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アメリカの肥満率上昇は1985年から始まっている


日本人の肥満率が上昇している理由の一つとして「食の欧米化」ということがよく言われます。

日本人が伝統的な和食を食べていた頃には肥満も糖尿病などの生活習慣病も少なかったのに、食の欧米化が進んでいるから日本人が肥満してきて、生活習慣病が増えるのだと。

そこから離れるために、日本古来の食事に帰るべきだと言われます、そのためにも毎食、コメをしっかり食べなさいと。

その教えを律儀に守っている地方自治体の糖尿病発症率がどのようになっているかと言えば結果はこちらに記載しています。

久山町でなぜ糖尿病が激増しているのか?



さて、食の欧米化、特に「アメリカ化」が肥満を生み出しているであろうということは、アメリカの人たちを見ていると、確かにそうなのかなと納得させられる部分はあります。

すごく太ってる人が多いですよね、人口全体で見ても肥満率(BMIが30以上)が30%を超えています。

さらに、日本で肥満の基準としているBMI25以上(アメリカでは25~30は過体重と言って肥満ではない)で区切ると、50%を超えています。

つまり日本的に言えば国民の半数以上が肥満です。。。


そんな肥満大国アメリカですから、食生活がよろしくないだろうということは想像に難くありません。

でも、それ、いつごろから始まったのでしょうか?



・・・実は、アメリカ人はずっと前から今ほど激しく肥満していたわけではありません。

最近になって急激に肥満が進行してきたのです。

1985年の時点ではアメリカの肥満率は10%を少し超えた程度でしたが、1985年を境にどんどん肥満率が上昇していきます。

1985年から2010年までの実際のデータをずらーっと並べました、見てみてください。

10-obesity1985 USA.png
1985年です、白く抜けているのは肥満率のデータのない州で、見方を変えれば問題視されていなかったということになります。肥満率が報告されている州でも半数以上は10%以下の肥満率です。

11-obesity 1987 USA.png
1987年、肥満が問題視され始めました、南東部のディキシーランド近辺で少し肥満率が目立ち始めます。

12-obesity 1989 USA.png
1989年、やはり東部ので高いですね。注目すべきは南東部のルイジアナとミシシッピが白く抜けていること、肥満率が低いかと言えばそうでもありません、次でわかります。

13-obesity 1991 USA.png
1991年、ルイジアナ、ミシシッピ、ウェストヴァージニア、ミシガン(湖挟んで二つに分かれてます)、東の4つの州で肥満率が15%を超えています、ついに本格的に肥満が問題視され始めて、ほぼすべての州で肥満率が発表されるようになりました。

14-obesity 1993 USA.png
1993年、東側を中心に明らかに病的に肥満率が高まっていることがわかります。

15-obesity 1995 USA.png
1995年、アメリカを真っ二つに東で肥満率が15%以上、でも西側も10%以上です。

16-obesity 1997 USA.png
1997年、この年、ついに東の三つの州で20%を超えました、でもまだまだ序の口。

17-obesity 1999 USA.png
1999年、東側のほとんどが20%を超えて、西側も15%超過が普通になってきます。

18-obesity 2001 USA.png
2001年、ついにミシシッピ州で人口の4分の1、25%以上が肥満になります。この時点で15%以下の肥満率なのはコロラド州だけです。

19-obesity 2003 USA.png
2003年、ミシシッピ、アラバマ、インディアナ、ウェストヴァージニアの4州が25%を超えました。 ミシシッピとウェストヴァージニアは常に肥満率の先陣を切って突っ走ってますね。なにか特徴的な食嗜好があるのでしょうか?

20-obesity 2005 USA.png
2005年、肥満率30%を超える州がミシシッピ、ルイジアナ、ウェストヴァージニアの3つです。さらに、その周囲の東側もほとんど25%を超え始めました。コロラド州と東部の都会、そしてハワイだけが青い色のままです。

21-obesity 2007 USA.png
2007年、ついに東側ほとんどがオレンジで、25%超えです。コロラド州だけが20%以下の肥満率でなんとか頑張り中。

22-obesity 2010 USA.png
2010年、とうとうコロラド州も落ちました、肥満率20%超えです。しかし南東部の州はそろって30%超えです・・・。



これらの画像はYoutubeに上がっている動画の「The Food Revolution - AHS 2011」からキャプチャさせていただきました。

The Food Revolution - AHS 2011

http://youtu.be/FSeSTq-N4U4


この動画では、アメリカ人の肥満の変化を図のような漫画で表現しています。

03-27 years obesity.png

人類の進化は100万年レベルの話だけれども、アメリカ人の肥満はわずか27年(1984年から2011年までとしています)で進行したのだと言うわけです。

どうしてこんなことになったのでしょうか?

誰が悪いのでしょうか?

誰が仕組んだのでしょうか?



・・・ここに驚くべき事実があります。



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2012年8月20日 17:39

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コメント(2)

もさ@北の住人です。長文失礼します。

どうして米国で肥満が増加したのか、について別の角度からの情報を拾いました。既出かも知れませんがご紹介させてください。もさがDr. Yudkinの足跡を辿ろうとして検索してたまたま見つけた情報です。

Mother Jones(米国リベラル派向け「暮らしの手帳」的雑誌?)のウェッブサイト上に「Big Sugar's Sweet Little Lies(2012年11月12月号)」という記事を見つけました。米国人歯科医 Dr. Cristin Couzensと Dr. Gary Taubes(本ブログ内関連書籍のレビューで紹介されている「ヒトはなぜ太るのか」の著者)の共著です。
 実名等を省いて大意のみダイジェストしましたが、それによるわかりにくさ・誤訳等はすべてもさの責任です。膨大な外部資料がハイパーリンクされた原典のURLはここです。
http://www.motherjones.com/environment/2012/10/sugar-industry-lies-campaign

■2007年、デンバーの女性歯科医が「高名な医師・研究者達は、なぜ肥満や糖尿病の原因を砂糖ではなく、脂質の摂取だと主張するのか?」という疑問を持ちました。2年間の調査の末、彼女は倒産した砂糖会社が遺した1500ページに及ぶファイルを大学図書館で見つけます。そこには、米国砂糖協会(The Sugar Association) の内部メモ、支払伝票、理事会議事録などの膨大な極秘資料が眠っていした。彼女は、資料をもとに歴史を遡り、多くの研究機関の論文を辿り、協会が産学合同で「砂糖は健康に悪い影響を与えない・生活習慣病には関係ない」という世論をどうやって作り上げて、公的規制を免れてきたか、を解き明かします。2011年、たまたま講演のためにデンバーを訪れたDr. Taubesに直接会って話をしたことにより、長年の調査結果がマザージョーンズの記事として日の目を見ることになりました。

■巨大砂糖産業の小さな甘い嘘(Big Sugar's Sweet Little Lies) 
   雑誌マザージョーンズウェッブサイトから ダイジェスト by もさ

 第二次世界大戦中、米国の砂糖製造・精製業界は、全米砂糖協会(The Sugar Association)という業界団体を創設します。戦後、協会配下の財団を通じて、多くの大学・研究機関に資金援助を行い、砂糖が健康に寄与するという世論形成とそれを支える科学的知見を得る活動が開始されました。
 例えば、それまでも多くの研究への資金援助を協会から得ていたハーバード大学医学部公衆衛生学科は、1960年に、新しい学科棟を協会と砂糖関連業界からの多額の寄付により建設します。学科の創設者・学科長は、業界の代弁者として「砂糖は有益で、健康に欠かせない」と宣伝する活動を長年行います。
 また、人工甘味料が入ったダイエット飲料が売れ始めたときには、協会は巨費を投じて人工甘味料が有害であるという研究を募り、その結果、全世界で未だに売られている人工甘味料をFDA(米国食品医薬品局)に米国内では使用禁止にさせることに成功しました。

 やがて、多くの団体・審議会の委員が砂糖業界から援助を得ている研究者によって占められるようになり、米国糖尿病学会(ADA)や米国食品医薬品局(FDA)にも影響を与え「砂糖は無罪であり、脂肪摂取が肥満を招き、様々な病気の原因となる」という方向に科学的議論を誘導していきます。

 1950年代から1980年代にかけて「肥満・心臓病・糖尿病などを引き起こすのは砂糖か、それとも食物から摂取された脂肪か」という論争が医学界で続きます。協会から資金援助を受けている研究者達は「砂糖は原因ではなく摂取脂肪が病気を引き起こす」という学説に立ち「砂糖が病気の原因だ」とする主張と激しく対立します。砂糖が有益であるという物量宣伝が協会の息の掛かった科学者を中心に行われ、結果、脂肪が健康に悪いという説が勝利しますが、それらの宣伝が協会の援助を受けていることは巧みに隠されました。
 80年代後半には、砂糖による健康被害に関する研究は減り始め、研究者達は砂糖の健康被害に関する研究を続けるとキャリアを失うことになると感じ始めます。

 2003年、世界保健機構(WHO)は、摂取カロリー中の砂糖を10%以下に制限するように勧告しますが、それに対して協会は、米国政府がWHOに対して行っている資金援助を減らさせようとして、砂糖産業に関係ある議員にロビー活動を行います。最終的に、米国保健福祉省長官はこの制限に対して再考を促す要請を公式にWHOに行いました。

 今日、1970年比、ショ糖やコーンシロップの使用量は爆発的に増え、アメリカの肥満は2倍、糖尿病有症率に至っては3倍になりました。巨額の医療費がこれらの治療のために使われていますが、砂糖が危険であるとするコンセンサスは米国には存在しません。米国農務省(USDA)のガイドラインには「固体の脂質と同時に砂糖からカロリーを取るのは減らしましょう」としか書いてありません。FDAのガイドは「おそらく砂糖は安全」とさらにあいまいです。協会は「砂糖が身体に悪いとは言い切れない」という証拠となる論文に資金援助をし続けます。さらに、「砂糖は身体に悪い」という科学的知見に対して「完全に科学的に悪いとは言い切れない」として反論を続けてます

砂糖業界は、タバコ業界のとった戦略と全く同様かつはるかに簡単に、自分達に都合の悪い研究を駆逐し、砂糖が悪者で無いということにして、それによって政府の規制を逃れつづけているのです。


■以下もさ私見です:以上の記述だけなら、いわゆる陰謀説、ヨタ話とも取れるのですが、彼女が図書館から見つけた膨大な資料の中に、砂糖業界が意図的に事実を隠蔽して世論を誘導するためにどうやって科学者を評価し利用したかを示すメモ、更には、財団が資金援助した研究が砂糖に都合の悪い結果を得そうになると援助を停止し研究を中断させるという意図を明らかにしたメモまでもが残っています。それらは原典にリンクされていますので、興味のあるかたはぜひご一読下さい。

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そういうところでいちいち、しかし、例外はあります、とか言って全ての人に配慮した注釈を付けると、読む側もメッセージがなんなのかわからなくなります。

したがって、読まれた方の立場次第では、その記事では自分の存在を無視されているように感じる、配慮が足りないと感じられる記載内容があり得ます。
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