われるのは、1940年代から世界で広く使われている2型糖尿病の治療薬「メトホルミン」』http://www.sankeibiz.jp/express/news/151202/exh1512020000001-n1.htm
>カイゴロンさん
メトホルミンを飲んでる人はけっこうたくさんいるみたいですね。
ジム・ワトソンも勝手に飲んでるんじゃなかったっけ?
メカニズムから考えると、やはり2型糖尿病の原因であると考えられるインスリン抵抗性の上昇は長生きの敵、ということですよね。
糖質摂取するならメトホルミンを飲む、という軽いマッチポンプも選択肢の一つとしてはいいのかもw