猫の皿 糖質制限版
<さて、枕だよ。>
最近は活字離れ、本離れが激しいって言いますけど、ほんとみたいですね。
つい10年ばかり前に、新しい古本屋のスタイルだって一世を風靡したブックオフね、「本を売るならブックオフ~♪」ってあれですけど、赤字で困ってるって言うじゃないですか。
なんでも、本を買いに来る人も売りに来る人もめっきり少なくなっちまったらしいです。
本屋業界も困ったもんですよね。
そうなると、せどりをやってる人たちも仕入れ先が減って苦しくなるのかな?
いや、せどりってのはね、ブックオフみたいな何でも同じ値段で売ってる古本屋とかで、掘り出しもんを見つけて転売する商売のことです。
Amazonですごい値段で中古本に値段ついているのも、ブックオフで仕入れたお宝本だったりするんですね。
こういう商売って骨董品業界には、実は昔っからあるんです。
今と違ってブックオフとかAmazonとかはないから、地方に仕入れに行ってお宝を見つけては、価値の分かってない持ち主を言葉巧みにだまくらかして、安く買いたたいて、江戸の収集家に法外な値段で売りつけるって商売です。
旗氏(はたし)っていいましてね、ほんとに、あこぎな連中だったらしいですよ。
そんな旗氏が川越あたりまででかけて、買い付けに行ったときの話なんですけどね。
「あ~、つかれちまったなあ、今回はろくなもんがねえや。
わざわざ川越くんだりまで来たっていうのによ。」
旗氏の作兵衛、川越の農家で、実は中国の価値物の壺が水入れに使われているという話を聴きつけてやってきたのですが、すでにほかの旗氏に買いたたかれておりました。
「さ、この坂道を下ればようやく船着き場、川越も終わりだな、ちょっと休憩するか~、お、あつらえ向きのところに茶屋があらあ、商売上手な野郎だね、まったく。」
茶屋の暖簾をくぐって声をかけ、作兵衛は表の椅子に腰をかけます。
「おう、おやじ~、団子をおくれ、二本でいいや、うまいところを持ってきてくんな。」
「へいへい、うまいところもなにもうちの団子はどれも同じ味で、どうぞ味わってください。」
「お、早いねえ、どれどれいただこう。
く~っ!山道を歩いてきたら糖質がなおさらうまいねえ!」
名物の峠団子なるものを食べていた作兵衛、ふっと足元に目をやりますってえと、ずいぶん年を取った猫が歩いております。
「あれれ、ここらへんの猫かい、ずいぶん年取ってるけど、その割には、きびきび動くねえ。
元気な年寄り猫か、江戸の下町の年寄り猫でこんな毛艶のいい奴はいねえや、へへ、いいもん食わしてもらってんだろ。
あ、こらよってくんな。
おでこをこすりつけんじゃねえ、毛がつくだろ毛が。
しっしっ。」
そう言って追っ払った猫の歩く先を見ると、茶屋のおやじさんが出てきました、器に何やら餌を入れてやってきます。
「あれ?おやじ、この茶屋の飼いネコかい?」
「いえ、うちの猫ではないんですが、最近ふらっとやってきましてね、あんまりよれよれでかわいそうだったんで、餌をやったら 居ついちまったんでさあ。」
「け、物好きだね、こんな年寄りの猫に餌なんかやって。
それにしても、年寄りの割に毛艶がよくて元気そうじゃねえか、この猫。
米でも食わしてやってんのかい?」
「へへ、ご冗談を旦那。
米はあっしら人間の食べもんでさあ。
猫は本来肉食だといいます、近くの川で捕まえた小鮒や、山で取れた鳥の足の肉なんぞを軽くあぶって食わしてやってます。
そしたらこうやって元気になるんですよ。
猫に米食わしちゃだめですよ、旦那。」
「ほえ~、いい身分のお猫様だねえ。
江戸の猫は人間の食べ残しに味噌汁ぶっかけたもん食べてて、それでもぜいたくだって言うのに。」
「だんな、だめですって、そんなもん食べさせたらこんな年寄り猫はあっという間に体壊しちまいますよ。
猫は肉と魚以外は食べさせちゃいけませんって。
ほんとは人間もその方がいいんですがね。
そしたら団子屋なんかやってられませ・・・おっと、失礼、聞かなかったことに。」
「ふ~ん、それで毛艶もいいし、元気なんだな。
おお、小鮒がたくさん入った器だな、へへ、薄汚いけどちゃんと陶器の茶碗じゃねえか、木の茶碗じゃねえんだね・・・・・・・え?ええ?」
「だんな、どうかしましたか?」
「いや、ど、どうもしねえよ、気にすんな。」
「はは、そんなに一生懸命猫を見て、旦那、さっきは嫌がってたけど実は猫が好きなんですねえ。」
作兵衛、不意に黙り込んで、食い入るように猫を、いや、ネコの茶碗を見つめだしました。
(お、おい、まじか?いや、間違いかもしれねえ、いくらなんでも。
でも、あれ、こ、これはどうみても。
これ、初代柿右衛門の器じゃねえのか?)
あこぎな商売ですが目利きの腕は確かな旗氏の作兵衛、ネコの器がとんでもない価値ものではないかと見つめます。
そうしてるうちに、ぽりぽり、ぺろぺろ。
小鮒がいい塩梅に盛りつけられた器の中に顔を突っ込んでた猫が満足げに顔を上げると、エサが喰い尽くされたその中から出てきたのは鮮やかな赤色の絵です。
(ま、ま、ままm、まちがいねえ、これは初代柿右衛門の器じゃねえか、江戸にもってって金持ちに売りさばきゃあ、三百両は下らねえぞ!)
(そんな器を猫のエサ入れにしてしまうこのおやじは大金持ちなのか?)
茶屋のおやじの顔を作兵衛が見るってえと、おやじさん、人の良さそうな顔をしてにこにこしながらこっちを見ています。
「お、おやじ、こ、ここ、この猫の、ねこ・・・」
器が柿右衛門だと言おうとして、作兵衛、思いとどまります。
(いくらなんでも、こんだけの価値の茶碗、価値がわかるもんなら猫の器になんかするわけがねえ、つまりこのおやじは器の価値を知らねえんだ。)
(ということは、チャンスじゃねえか、ここで安く買いたたいて、というか、待てよ、茶碗を買うんじゃ無くて、ネコを買うってことにして安く買いたたいて、それに器をつけさせればいいじゃねえか!)
そう思いこんだ作兵衛、さっきまで触ろうともしていなかった猫を猫なで声で呼び寄せ始めます。
「ねこや、猫ネコ、こっちにおいで~。」
っていうと作兵衛、きょとんとしてる猫を抱き上げて膝に乗せちまった。
猫の方も、もともと人懐っこい猫だったみたいで、抱き上げられたらご機嫌で、ぐるぐるごろごろいいながら膝の上で丸まっちまった。
「おや、だんな、そんなに猫がお好きだったんですか?」
膝で丸まった猫をなでながら、作兵衛、ここが旗氏の腕の見せ所と、一商売打ち始めました。
「かわいいなあ、ぶち、ぶちやあ。」
「だんな、目はお見えですか、この猫はしまネコなんですけどね。」
「あ、す、すまねえ、うっ・・・。」
「だ、だんな、どうなさったんで!りっぱなだんなさんがそんな急に涙を見せるなんて!」
「いや、じつはなおやじ、うちにも猫がいたんだが、去年死んじまってなあ。そのなまえがぶちなんだ。」
「ああ、そうなんですか、それはかわいそうなことで。」
「うちのかみさんが可愛がってたんだけど、かみさんが糖尿病で調子悪くてよ、目は良く見えねえ、足は痺れる、尿もドバドバ出てたかと思うと最近は出が悪くて、寝たきりなんだ。」
「ありゃあ~、合併症のオンパレードですな、糖尿病の最終形ですな。」
「そうなんだ、おやじ。っておめええらく糖尿病にくわしいじゃねえか?」
「いえね、ネコも糖尿病で悪くなるってのを知りまして、食餌療法はどうすればいいかを調べたことがありますもんで。」
「なんだなんだ、ネコの糖尿病があるのかい。」
「ええ、そうです、ひょっとしてだんなのとこのぶちという猫も糖尿病だったんじゃないですか?」
(お、かかってきたぞ、うちは猫なんか飼ってないけど、そういうことにしちまおう。)
「そうなんだおやじ、うちのぶちも、目は良く見えねえ、足は痺れる、おしっこもでなくなって死んじまった。」
「ああ~そうでしたか、奥さんが可愛がってたとしたら、同じもんを食べさせてたんですね、人間でも白米の食べ過ぎで糖尿病や脚気になるんだから、ネコにそんなもん食べさせたら死んじゃいますねえ。かわいそうに。」
「え、そうなの?糖尿病は白米の食べすぎがいけねえのかい?栄養つけなきゃって毎日白米ばっかり食べさせてるけど、実はそれってかみさんの病気にも悪いのかい?」
作兵衛のかみさんが糖尿病で具合が悪いってところはほんとうだったみたいで、作兵衛、びっくりしました。
「そうなんですよ、ネコも人間も糖質を食べすぎると血糖が下げられなくなって糖尿病になるんです。食べるのやめたら治りますよ。」
「そうなんだ、これはいいこと聞いた!さっそく江戸まで急いで帰って・・・ととと、いけねえいけねえ、本業忘れてどうするんだ俺。」
「本業?何かこれからお仕事なさるんで?」
(あ、やべえ、目的が茶碗だってばれちまわあ)
「いやなにね、本業じゃなくて、ほんとうに言いたかったことって意味で本当の勤行、ほんぎょうなんでさ。おやじ、いや、ご主人、お願いがある。」
「へ、へえ、いったいどうなさったんで。」
「この猫、譲っちゃくれまいか?」
「へ?またごじょうだんを、こんな野良上がりのおいぼれ猫をくれだなんて、ごじょうだんいっちゃいけません、だんな。」
「いや、実はな、この猫を膝に抱いたときにわかったんだ、この猫はぶちにそっくりだって。」
「旦那、この子はしまネコですってば。」
「いや、ちげーんだ、抱き具合とよ、膝に載せた感じがもう、ぶちそっくりで、いっぺんで思いだしちまった。」
「はあ、さようですか。」
「そしてぶちのことが大好きだったうちの女房は目が悪い。」
「は、ははあ、ひょっとして。」
「そうなんだ、寝ている女房のところにこの猫を連れていって抱かせてやれば、ああ、ぶち、お帰り~!って、大喜びして、少しでも元気になってくれるんじゃないかとね。」
「なるほど~、そういうおはなしですか。」
「そうなんだ、ゆずってくれるかい?」
「お断りします。」
「 えええ!な、なんでだよう、うちのかみさんの話もしたし、ネコが似ていることも話ししたじゃねえか、事情もわかってくれたといったのに。」
「だんなさん、この猫は迷い猫ですがね、れっきとしたうちのネコです、具合が悪かったのを治してやるうちに猫の方もすっかり情を示してくれて、毎朝、私の寝床のある部屋の外で、にゃお~にゃお~と、鳴いて起こしてくれる。
餌をねだってのことだろうけど、かわいいもんです、そんななついた猫を、差し上げられません。
幸い、この山には野良ネコがほかにもいっぱいいますんで、そちらをとっつかまえて連れて帰っておくんなさい。」
「いや、ご主人、どの猫でもいいっていうんじゃねえんだ、この猫だよ、この子じゃなきゃいけねえ、亡くなったぶちにそっくりなのはこの子だ、抱いて分かったんだ、ぜひ、是非に譲ってほしい。」
「そういわれましてもね~、ネコとはいえ、家族同然、そういう連れ合いを、失礼ですが旦那、どこのどういうお方かわからない方にお譲りするわけにはいきません。
それに先ほどもおっしゃってたでしょう、猫には人間の残飯くわせときゃいいって。
そんな猫の飼い方をする方にこの子はお譲りできません。
ちゃんとこの子に肉か魚を食わせてくれる甲斐性のある方じゃなくっちゃ。」
「お、おお、それはな、ご主人に言われるまで猫が糖質食っちゃいけないって知らなかったからなんだ。
それに人間だってそうなんだろ、糖尿病の患者に糖質食わせちゃいけないんだろ。」
「はい、それは間違いないことで、2型糖尿病の患者さんなら糖質制限すれば簡単に血糖値は改善します。」
「そう分かったのはさっきご主人に教えてもらったからだ、そうわかったのなら責任もって、うちの女房にも、この猫にも肉と魚を食べさせて、糖質なんか食わせないぜ。」
「旦那、意気込みはわかりましたが、お江戸で糖質制限するのには金がかかりますぜ、大丈夫ですか?」
「まかせろ、それが証拠にな、見ろ、ここに二両ある、これでこの猫をもらい受けようじゃねえか!」
(二両で譲ってもらって、ネコが慣れてるからってあの茶碗をついでにもらって江戸で売りさばきゃあ、おつりがくるどころの話じゃないからな、へへへ。)
「え!えええ~!二両ですか!こんな年寄り猫に二両!どんだけ金持ちなんだ!なるほど、だんなは糖質制限する生活には困らなそうだね。」
「わかったかい!そしたら二両で譲ってくんな、このネコ。そしてこの猫が向こうのくらしにすぐなじむようにだな、」
「お断りします。」
「え?いま、なんつった?」
「この猫をお譲りすることはできません、二両でも、うちの家族です。」
「えええ~!そんな、そんなに大事にしてる猫だったのかい!(こいつ、足元見て吹っかけてきやがったな!ちくしょう、負けてられるか!)
すまなかったな、そんなに大事な猫をこんなはした金で譲ってくれというのは申し訳なかった。
でも、こちらも病気のかみさんを元気にしてやりてえんだ。
あんたから聞いた糖質制限の話も、帰ったらすぐにかみさんにやってみるし、このネコにも白いご飯にかつお節かけたネコマンマなんざあ、食わせねえよ。」
「糖質制限なさるんですかい?このネコにも肉か魚を与えていただけるんで?」
「おおよ、まかせとけ、男に二言はねえ!」
「そうですか、糖質制限をしてくださるのは嬉しいです、メタボネコなんか見たかねえや。みんなが健康で医者知らずで過ごしてくれたら医療費もかからないってもんで。・・・でもなあ、二両かあ。(ちら)」
「わかった、わかったよ!懐にあと一両、三両あらあ、これでゆずってくれないか。お願いだ、この子を大事にするよ。」
「・・・そうですか、仕方ありませんね。この子をお譲りします。」
「おお!わかってくれたかい!ありがてえ、かみさんが大喜びだぜ!(しめしめ、そしたらあの茶碗もいただくぜ。)それでご主人、このネコなんだがね、川越から江戸の下町に連れていったら水が変わっちまって慣れねえだろ。」
「へい、あっしもそれが心配で。」
「良かったらこのネコが使い慣れている茶碗も持っていかせてくれないか、その薄ぎたねえ茶碗でいいからよ。」
「はい、わかりました、それではこのネコが普段使っているもう一つの木の茶碗がきれいに洗って置いてありますんで、それをお付けします。」
「え!いや、そういう木の茶碗じゃ無くてだな、その、今このネコがべろべろなめた陶器の茶碗、そっちをおくれ、ネコのにおいがついてるからそっちでいいや。」
「これは、ダメです。木の茶碗をお持ちください。」
「え!な、なんでだい?茶碗なんてどっちでも同じだろう?」
「いいえ、これは三両ぽっちでお譲りするようなもんではございません。」
「えええ!?そんな、ネコのエサの皿にしてる茶碗だぜ。」
「旦那さん、旦那さんはおわかりにならないかもしれませんが、これは初代柿右衛門の作でしてな、江戸に行けば三百両では売れようという価値ものです。」
「えええ!(げげげ、こ、こいつ知ってたのか)」
「私もこうみえて、昔商売をやって景気がよかったことがありましてね、左前になって財産売り飛ばして、今は茶屋のおやじをしていますが、景気がよかったころに買った道具の中で、これだけは気にいって手放せなかったんでございます。」
「お、おやじ、そんな価値ものだと知っていながらどうして猫の茶碗に、柿右衛門をこんな猫の皿になんかしてるんだい!?」
「へい、実はこの柿右衛門、猫の皿にしておりますとね、糖質制限についてお伝えできます上に、
・・・ときどき、猫が三両で売れます。」
おあとがよろしいようで。
くすっ(゚∀゚)
とんちがきいてますねw
うちでは犬を飼っていますが、少しでも糖質制限風になるようにドッグフードに卵混ぜたりシーチキンやサバ缶まぜたりして、できるだけ糖質の比率が下がるように気を付けています。
効果としては大したことないかもしれませんが、少しでも糖質制限に近づけられればと思ってますw
カルピンチョ先生、
“猫”というタイトルに飛びついてしまいました!
うちの猫が一昨日の診察でちょっとホッチャリ気味で(それがまた可愛いんですけど♡)、ペットに糖質制限ってどうなんだろう? 完全栄養食と言われるカリカリって、実際どうなんだろう?と考えていたところだったんです。
フードの“成分”に“たんぱく質28.5%以上、脂質8.5%以上”とはありますが、炭水化物量は書いてないです。でも“原材料名”の筆頭は“トウモロコシ、コーングルテン”で、うーん・・・?? それに続いて“ミートミール、動物性油脂、セルロース、全卵粉末、フィッシュエキス、フィッシュミール、チキンミール、フラクトオリゴ糖、チキンレバーパウダー”、そしてここの下位へ来てようやく“小麦粉”、あとはビール酵母、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、酸化防止剤(まあ、仕方ないか)・・・なので大丈夫かな。
ストルバイトケアの療養食なので、ヘンに自作するよりは安心ですかね。
肝心のお話については・・・オチは大いに笑えましたけど、作兵衛さん、猫を連れ帰りはしませんよねぇ? ちょっと心配。
先生も、猫がお好きなんですか?
猫にかまけて、大事な論点を見落してたりしてませんかしら。
物事の価値が分かる見識ある人は糖質制限をちゃんと知っている、とか??
3年前に旅立った我が家の愛猫は推定10歳のときに糖尿病になり、朝晩インスリンを打っていました。糖尿になってから7年間も生きてくれたので、血糖コントロールはうまくいっていた方だと思います。しかも血糖測定器を使わずに尿糖試験紙だけでコントロールできていました。うちの猫は缶詰をメインに食べていました。ドライフードは固めるためにけっこうたくさんの糖質が入っています。一方の缶詰は固める必要がないので、たんぱく質&脂質がたっぷりです(ツナ缶みたいなものですね)。食事量も決めていたので、今思い返すと、自然にカーボカウントをしていたのだと思います。
(最近は低糖質のドライフードもありますが、お値段もそれなりにするようです。缶詰もドライに比べたらコスパが悪いので、保険の効かない動物の治療費と相まって、なかなか大変でした。やはり糖質のメリットは安価なところなんですよね…)。
そんなコントロールの良かった猫も、たまに予測不能の低血糖で倒れることがありました。そのたびにニンゲンは夜中に飛び起きて、倒れてけいれんしている猫の口の中にどろどろの砂糖水を必死で押し込んでいました。
猫が亡くなる数年前、私自身が2型糖尿病だとわかったとき、どうしてもインスリン治療を避けたくて必死で情報を集め、糖質制限にたどり着きました。もちろん、糖質制限だけで血糖管理はバッチリです。これも愛猫のおかげです。彼はインスリン投与のリスクを、身をもって私に教えてくれました。
余談ですが、冒頭で申しましたとおり、うちの猫は尿糖試験紙のみで血糖値をチェックしており、私自身も測定器は使っていませんでした。最後は腎不全を併発して自宅輸液が必要になった猫の治療費が嵩み、自分のために測定器を買う経済的余裕がなかったのです…。でもあるときから愛猫の血糖値にかなりの乱高下が見られ、尿糖試験紙でのチェックが当てにならなくなり、ついに測定器を買うことにしました。
……でも、間に合いませんでした。測定器が自宅に到着したのは、愛猫の葬儀の翌日でした。届いたばかりの箱を抱きしめた瞬間、大粒の涙がこぼれました。
愛猫の置き土産になった測定器は私が使っています。しっかり測って長生きしてねと、天国から励ましてくれているような気がしてなりません。おかげで何をどれだけ食べれば血糖値が上がるかわかるようになり、食事の幅が広がりました。
記事とあまり関係ない話を長々と失礼しました。カルピンチョ先生、不適切だったら非公開にしていただいてかまいません。
最後に。猫と暮らしている皆さん、猫の食事は缶詰か、あるいはドライフードにしても低糖質のものを選んであげてくださいね~。
再び失礼します。またまた記事のテーマとは直接関係ないのですが、血糖測定器について思い出したことがあります。
前のコメントで自分のために測定器を用意しなかったと書きました。経済的事情もありましたが、血液検査の結果が毎度良好だったので、自分には必要ないと思っていたのも理由です。さらに、自分の指に自分で針を刺すのが嫌だったというのもあります。
でも愛猫が身を削って残してくれた測定器を無駄にするわけにはいかず、勇気を出して使い始めたのですが、使って良かったとしみじみです。
食事の幅が広がっただけでなく、空腹時でも興奮しているときは血糖値がけっこう上がることがわかり(私の場合は通常90台の数値が130になっていたことがありました)、ストレスマネジメントも必要だなあとか、騒音性難聴の治療でステロイドを服用していたときは(ステロイドは血糖値を上げるので)、測定することで、どれだけ食事の糖質量を抑えればいいかが容易にわかりました。
針を刺すのもすぐ慣れました。私は仕事で指先をよく使うので、手のひらで測っています。手のひらだとほとんど痛みはありません。
というわけで、あくまでも私の経験からですが、2型糖尿病の方は医師の指示がなくても測定ができるようにしておくと、何かと便利だなあと思います。
測定器やチップがもっと安く手軽に求められるといいのですが…
こんにちは。
「猫の皿」は大好きで数限りなく聞きました。
そして糖質制限をこの噺に持ち込むとは素晴らしいです!
オチもいいし
「こんな年寄り猫に二両!どんだけ金持ちなんだ!なるほど、だんなは糖質制限する生活には困らなそうだね。」
と言うところも大笑いし、血糖値が10mg/dlほど下がりました(?)
次作にも期待します。
よねさんへ
グレインフリー、通販などで検索すれば穀物不使用ほぼ肉類だけど素材としたペットフードが買えますよ(高いですが)
欧米ではかなり前からペットフードは穀物不使用が流行で、いろいろなメーカーから販売されています
カルピンチョ先生へ
自分は猫の治療食で生肉から手作りする食事療法やグレインフリーフードなどをかなり前から知っていましたが、頭が固くそれを人間に当て嵌める発想が全くなく猫には肉食をさせて自分は糖質をたっぷり取っていました。
先生はすぐに動物にも糖質制限と考えられて凄いですね。
>よねさんさん
>くすっ(゚∀゚) とんちがきいてますねw
・・・ありがとうございます、話の流れと落ちは「猫の皿」という、私の好きな古典落語の一つです。
>うちでは犬を飼っていますが、少しでも糖質制限風になるようにドッグフードに卵混ぜたりシーチキンやサバ缶まぜたりして、できるだけ糖質の比率が下がるように気を付けています。
・・・いいですね、ご主人の愛情、ワンちゃんに届いていると思います。
猫と違って犬の場合、でんぷんを消化できるようにアミラーゼの分泌量が増したオオカミが人間の残飯を餌として一緒に住むようになってペット化したのが犬、ということですから、猫よりは糖質への耐性が高いと思います。
それでも、うれしい配慮だと思います、幸せですね、よねさんとこのワンちゃん。
>ちびあんこさん
タイムリーな猫話になってよかったです。
> フードの“成分”に“たんぱく質28.5%以上、脂質8.5%以上”とはありますが、炭水化物量は書いてないです。でも“原材料名”の筆頭は“トウモロコシ、コーングルテン”で、うーん・・・??
・・・それは食べさせない方がいいでしょうね。
猫の場合、犬と違って人間の残飯を食べるようになったオオカミのような遺伝子変異は生じていないと思います。
基本的には原種のリビアヤマネコのままでしょう。
それであれば肉食で、トウモロコシを消化する能力は高くはないと思います(ゼロではないのだろうと思いますが)。
>肝心のお話については・・・オチは大いに笑えましたけど、作兵衛さん、猫を連れ帰りはしませんよねぇ? ちょっと心配。
・・・落語の猫の皿のお話はここまでで終わりなんです。その後、猫がどうなったかは、確かに気になりますねえ。わざわざ連れて帰ったりはしないと思いますよ。放置して江戸に帰ったんじゃないかなあ。
ネコちゃん、茶屋に戻ってきて、また茶屋の主人に三両稼がせて、さらに良い餌をもらってたりして(笑)。
>猫にかまけて、大事な論点を見落してたりしてませんかしら。
・・・だいじょうぶです、私も猫が好きだからこの話が好きなんです、それでいつか、どこかで紹介できたらいいなと思っていて、強引に糖質制限のはなしにしてみました。
ありがとうございます。
>月夜野うさぎさん
大切な猫ちゃんの思いでの公開、ありがとうございます。
7年間の闘病生活、2007年に糖尿病になった子だったんですね。
その時点では私も、糖尿病が糖質制限で治るなんて全く知りませんでした。
研究職とはいえ、医者にしてこれですから、その当時に糖質制限にたどり着くことのできた方々は日本ではごく少数だったのでしょうね。
(釜池先生、江部先生の本は1999年、2005年に出版されてはいますが)
そんな中で
>缶詰は固める必要がないので、たんぱく質&脂質がたっぷりです(ツナ缶みたいなものですね)。食事量も決めていたので、今思い返すと、自然にカーボカウントをしていたのだと思います。
・・・よかったですね、しっかり低糖質の食事を食べさせてもらっていた猫ちゃん、最適な食餌療法をされていたのですね。
>そんなコントロールの良かった猫も、たまに予測不能の低血糖で倒れることがありました。そのたびにニンゲンは夜中に飛び起きて、倒れてけいれんしている猫の口の中にどろどろの砂糖水を必死で押し込んでいました。
・・・全く同じですね、今のインスリンを使った糖尿病治療の現場でのコントロール不良やシックデイの状況と。おつかれさまでした、そしておめでとう、死の淵から猫ちゃんを救いだせて。
>猫が亡くなる数年前、私自身が2型糖尿病だとわかったとき、どうしてもインスリン治療を避けたくて必死で情報を集め、糖質制限にたどり着きました。もちろん、糖質制限だけで血糖管理はバッチリです。これも愛猫のおかげです。彼はインスリン投与のリスクを、身をもって私に教えてくれました。
・・・はい、よかったです。
食餌療法というもっとも重要な点を間違ったまま、突っ走ろうとする日本の糖尿病治療、いい加減、そろそろ変わっていかないとまずいことになると思うのですけどねえ。
>しっかり測って長生きしてねと、天国から励ましてくれているような気がしてなりません。おかげで何をどれだけ食べれば血糖値が上がるかわかるようになり、食事の幅が広がりました。
・・・まさしくそうだと思います。ネコちゃんに感謝です。
> 最後に。猫と暮らしている皆さん、猫の食事は缶詰か、あるいはドライフードにしても低糖質のものを選んであげてくださいね~。
・・・はい、この記事を、そして月夜野うさぎさんのコメントを読んだ飼い主さんが一人でも多く、猫の食事と、自分の食事を見なおしてくれたらいいなと思います。
月夜野うさぎさん
>使って良かったとしみじみです。 食事の幅が広がっただけでなく、空腹時でも興奮しているときは血糖値がけっこう上がることがわかり(私の場合は通常90台の数値が130になっていたことがありました)、ストレスマネジメントも必要だなあとか、騒音性難聴の治療でステロイドを服用していたときは(ステロイドは血糖値を上げるので)、測定することで、どれだけ食事の糖質量を抑えればいいかが容易にわかりました。
・・・とてもためになる情報(実体験)をありがとうございます。
1型糖尿病の患者さんが糖質制限をするのをやめる理由の一つに、
「糖質制限しても、何も食べなくても血糖値が勝手に上がるからやってられないわ。何も考えずに普通の人と同じものを食べてインスリン打っておく方が楽よ。」
というのがあります。
その人その人で状況は異なるとは思いますが、2型糖尿病の月夜野うさぎさんでさえもストレスでそれほど血糖値が変動するわけですね。
このことを考えれば、1型糖尿病の人でも、精神的な、あるいは肉体的なストレスが副腎皮質を刺激して血糖値上昇に大きくかかわっていることは十分に考えられます。
であれば、そのストレスマネジメントを意識して、そういうときの血糖値チェックをふだんから頻繁にしていけば、
自分にとってやりやすい糖質制限のコツもつかめるはずなんですよね。
>モカさん
落語ファンさんからのあたたかいコメント!ありがとうございます。
ずうずうしく古典落語をいじってしまって不快に思われないかなと心配だったので、一人でもそう言っていただいてほっとしました。
> 次作にも期待します。
・・・糖質制限を古典落語にはめ込むの、楽しいです。
現代の医学知識と混ざるところ、話の整合性が難しい部分はありますが、
大目に見ていただければ次作も間もなくでございます(笑)。
>スイカさん
グレインフリーの情報ありがとうございます。
>欧米ではかなり前からペットフードは穀物不使用が流行で、いろいろなメーカーから販売されています
・・・そうなんですね、ペットの健康のためにも、みんなが糖質制限に興味を持ってくれたらいいですね。
>それを人間に当て嵌める発想が全くなく猫には肉食をさせて自分は糖質をたっぷり取っていました。
・・・猫はヤマネコから、犬はオオカミからの品種改良だから肉食のイメージもわきやすいけど、人間が石器時代に肉食(肉食動物の食べ残し)中心の食生活を送っていたとする考え方が出てきたのは最近のことですからね。
狩猟採集生活というとドングリのような堅果を食の中心に据えるイメージができあがっていたし、人間が肉食だってことはなかなかイメージしづらいと思います。
マウスやラットの解剖をしながら、人間の腹部手術を思い浮かべると、盲腸(虫垂)の大きさが全く異なることから言って人間がマウスやラットのような「草食中心の雑食」だなんて思いこむのはとんでもない勘違いなんだとわかるはずですが、医者でそこに気付く人が糖質制限が広がる以前にいったい何人いたやら、です。
>先生はすぐに動物にも糖質制限と考えられて凄いですね。
・・・すみません、自分が糖質制限をしてしばらくは思い至っておりませんでした(;^ω^)。
カルピンチョ先生
猫のことについてまでご返信いただき、本当にありがとうございます。
というのも、それを機にうちの猫のストルバイト尿結晶について調べたからです。
どうして今までちゃんと調べなかったのかと、自分を殴りたくなります。
動物病院で「ストルバイトがあるので、専用のフードを」とサンプルを渡され、何の疑問も持たずにそれを食べさせ続けていました。
思えば、フードメーカーが売り込みのために提供していたサンプルなんでしょうね。
そして私なりの結論:
先生のおっしゃるとおり、トウモロコシはよくなさそう。
消化に悪い → 便に水分を摂られる → 尿が減る → 結晶ができやすい・・・
なので他の方のおっしゃっていたグレインフリーのフードで糖質制限して、ストルバイトもよくこそなれ、悪くなることはなさそう。
初めは「病院の勧めるフードじゃなくて本当に大丈夫だろうか…」などと不安が残りましたが、カツオのように“自分の頭で考えて”みることにしました。
うちの猫はちょこちょこ食いなので、ウェットフードは衛生面で躊躇していたのですが、幸いドライフードでグレインフリー、かつ尿pHを中性に整えてくれるものが見つかり、早速アマゾンで注文。
あとは、猫が食べてくれるか、ですが。でも、お肉やお魚の成分いっぱいでおいしいはず?
明日が楽しみ。アマゾン命。カルピンチョ先生に感謝。m(_ _)m
カルピンチョ先生、
新しい猫フードが届きました。
ホールプレイ(丸ごとの獲物)特別比率で配合。
80%――鶏肉、白身魚、全卵など
20%――野菜、果物、ハーブ類
0% ――穀物類不使用
見た目からして、前の白っぽいうす茶色のサラサラの粒に比べて、黒っぽくてオイリー。
そして、<ガッツリ>食べてくれました!
これで家族全員の糖質制限ライフのスタートです!
>スイカさん
遅ればせながら、“グレインフリー”のキーワードをありがとうございました。
>ちびあんこさん
> そして、<ガッツリ>食べてくれました! これで家族全員の糖質制限ライフのスタートです!
・・・おめでとう! \(^o^)/
猫ちゃんともども健康目指してくださいね!
スイカさんへ
返信遅くなりすいません。
ドッグフードのアドバイスありがとうございます。
私も以前(2年ほど前)、穀物不使用のドッグフードをネットで購入して飼い犬に与えていたんですが、残念なことにうちの子は口に合わなかったのかあまり食べてくれませんでした(-_-;)高かったのに・・・orz
そんな訳で今は少しでもタンパク質の比率の高いものを購入して混ぜ物をするという苦肉の策です(^^;
猫とライオンは内臓の構造が同じ。多摩動物公園ではライオンの食事は週2回生肉をあげているそうです。
のでライオンが糖尿や虫歯にはなりません。
我が家の猫も生肉と糖質オフのカリカリだけでスリムで元気です。大好物は鳥の生肝と手羽元の骨。
>読者さん
>多摩動物公園ではライオンの食事は週2回生肉をあげているそうです。 のでライオンが糖尿や虫歯にはなりません。
・・・いいですね、間歇的ファスティングも効果的に♪
ライオンの野生を考えたら数日に1回で十分ですよね、生肉が食べれるのであれば
> 我が家の猫も生肉と糖質オフのカリカリだけでスリムで元気です。大好物は鳥の生肝と手羽元の骨。
・・・鳥の骨だけは、年を取って来たら注意してあげてくださいね。