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糖質60%の食事がバランスの良い正しい食事だといつ誰が決めたのか?


「糖質制限 vs 高糖質カロリー制限」のすごく根本的なところに踏み込んでみます。

日本糖尿病学会の先生方の推奨する

「糖質摂取量60%前後、低脂肪にしてカロリー制限する食事が正しい糖尿病食である」

という根拠がどこから来ているのか。


1980年頃に農林省と厚生省と文部省のお役人たちが集まって会議で「国民の摂取するべき栄養バランス比率」を決定しています。

日本糖尿病学会では、たぶん、そのバランスのまま、摂取カロリーだけを下げて、「理想的な糖尿病食」としたのです。


お国の決めた正しい栄養バランス(それがどう決まったかは以下に書きます)のまま、カロリー制限をきびしくすることで肥満を改善させる。

これなら厚生労働省の覚えもめでたいし。

幸い、薬はいろいろあるから、多過ぎる糖質摂取で上がった血糖値はインスリンや経口血糖降下剤でコントロールしよう。

それに、血糖上げておいて薬で下げる方が低血糖発作とか出にくそうだから管理しやすいんじゃね?

たぶんそういう考えで決められていますよね? ヾ(゚Д゚ )ォィォィ



では、官僚の方々が決めた糖質60%の食事バランスは、いつ、なぜに理想的な食事バランスだと決定されたのでしょうか?

これは、1970~1980年頃の日本人成人には、生活習慣病が非常に少なかったことが大きな要因となっています。

諸外国の研究者たちが、日本人が生活習慣病が少なくて健康なのはその食事に秘密があるに違いないと考えたのですね。

その和食のタンパク質、脂肪、炭水化物の比率が優れているのだ、きっとそうだ、という論文だかエッセイだかわからないものが1980年代前半ににたくさん出ています。

その有名なものの一つがこれです。


百億人を養えるか―21世紀の食料問題 (人間選書)
Klatzmann,J., 1983, Nourrir dix milliards d'hommes? PressUniversitaires de France.
(『百億人を養えるか-21世紀の食糧問題-』、小倉武一訳、農山漁村文化協会、1986年刊)


クラッツマンはフランスの農学者で、1983年に出したこの本の中でこう述べています。

「1970年代の世界人口のうち、10億人は食べ過ぎで、40億人は栄養不足であり、満足できる食料消費をしているのは日本人だけである」

そして、「日本型食生活」による1970年代の日本人の栄養(PFC)バランスを絶賛していますし、その頃、世界中が健康食として日本食に注目していたようです。

実際、その頃までの日本人には生活習慣病患者が非常に少なかったのですからね、一般受けしたようですし、これに後押しされて日本の官僚の皆さんもいろいろ考えて決められたようです。


農林省が中心となって、日本型食生活を推し進めようという施策方針が決められたようです。

こういう記述を見つけてきました。

「 1980年に出された農政審議会の答申「80年代の農政の基本方向」(農産物の需要と生産の長期見通し、健康的で豊かな食生活の保障と生産性の高い農業の実現をめざして)の中で、欧米諸国と比較して優れたバランスを持つ日本型食生活の優れた点が評価され、栄養的な観点はもとより、総合的な食料自給力維持の観点からも、日本型食生活を定着させる努力が必要とする提言が行われました。この答申を受けて、1983年3月に「食生活懇談会」(座長:小倉武一(財)農政研究センター)から「私達の望ましい食生活-日本型食生活のあり方を求めて」と題する8項目が提言され、いわゆる日本型食生活の指針が作成されました。
    (1)総熱量の摂り過ぎを避け、適正な体重の維持に務めること
    (2)多様な食物をバランスよく食べること
    (3)お米の基本食料としての役割とその意味を認識すること
    (4)牛乳の摂取に心がけること
    (5)脂肪、特に動物性脂肪の摂り過ぎに注意すること
    (6)塩や砂糖の摂り過ぎには注意すること
    (7)緑黄色野菜や海草の摂取に心がけること
    (8)朝食をしっかりとること」

そしてその10年後には昭和女子大の教授からの提言が加わります。

「 また、1990年11月には「日本型食生活新指針検討委員会」(座長:福場博保昭和女子大学教授)から、7項目からなる「新たな食文化の形成に向けて-'90年代の食卓への提案-」が出されました。
    (1)主食としてのごはんを中心に多様な副食(主菜、副菜など)を組み合わせよう。
    (2)ライフスタイルに対応した生活リズムや食生活スタイルを確立しよう。
    (3)多様な形で食を楽しみ、生活の豊かさを広げよう。
    (4)幼児期には-多様な素材と多様な味に慣れさせ、豊かな食歴をつくりあげよう。
    (5)青少年期には-生活リズムにあった食生活を確立しよう。
    (6)壮年期には-ゆとりとうるおいのある食卓づくりに心がけよう。
    (7)高齢期には-食を通じて、世代を超えたコミュニケーションの輪を広げよう。」

さらに!クラッツマンの言葉に自信を得たのか、1970年代の日本食こそ理想の食事であるという考えが走りだしたのに加えて、もうひとつ、農業政策的な要因が都合よく加わりました。

「 畜産物、油脂類の消費が増加するなどの食生活の変化は、国内で自給できる農産物の消費割合の減少と国土条件の制約から国内生産では十分にまかなうことのできない飼料穀物や輸入油糧種子の輸入の増加につながり、長期的な食料自給率の低下の大きな要因となっています。
 こうした状況の中で「食料・農業・農村基本法」が策定され、第16条第2項で"国は、食料消費の改善及び農業資源の有効利用に資するため、健全な食生活に関する指針の策定、食料の消費に関する知識の普及及び情報の提供その他必要な施策を講ずるものとする"と書かれたことを受けて、農林水産省では「食生活指針検討委員会」を開催し検討を進めていました。同様の検討が厚生省でもなされていたこと、さらには次世代を担う子どもに対する教育(食育)が重要ということで、農水省、厚生省、文部省が共同して新たな食生活指針を検討し、2000年3月24日「食生活指針推進について」が閣議決定されました。」

以上の文章は以下のページから抜粋、転載させていただきました。

日本型食生活(特定非営利活動法人 近畿アグリハイテク)




さて、これを見てわかりましたでしょうか?

糖質60%で低脂肪の食事というのは1970年代から1980年にかけての日本人の平均的な食生活の統計から割り出された数値です。

そのときに日本人は世界の先進国の中で最も生活習慣病発症率が低かった、だからこの食事がいいんだ、というわけです。

そしてなによりも、お米をガッツリ食べる主食60%という考え方は日本人の「米離れ」を防いで、コメの生産確保を至上命題としていた農林省の方針に合致したのです。


これは前の記事で取り上げました中村学園の先生の資料にも掲載されています。

長いのですが、いくつか抜粋して転載してみましょう。

「次に、食糧需給表ですが、昭和35年、55年、平成15年の供給エネルギーの依存している食品です(図2)が、米が少なくなりました。・・・中略・・・
昭和35年には、これだけたくさんのエネルギーを米に依存していたのですが、現在はこのように1/4になっています。特に、昭和55年が一番のポイントとなっております。」

「今は本当に欧米化が進み主食が小さくなり、その分副食の中でも、主菜にあたる部分が大きくなってきています。このことから生活習慣病が多く発症しています。
これはいろんな疫学研究の中でも実証されている事実です。
食の専門家の栄養士として、どの年代に帰ったらいいのかというと、・・・中略・・・だいたい昭和55年前後のところまで回帰した方が良いのかなということを結論としてお話したいと思っております。」

「次は、皆さんご承知の通りPFCエネルギーバランスです(図3)。
エネルギーになるのは、タンパク質と脂質と炭水化物しかないわけです。
ですから食べ方の質を見る時には、まず、PFCエネルギーバランスです。
これは農林水産省の方が、日本型食生活を推進するときのバックデータとして使っております。
それも丁度真ん中の昭和55年、これはベースになる栄養をどのように選ぶかによって多少形が変わってきますが、だいたい正三角形になっています。
表の左側(昭和35年)を見ると、やはり主食の多い炭水化物に偏ったバランスになっておりますし、右側(平成14年)を見ると、おかずが大きくなった姿になっております。
これを見ても昭和55年のPFCエネルギーバランスに戻っていきたいなと思っています。
いずれにしましても、昭和55年ごろの日本の食生活がすごく良い、欧米諸国から日本の食生活に学ぼうというような機運があがってきました。
農林水産省はそれをうまく捕らえて日本型食生活を提唱してきたわけです。」

「昭和55年にはPFCエネルギーバランスが丁度良い状態となりました。
農林水産省では食物の消費拡大という狙いもあったと思うのですが、このような栄養的な裏付けをもって、主食にご飯、大豆、野菜、魚、それに適量な肉類、牛乳、乳製品、果物、油脂類を使ってバランスを取っていこう、これを日本型食生活と呼ぼうというように推進を図ってきたわけです。
その推進を定着させるために昭和55年に農林審議会で定着促進の経緯として日本型食生活を定着させるための提唱しました(図5)。
それを受けて農林水産省が中心になって日本型食生活の定着を図って、最終的に私たちの望ましい日本型食生活のあり方という提案で、昭和58年3月に食生活懇話会が提言を出しました」

正確な文章を確認されたい方は元のpdfファイルをご覧ください。
基調講演 「日本の食文化と大豆」. 中村学園大学短期大学部食物栄養科教授. 城田 知子氏



・・・城田先生、経緯をわかりやすく伝えてくださってありがとうございます。

まあ、ものの見事に「糖質60%を理想の食事とする」理由がわかりましたよね。

日本のコメ生産を支えるために、1980年代に世界的ブームとなった「日本食が理想の食事ではないか?」という海外の研究者たちの評価を都合よくいただいて、「日本人ならコメだろ!」となったわけです。



・・・そして、それの「単なるカロリー制限版」が日本糖尿病学会のすすめる糖尿病食というわけです。

実際に医学的に考えて対比試験をして糖質60%の糖尿病食が決められたわけではないのです、農林(水産)省と厚生(労働)省と文部(科学)省のお役人たちが理想のPFCバランスだとして会議で決めた比率をそのまま採用しただけなのです。

そうだとしか思えません。


「いや、そうじゃない、糖質60%には糖尿病治療の上で科学的な根拠があるし、健康人の摂取すべき栄養比率としても科学的な根拠がある!」

そういう反論があればぜひ教えてくださいね、よろしくお願いします。

「血糖値を乱高下させる高糖質負荷食を糖尿病患者に食べさせ続けて平気な理由」をぜひ理論的に聞きたいです。



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2012年8月13日 21:58

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Joslin 糖尿病センターの栄養指導の標準です
(2005年制定)
www.aadi.joslin.org/files/Nutrition_ClinGuide.pdf

ジョスリン糖尿病学 第2版(2007医学書院)に掲載されてます。門脇孝Drも翻訳に参加してます
www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031855395&Action_id=121&Sza_id=C0

私も2型糖尿病の中年おやじドクターです。個人的にお尋ねなりたいことがありましたら、メール下さい

定期健診で高コレステロール、境界型血糖値を指摘され、病院が勧めるバランス食事(炭水化物600グラム)を守り、運動もしましたが、一向に改善出来なかったのに、ごはんを減らしただけで、いとも簡単に、コレステ、血糖値ともに改善出来ました。炭水化物(糖質)を控えるだけで簡単に健康になれるとは目から鱗ですね。糖質60パーセントの食事を続けるかぎり成人病大国(国民医療費が国の税収と同額、世界の薬の30パーセントが日本での消費の現実)は進むでしょうね。

糖尿病と診断されて、もう10年近くなる67歳の男性です。身長180センチで体重は63キロの瘦せ型です。週に3回近くの高度300メーターの山に登り、月2回はゴルフをして運動は足りていると思います。治療薬を飲んでもA1Cは、ほとんど下がりませんでしたが、糖質制限食に変えて、ごはんと甘い物を止めたら正常値に下がりました。どうも、米を食べないことは、今の日本人の多くの人にとって健康にはとても良いようですが、農水省とJAにとっては、大変都合の悪いことのようで、いろいろな圧力がかかっているみたいです。

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糖質制限がうまくいかない人は明らかに一定数存在しますし、その方々の存在を否定するつもりなど毛頭ありません。
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しかし一方で、記事一つ一つは、異なる人へ向けての異なるメッセージです。
すなわち、個別記事というものは、どういう人々に何を伝えるか、ターゲットを明快にして書くものだと私は考えています。
そういうところでいちいち、しかし、例外はあります、とか言って全ての人に配慮した注釈を付けると、読む側もメッセージがなんなのかわからなくなります。

したがって、読まれた方の立場次第では、その記事では自分の存在を無視されているように感じる、配慮が足りないと感じられる記載内容があり得ます。
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