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低糖質食と高糖質食の食後の血糖値の変化


食後血糖上昇は、インスリンの分泌が悪い、もしくはインスリンの効きが悪い糖尿病患者にとって重大な問題です。

小麦粉や白米、砂糖などの精製された糖質を摂取することによる急激な糖質吸収はそういう人たちの血糖値をものすごい高さまで一気に押し上げます、そして、インスリンがないので長く低下しません。

高血糖状態が続くことで、血管がぼろぼろになり、致死的な糖尿病合併症も進行していきます。


では、一般人ではどうなのか?

一般人ではインスリンが正常に分泌されるので、食後高血糖は存在しないかのように言われますが、精製さたれ糖質をたくさん食べた直後に、本当に血糖値の上昇はないのでしょうか?

ここに面白いグラフがあります。

58-comparison of blood sugar.png

このグラフは、同一人物で、二つの異なる食事をした後の食後血糖変化を追跡したものです。

以前の記事でも紹介した「The Food Revolution - AHS 2011」からの引用で、これは講演をされているスウェーデン人医師のAndreas Eenfeldtさんの食後血糖変化です。


53-LCHF steak.png

モスグリーンのライン、食後に血糖値がほとんど変化しなかった食事がこちらの画像です。

大きなステーキに、バターたっぷりのソース、付け合せに少量の野菜です。

日本でも1970年代にはレストランでステーキを食べると必ず載っていたのがバターソースでしたよね、エスカルゴバターってやつ、こんなにたくさんではありませんが。

極めて高カロリーで高脂肪のバターソースこてこてのこの特大ステーキを食べても、血糖値の変動は全くと言っていいほどありません。

ステーキ肉にかぶりついても、血糖値変動には何の影響も与えないのです。


56-obesity congress lunch alternative.png

一方で、血糖値が激しく上昇して低下している赤いラインを生み出したのがこちらの食事。

ツナサンドイッチ、りんご、ヨーグルトにチョコレートバーです。

上のステーキディナーに比べればぐ~~~っと低カロリーですが、はるかに高糖質ですね。

カロリーに関係なく、糖質摂取量が血糖に影響を及ぼすということを如実に表しています。

確かに、インスリン開発以前の糖尿病食では禁忌の食べ物のオンパレードです。


これはどういう食事かと言えば、2010年の世界糖尿病学会のランチメニューとして提供された「肥満予防食」だそうです。

55-worst lunch in the international congress of obesity at 2010.png

カロリー制限だけを考えて栄養素がなんであるのかをまったく無視した低カロリーランチメニュー。

そんなものが2010年の世界肥満学会で提供されたのを見て、思わず画像を撮ったそうです。



この世界肥満学会で提供されたランチメニューをいただくと、食後1時間の血糖値が180付近まで跳ね上がります。

IDFの基準では、食後いかなる時点での血糖値も160を超えるべきではないとされていますので、それを完全に逸脱した食事内容です。

さらに、跳ね上がった血糖値が急下降しているのは急速に大量に分泌されたインスリンの効果ですが、それは効きすぎて、一時期、ベースラインの血糖値よりもはるかに低いレベルにまで落ち込んでいます。



糖質たっぷりのご飯、たとえばうどんとか約ごはんのセットなんかをランチでいただくと、その後、午後3時過ぎぐらいにものすごく眠くてだるくて生あくびが出たりしませんか?

それは過剰に分泌されたインスリンにより、このような低血糖状態になっていることが一因であると思われます。

58-comparison of blood sugar.png

このグラフの底に落ちた部分、そこがまさしく午後3時から4時ぐらいの低血糖状態なのですね。

このしんどさ、午後3時のおやつにスイーツを食べると解消されるのは皆さんご存知の通りです。

(砂糖でもっかい血糖値が上がるだけの話ですけどね。)



もちろん、スイーツを食べて補正しなくても、正常な人では、やがてはインスリンに拮抗するグルカゴンなども分泌されて、ベースラインまで上がっていきます。

(そのまま下がり続けると危険ですからね。)


でも、激しく上がったり下がりすぎたりで、この間、あなたの血管内皮細胞や脳細胞は激しい血糖値の乱高下にさらされるわけですね。

高糖質の食事というのはこのように我々の身体に激しい負荷を与える食事であることを忘れてはなりません。

低カロリーにしたところで糖質をたくさん食べてしまえば身体にとって大変危険だことだということ、「世界肥満学会」のランチ担当者が反面教師として教えてくれたわけですね~よかったですね~(笑)。


・・・こんな食事を推奨しているのが世界肥満学会であり、日本糖尿病学会なわけです。


糖尿病の、あるいは境界値の糖尿病予備軍のみなさん、メタボで高血圧や肝機能異常を指摘されている皆さん。

自分の身体は自分で守ることが大事ですよ。

自分のあたまで考えて、納得のいく食事をして、後悔しない人生を送ってください。



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2012年8月25日 01:43

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コメント(26)

はじめまして。団塊の世代のmojoと申します。
実は7月に肝臓の感染症で緊急入院し、死にかけました。何とか生還したら重度の糖尿病と診断されました。そのままインスリン投与が始まりました。
そこで気になったのが病院の食事です。血糖値が高いのに更に上げるような「一般食」が出され、飯も180gでした。恐らく糖質60%ということなのでしょう。
さらに驚いたのは点滴が始まったら血糖値が400近くまで跳ね上がったことです。それでも食事は変わらず「完食しなさい」というものでした。
点滴は感染症治療に不可欠だとしても、食事内容が全く変わらないのに驚きました。感染症がひどくなったのは糖尿病のせいだと言いながら、食事は変えないんです。それで薬剤やインスリン依存の糖尿病治療に疑問を持ちました。「何で血糖値を下げるのに一旦上げてしまうのか?」と。
そこでネットで調べて糖質制限食に行き着きました。現在は本を取り寄せたりネットで勉強しています。
江部先生は「とにかく試してみなさい」と仰ってますので、1日血糖検査をしながらトライしようと思っています。勿論その前に色々調べてからですが。
私の住んでいるところは医療過疎で最寄の病院には週一日しか糖尿病の先生が来ません。その他の日は何かあっても相談できないんです。
そんな訳で手探りですが、少しずつ試そうと思っています。これからも参考にさせて頂きますので、よろしくお願い致します。

すみません。昨日の書き込みの血糖値は夕食前30分の空腹時血糖値です。290~388が5日間続きましたが、糖尿病の専門家が来るまで放置されました。朝食および昼食前空腹時は250前後でした。来た後はインスリンが2単位追加されました。

素人考えですが、疑問を感じました。炎症があることと点滴のためだと説明されましたが、このような高い血糖値を5日間放置してもいいのでしょうか?

今日、地域医療で信頼している内科の先生に糖質制限食について聞いたら、この理論はアメリカで5月に発表されたデータで完全に否定されましたと言われました。

その内容は糖質制限をして野放図に資質を摂り続けた人の脳卒中による死亡率が高くなったと云うものでした。

しかし、これは糖質制限と直接因果関係のある話ではありませんよね?どのような割合で脂質をとり続けたらら、とか、糖質をどの程度制限したらそのような結果になるのか?何も仰いませんでした。

医学って科学じゃないんでしょうか?何か必要条件も十分条件も分かっていないのかと勘ぐってしまいます。

ご意見をお聞かせ下さい。ちなみにこの先生はとても信頼のできる方です。

ありがとうございました。更に糖質制限食の勉強を続けたいと思います。

江部先生の本は何冊か拝読しているのですが、そのどこにも「野放図な脂質の摂取オーケー」とは書かれていませんでした。それと、知り合いの先生が仰って」いた「完全に否定された」というのが気になりました。信頼出来る先生なんですが

実はこの先生の診療所が一番近く、去年亡くなった母親や存命の父親がお世話になっているので、この先生に相談してお世話になろうと思っていたんですが、「糖質制限療法は完全に否定されました」と聞いて諦めました。(不確かですがADAが5月に発表した、と仰っていたような気がしますが、読ませて頂いた限り、そのような記述は全くありませんね)


色々個人的な事情があり糖尿病の悪化を防げなかったので、現在は糖尿病の治療が一番の課題です。隣の県の病院に糖質制限にご理解のある先生がいらっしゃるようなので、近々相談してみようと思っています。

ありがとうございました。

先生はじめまして、トムソーヤと申します。

50代後半の肥満親父が糖尿病と診断され、
頭の固い親に変わって治療法を探しているところです。

先生が
>私は、自信をもって「糖質制限が糖尿病の食事療法としてベストチョイスである」と言い切れます。

と書かれているので、お忙しいところ恐縮ですが、基本的な事をお聞きしたいです。


これなどを読むと、
ttp://www.nutritio.net/kiban2/ronbun/kasaoka02.htm
疫学研究では「脂肪摂取量の高いヒトは空腹時の血中インスリン値が高い」


また、冷静なことを書いておられるような気がするここでも
ttp://d.hatena.ne.jp/doramao/20131007/1381130659
疫学で「飽和脂肪酸の血管イベントへのリスク*2は明らかなのだから」と言っておられます。


注を読むと
「生化学的に考えればインスリン抵抗性のリスクファクターとなるわけで、切実な問題でしょう」とのこと。

疫学の詳しいことはわからないのですが、
そうした研究では、何か見落としがあるのでしょうか?


体のなかを見ている化学?でも
飽和脂肪酸がインスリン抵抗性云々とあり、
肥満親父なのでインスリン抵抗性もあるのかと思われ、
そういう時には、糖質制限をするにあたっても
飽和脂肪酸を避ける必要があるということでしょうか?


宜しくお願い致します。

先生、明快なご説明ありがとうございます。


時々テレビなどでも糖質制限の効果の報道を見ていました。

オヤジの糖尿病発覚で「これだ!」と思ったものの、
少しネット情報を見てみると、様々なことが言われており、
正直不安も頭をよぎりました。

よくある一過性のダイエット情報ではないかと。


今回、先生に質問し解答を頂き、
これを薦めてみようと思います。

あとは本人が納得し、どこまでやれるかという
大きな問題がありますが。


何しろ頭がカチカチ、
日本人はコメだろう!と
明治時代のような事を言っていますから。

本日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。

 脂肪とインスリン抵抗性については、厚生労働省の作成した日本人の食事摂取基準(2010)p79-80 をご覧ください

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4g.pdf

精神科医師A先生
資料をありがとうございます。

読んでみましたが(?)、高卒のアタマでは歯がたちません(´;ω;`)。

>これらの結果は、飽和脂肪酸の摂取増加により、肥満またはインスリン抵抗性(肥満とは独立して)を生じ、糖尿病の罹患が増加する可能性を示唆している。(81頁)

(飽和)脂肪摂取が、肥満とは独立してインスリン抵抗性を生じる。
そうならば、それがさらにインスリン分泌を要請するので、
脂肪を摂るとインスリンが多く必要になる

糖尿病学会は正しい!?(°д°)

沈没です 。゚(゚´Д`゚)゚。


カルピンチョ先生、
お手数ですが、宜しくお願い致します。

ちょっと前に投稿したmojoです。

今回高雄病院からご紹介頂いた諏訪中央病院の長坂先生を頼り、山梨の病院から中央病院に転院しました。こちらの整形外科の治療で足首からの切断は免れることができそうです。

そして何よりも来週から半分自前の糖質制限食を認めて頂きました。これは病院食から糖質を除外し、足りないタンパク質や脂質は持ち込んだ食料で補うというものです。これを内科の主治医(糖尿病)が認めてくれたのです。これで手術を待ちながら糖質制限ができます。血糖値が下がれば手術後の回復にもいい影響が出ると思います。

また結果をご報告します。

新年おめでとうございます。その後のご報告です。

12月2日に手術を受けました。最小限の切除ということで左足つま先が切除されました。すね・ふくらはぎの筋肉と足をつなぐ部分は残して頂いたので問題無く歩けます。傷の付きも良く、明日退院になりました。

現在の血糖値は空腹時80~110、食後2時間値で100~140くらいです。1日4回だったインスリンは眠前のトレシーバ7単位だけになりました。今後も少しずつ減らして行きたいと思います。

糖質制限食を始めて2ヶ月近くになりますが体調も良く、ストレスは全くありません。これで退院したら更に食事が楽しみになりそうです。

今では1枚目の画像のような料理が記憶にある人は少ないかもしれません。フライパン以外の調理器具がないと火が通らない厚さの肉にバターでモンテしたソース、そして少量の野菜……。

先日、某トラットリアでどうみても医療関係の方々がパスタ→リゾット→パスタ→デザート(チーズは飛ばし)を甘口のスプマンテとオレンジジュースで召し上がっていました。客単価1万ぐらいの店なんですけどね。

自分で言った事をひっくり返すのもアレですが「安くてすぐ口に入れられる物」じゃなくても、糖質になびくもんなんだなぁ人間は。いや、ホント注意しないと。

でも医学系の学会なら予算もあるだろうから業者も、オーダーがあればコール・ミート主体のケータリングを用意できたと思うんです。それをやらなかったのは、学会事務局から何のリクエストも無かったんでしょう。「低カロリーでよろしく」というオーダー以外は。

で、そういうお医者様を当て込んだ深夜営業のトラットリアが都心に開店しておりますというのは公然のヒミツw。

早食いだから回転率もいいのですよ。しかもパスタなんざバイトさんがチルド品をラーメン屋のように鍋にぶち込んでタイマーセットしておしまい。ついでにタルトも冷凍品をオーブンに入れておしまい。

私が密かに「糖質トラットリア」と呼んでいるこのお店、専門誌が取上げるほどの繁盛店ですが、繁盛している理由は主たるお客さんが医療関係者で糖質大好きで早食いだからというのはもちろん公然のヒミツですww1時間居ないで客単価平均8000円というのは凄すぎです。恐るべし医療関係者。

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そういうところでいちいち、しかし、例外はあります、とか言って全ての人に配慮した注釈を付けると、読む側もメッセージがなんなのかわからなくなります。

したがって、読まれた方の立場次第では、その記事では自分の存在を無視されているように感じる、配慮が足りないと感じられる記載内容があり得ます。
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