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マクロビオティック・穀菜食は雨ニモ負ケズ丈夫ナ体ヲ持ツ???


食生活習慣病である2型糖尿病と派生する高血圧などの多くの疾患群。

それらを防ぐためにもっとも重要なことは

食後高血糖を回避し、それに誘導されるインスリン追加分泌を回避すること

です。


その直接的な方法としては、糖質制限があります。

どうしても糖質が摂取したいという方々向けにということであれば、

糖質制限以外にも

カロリー制限+運動

筋力増強と長時間の運動の反復

飢餓療法(笑)

といった方法があることを書いてきました。

食生活習慣病であり、運動不足が招くのではない2型糖尿病

http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat17/2_4.html

でも、なんとかして糖質を摂取したいという方々は他に健康になれる方法があるのではないかと模索されます。

カロリー制限と運動追加以外で高血糖を回避できる糖質摂取ライフ

そのひとつとして生活習慣病にならない食事方法だと言って提唱されている方法の一つのがマクロビオティックなどの菜食主義なんだと思います。

(あれといっしょにするな!って諸派がありそうですが^^;)


ですが、ほんとうにそういう食事方法は

人体の健康を維持するのに適しているのでしょうか??





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マクロビオティックというのは玄米と野菜摂取を中心とした、それも農薬を使わない自然菜食主義です。

彼らが忌避する食べ物は肉や魚、卵などの動物性たんぱく質や脂質です。

さらに特徴的なのは、白米、砂糖や小麦粉といった精製された糖質をやはり忌避することです。

マクロビオティック wikipedia


Wikipediaの解説を読んで解釈すると、目指すライフスタイルはこんな感じでしょうか。

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
欲ハナク
決シテ驕ラズ
イツモシヅカニワラツテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニイレズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ

・・・
(宮沢賢治 雨ニモマケズ)

玄米 稲.jpg


農業で得られる粗精製の穀物や野菜、発酵食品だけを食べて、
四季の厳しい自然環境に耐えながら質素に暮らし、生活する
そうすることで丈夫な体を持つことができる?


ふむ、マクロビオティックというものをそういう風に

総合的なライフスタイルである

と、とらえれば、

これもまた

「糖質中心の食生活をすることを前提に、それでも糖尿病になるのを回避するための」

有効な方法の一つ

であるのかもしれませんね。



一つ一つ考えてみましょう。

まずは食生活ですね。


1.白米や砂糖や小麦粉を避ける

・・・これはとてもよいですね。
精製した糖質はいとも簡単に血糖値を上げるので回避すべき食べ物として賛成です。


2.玄米と野菜とそれらの発酵食品を食べる

・・・玄米は白米よりは多少緩やかですが、多くの人では食後高血糖を誘導します。

結果として血管には厳しい食事です。

でも、同時に野菜や発酵食品(味噌や漬物)を摂取することで、血糖値の上がりをさらに緩やかになる可能性は高くなります。

あえてコメを食べたいという場合には少しでも状況を改善する上で最善の選択肢の一つであると考えます。

できれば室温まで戻して冷たくなった玄米を食べていただきたいですね。そうすればさらに食後高血糖の上昇カーブが緩やかになります←冷えた玄米がバサバサして食べにくいの知ってて書くワルピンチョ


3.玄米に限らず、野菜もできるだけ形のあるそのままのものを食べる

・・・これも、食後高血糖の上昇カーブを緩やかにする効果が見込めるので、コメを食べたいという人がとる対応策の一つとしてはOKだと思います。

野菜ジュースなんかよりは断然ましですね。


4.肉や魚、卵などの動物性たんぱく質や脂質を食べない

・・・これは普通の現代日本人の場合、栄養失調を引き起こしますのでお勧めできません。

ですが、馴化できた菜食主義者の腸内細菌はけっこう特殊で、お腹の中で食物繊維も含めて様々な成分を栄養にして繁殖し、アミノ酸や脂肪酸が盛んに作るようです。

パンダの腸内細菌みたいに特殊化しているわけです。←きょくたんな物言いだけどご理解ください

(逆に言うと、彼らの腸内細菌層を乱すような食べ物(肉、魚や精製度の高い糖質)を摂取すると、この人たちは簡単に体調を崩してしまう可能性があります。

 だから糖質制限を必死で批判するのかもしれないですね。)


次に日常生活を考えてみましょう。

マクロビオティックの考え方に基づけば、

自然の中(無農薬の自分の畑の傍ら)で、隙間風ヒューヒューの掘立小屋で、雨風はしのぐものの、エアコンなどは使わないで自然の気温の変化に耐えながら過ごすライフスタイルこそ正しいものである。

ということであると解釈します。

粗末な小屋 田んぼ.jpg

エアコンを使わないで生活する場合、自分の体温を維持するために消費するエネルギー量はけっこう大きなものがあります。

つまり、運動はしなくても、現代人に比べれば基礎的なエネルギー消費量が増えて来る可能性があります。

基礎代謝量が高くなる、というやつですね。


なんとなく見えてきましたね。

食生活習慣病を回避できるマクロビオティックなライフスタイルというのは


1.精製度の低い穀菜を食べることで食後高血糖の上昇を多少は抑え、

2.厳しい自然の中で耐えながら体温調節にエネルギーを費やし、かつ農作業に従事することで血糖を速やかに取りこみ、かつ消費し、

3.動物性の食物から摂取できない必須脂肪酸や必須アミノ酸は腸内細菌や発酵食品内の細菌の死骸を栄養として摂取することで補う。


そう言うライフスタイルと考えられます。



これが生活習慣病を回避する根本的な解決策かといえば、そうではないですよね。

これもしょせんは「糖質を摂取した上で食生活習慣病を回避する」という

「マッチ・ポンプな解決策」

の一つであると思います。


ですが、これのすごい利点はあります。

お金がかからないし、自然には優しい。

エコロジカルですね、間違いなく。


糖質制限がしょせんは他の動物や魚の肉を食べることを前提として成り立つ以上、人類すべてが糖質制限をしてく場合、人口は今よりもずっと少なくせざるを得ないでしょう。

それに比べれば、人類が選択できる現実的な選択肢の一つなのかもしれません。

(私は嫌ですけど^^;)


食生活習慣病を回避する方法の一つとしてありかもしれませんね。

マッチ・ポンプな方法であるだけに、これでは回避しきれない人も出るかもしれません。

とはいえ、個人の自由なんだから、好きにされたらいいんじゃないでしょうか。



ですが、最後に、これだけは再度書きます。

食生活習慣病を回避する上で理論的に最も正しいのは

「食後高血糖を誘導しない程度にまで糖質摂取量を落とす」

つまり糖質制限食です。


このことを科学的な根拠もなく否定・批判してまでマクロビオティックを他者に強引に推し進めるのはどうかなあ、と思いますよ。

自分の知識や考え方を提供することは大事ですけど、できるだけたくさんの情報をそろえ、根拠について考察した上で披露すべきだと思います。


もちろん、それを正しいと思うかどうかは、受け手が自分で勉強して判断すべきことです。

私のブログを読んでくださる人もそうです。

ライフスタイルの選択は人それぞれじゃないんですかね?

どうなりたいかは自分が決めましょう。



宮沢賢治の詩、このように終わりますね。


ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイウモノニ
ワタシハナリタイ











・・・あれ?

彼はマクロビを実践していたのではなくて願望だけ?

(笑)


2017年2月21日 11:00

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コメント(6)

こんばんは。

お忙しい中、またまたブログをありがとうございます。

先生方が医師という立場で糖質制限を発信していくことの大変さや覚悟をひしひしと感じております。

私も他の方々のブログを含めて勉強している所です。

私は医療職ではありませんが、仕事上多くの疾患を抱えている方との関わりがあります。

糖尿病はもちろん、難病や精神疾患、がん、認知症等々。

今現在発症している方には難しいと思いますが、今後団塊の世代以降の方々には可能性があるのかな、と思っています。

人は年齢を重ねれば重ねるほど新しい事は受け入れられない。

日々その事を実感しています。

団塊の世代も無理かな(笑) 頭の柔らかい団塊の世代の皆様申し訳ありません。

今、江部先生やカルピンチョ先生、(ワルピンチョうけました)たがしゅう先生、他にも効果を認めている先生達が情報を発信していくことでの将来に繋がることを信じています。

私の立場で糖質制限をすすめめ行くことは難しいですが、雑談程度にしていく事はできるかもしれません。

こういう説があるんですよ、と。

職場でもあんなに甘いものに目がなかった私がおやつを食べずに毎日糖質制限のお弁当を持っていってる事に驚き、少しは食べなきゃ、とも言われております。

でも最近は、高カカオチョコなら食べられるでしょ、と買ってきてくれたり、先輩方のお昼もプチ糖質制限?
と思うような物だったり、飲み会もお刺身の充実している店を予約してくれたりとよい職場です!

あとは、たがしゅう先生の仰るストレス管理も並行していきたいと思っています。

すみません、何だかとりとめのない内容で。

先生に読んで頂ければコメント欄に載らなくても光栄です。

今後ともよろしくお願いいたします。


こちらの記事を見落としていました!
マクロビというと、つい食事に目を向けがちですが、住環境や生活自体もマクロビに対応させないと効果的ではありませんね。
父が『玄米と味噌と少しの野菜を食べ、宮沢賢治のように生きたいものだ』と言っていたので、私も、あぁそうだなあ、と思っていたのですが、実は賢治は裕福な家の生まれだと知り、あの詩をよみかえしたら、そう、願望なんですよね!!
本当に玄米しか食べられないような生活をしていたら、あの詩は詠めなかっただろうな、と思いました。
マクロビは、生活習慣病にはあまり効果的ではないことは分かりました。
同じく科学的根拠が分からず腑に落ちないものに、陰陽五行思想、薬膳がありますが、もう少し勉強してからまた質問させていただくかもしれません。
ありがとうございました!


>>できれば室温まで戻して冷たくなった玄米を食べていただきたいですね。

Wikipediaによれば、室温どころか「ご飯はまとめて炊いてザルに移して井戸の中につりさげて置き、冬は凍ったまま食べた。」そうです。

例のアレを思い出す話ですね。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/宮沢賢治

「食生活と菜食主義」の項より

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