糖質をとらないとインスリン分泌能が低くなる?
低糖質ダイエットに反対して、糖質を減らすと危険だと叫んでいる先生の根拠に、
「糖質をたくさん取らないとインスリン分泌能が衰える」
というものがあります。
糖尿病はインスリン分泌能が落ちている、それは糖質を食べて血糖値をあげて膵臓にインスリンを出すように促す毎日の努力が足りないからである、もっと糖質をたくさん食べなさいという理論です。
「廃用症候群」の概念ですね、骨折などして、ギプスで固定した腕の筋肉、ギプスを取り外すとやせ細ってます。
使ってなかったからやせ細ってしまいますが、再び運動を始めれば取り戻せる、でも、取り戻すのが大変であると。
だから、糖尿病の人は「糖質を摂取して膵臓にインスリンを分泌させるというトレーニング」をマイに作りかえさないといけないというのです。
それを怠ると一気にインスリン分泌能が落ちて病気が進行すると考えていらっしゃいます。
・・・あなたはこの話、信用できますか?
根拠となるのは1920年代に行われた動物実験の論文です。
「糖質をたくさん取ると、とりあえずはインスリン分泌能が上昇していく」
こう言う考え方であれば、間違ってないかもしれないなと思うところがあります。
その根拠となるのは沖縄で行われた疫学的な研究です。
沖縄の人のインスリン分泌能を知らべたところ、1980年ごろの沖縄の人のインスリン分泌能はアメリカ人のそれの半分程度しかありませんでした。
かつての日本人がやはりそう言われていたように、肥満者の少なかった1980年以前の日本や沖縄では、インスリン分泌能は白人の半分程度しかなかったということで間違いないようです。
でも、2000年代にに調査した結果では、沖縄の人のインスリン分泌能は白人と同等か、それを上回るようになっていました。
(沖縄に限らず、現代の日本人のインスリン分泌能は欧米人並みに上がっているのです。)
この25年の間になにが起こったのか?
「沖縄クライシス」とか「沖縄ショック」という言葉を検索していただければわかります。
実は、2000年ごろに、沖縄は「世界的に長寿の地域である」ということで沖縄県民の食生活や暮らしぶり、ライフスタイルが素晴らしいものであるに違いないと世界中から注目されていました。
沖縄の人ののんびりした暮らしと、豚肉とコンブを食べる生活が素晴らしいのだと。
でも、長寿であるというデータとしては1980年ごろのそれを基にしていました。
現在の沖縄は、耐糖能異常、糖尿病、メタボ、65歳以前に動脈硬化疾患で死ぬ人、それらすべての発症率が日本で一番高い国です。
日本一のメタボ県が沖縄なんです。
貧しかった国沖縄の粗食が、現代化して豊かな食生活になったところ、糖尿病だらけになってしまった。
インスリン分泌能はとても高くなっているのにもかかわらず、糖尿病は増えているのです。
・・・何を意味するのか、分かりますよね。
豊かな現代風の食事をたくさん食べ続けることで脂肪だけでなく、精製された吸収しやすい糖質摂取量が増えました。
活発な糖質摂取によって食後高血糖は上がるのでインスリン分泌能も上がりました。
でも、肥満によるインスリン抵抗性の上昇など、インスリンが高血糖を抑えきれていないので、結果的には高血糖が勝って糖尿病へと進んでいくのです。
「高糖質食でインスリン分泌能をあげても、糖尿病罹患者は増えるし、糖尿病発症者は悪化するだけだ」
という結果です。
改めて見てみましょう、沖縄の豊かな現代風食生活とはどんなものでしょうか?
ゴーヤーチャンプルーをはじめとした沖縄の郷土料理にはスパムという豚の塩漬け肉の缶詰が具材としてたっぷり入っています。
かつての沖縄は米は取れないので(今もたいして作っていませんが)、主食としては糖質の多くない硬い紫芋などを食べていましたが、今ではコメを安く買うことができるのでそういう油たっぷりのおかずに合わせて白米をたくさん食べます。
米軍のアメリカ人の影響で、コーラとハンバーガーなどという、高糖質高脂肪の食べ物をガンガン食べます。
飲み会の締めはラーメンじゃなくてビフテキとライスというのも沖縄では有名です。
もちろん、スパム缶やビフテキが高脂質食であることは間違いないですし、脂質を減らせ、カロリーを減らせ、という考え方は正解の一つだと思います。
・・・でも、血糖値を上げる食べ物は糖質だけです。
言い換えれば、(これは低糖質食否定派の先生方も認めていらっしゃるとおりに)、コントロールできる量以上に糖質を食べているから血糖も上がり、インスリン分泌能も上がるけど追いつかないという状況であると思われます。
世界一の長寿地域ともてはやされた沖縄、今や日本一のメタボ県で早死にする人が増えてしまっています。
いくつもの点で大阪を抜いているんですよ。
「糖質摂取を抑えるとインスリン分泌能が落ちて糖尿病が進行するのだ。」
そう思っている人は、上の事実をよく考えてみてくださいね。
スポンサードリンク 2012年5月14日 17:25 スポンサードリンク
「糖質をたくさん取らないとインスリン分泌能が衰える」
というものがあります。
糖尿病はインスリン分泌能が落ちている、それは糖質を食べて血糖値をあげて膵臓にインスリンを出すように促す毎日の努力が足りないからである、もっと糖質をたくさん食べなさいという理論です。
「廃用症候群」の概念ですね、骨折などして、ギプスで固定した腕の筋肉、ギプスを取り外すとやせ細ってます。
使ってなかったからやせ細ってしまいますが、再び運動を始めれば取り戻せる、でも、取り戻すのが大変であると。
だから、糖尿病の人は「糖質を摂取して膵臓にインスリンを分泌させるというトレーニング」をマイに作りかえさないといけないというのです。
それを怠ると一気にインスリン分泌能が落ちて病気が進行すると考えていらっしゃいます。
・・・あなたはこの話、信用できますか?
根拠となるのは1920年代に行われた動物実験の論文です。
「糖質をたくさん取ると、とりあえずはインスリン分泌能が上昇していく」
こう言う考え方であれば、間違ってないかもしれないなと思うところがあります。
その根拠となるのは沖縄で行われた疫学的な研究です。
沖縄の人のインスリン分泌能を知らべたところ、1980年ごろの沖縄の人のインスリン分泌能はアメリカ人のそれの半分程度しかありませんでした。
かつての日本人がやはりそう言われていたように、肥満者の少なかった1980年以前の日本や沖縄では、インスリン分泌能は白人の半分程度しかなかったということで間違いないようです。
でも、2000年代にに調査した結果では、沖縄の人のインスリン分泌能は白人と同等か、それを上回るようになっていました。
(沖縄に限らず、現代の日本人のインスリン分泌能は欧米人並みに上がっているのです。)
この25年の間になにが起こったのか?
「沖縄クライシス」とか「沖縄ショック」という言葉を検索していただければわかります。
実は、2000年ごろに、沖縄は「世界的に長寿の地域である」ということで沖縄県民の食生活や暮らしぶり、ライフスタイルが素晴らしいものであるに違いないと世界中から注目されていました。
沖縄の人ののんびりした暮らしと、豚肉とコンブを食べる生活が素晴らしいのだと。
でも、長寿であるというデータとしては1980年ごろのそれを基にしていました。
現在の沖縄は、耐糖能異常、糖尿病、メタボ、65歳以前に動脈硬化疾患で死ぬ人、それらすべての発症率が日本で一番高い国です。
日本一のメタボ県が沖縄なんです。
貧しかった国沖縄の粗食が、現代化して豊かな食生活になったところ、糖尿病だらけになってしまった。
インスリン分泌能はとても高くなっているのにもかかわらず、糖尿病は増えているのです。
・・・何を意味するのか、分かりますよね。
豊かな現代風の食事をたくさん食べ続けることで脂肪だけでなく、精製された吸収しやすい糖質摂取量が増えました。
活発な糖質摂取によって食後高血糖は上がるのでインスリン分泌能も上がりました。
でも、肥満によるインスリン抵抗性の上昇など、インスリンが高血糖を抑えきれていないので、結果的には高血糖が勝って糖尿病へと進んでいくのです。
「高糖質食でインスリン分泌能をあげても、糖尿病罹患者は増えるし、糖尿病発症者は悪化するだけだ」
という結果です。
改めて見てみましょう、沖縄の豊かな現代風食生活とはどんなものでしょうか?
ゴーヤーチャンプルーをはじめとした沖縄の郷土料理にはスパムという豚の塩漬け肉の缶詰が具材としてたっぷり入っています。
かつての沖縄は米は取れないので(今もたいして作っていませんが)、主食としては糖質の多くない硬い紫芋などを食べていましたが、今ではコメを安く買うことができるのでそういう油たっぷりのおかずに合わせて白米をたくさん食べます。
米軍のアメリカ人の影響で、コーラとハンバーガーなどという、高糖質高脂肪の食べ物をガンガン食べます。
飲み会の締めはラーメンじゃなくてビフテキとライスというのも沖縄では有名です。
もちろん、スパム缶やビフテキが高脂質食であることは間違いないですし、脂質を減らせ、カロリーを減らせ、という考え方は正解の一つだと思います。
・・・でも、血糖値を上げる食べ物は糖質だけです。
言い換えれば、(これは低糖質食否定派の先生方も認めていらっしゃるとおりに)、コントロールできる量以上に糖質を食べているから血糖も上がり、インスリン分泌能も上がるけど追いつかないという状況であると思われます。
世界一の長寿地域ともてはやされた沖縄、今や日本一のメタボ県で早死にする人が増えてしまっています。
いくつもの点で大阪を抜いているんですよ。
「糖質摂取を抑えるとインスリン分泌能が落ちて糖尿病が進行するのだ。」
そう思っている人は、上の事実をよく考えてみてくださいね。
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はじめまして。
私は健常者で糖質制限ダイエット1ヶ月半で 6kgほど痩せたんですが
糖質制限で耐糖能が低下した方がいらっしゃるのを聞いてこれからどうしようかと思っている者です。
(健常者や境界型の方達で、75gブドウ糖負荷試験の結果が、糖質制限前と比べて悪化したという方が複数いるようです)
この方はその一人です
江部先生の掲示板で、下の方のキヨさんという方の質問です。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/?m2=res&no=3087&sp=1&page=1
江部先生の返信は、歯切れが悪く、答えになっていないようです。
その他、「糖質制限」 「耐糖能低下」で検索すると
75gブドウ糖負荷試験が悪化した方の例が出てくると思います。
私はとりあえず1日の糖質を100g以上摂取しようかと思っています。
>糖質制限ダイエット中から糖質をとらないとインスリン分泌能が低くなる?さん
コメントと貴重なご意見をありがとうございます。
私の個人的な意見から申し上げますと、そういうことはあっても全然おかしくないと思いますが、気にすることでもないのではないかと思います。
以前にも書いていますが、たとえば糖質摂取量に応じて腎臓の尿細管のSGLT2発現量は上がります。
これはつまり、糖質過多な食事に体が対応したということです。
アルコールを飲む人はお分かりだと思いますが、毎日晩酌しているとだんだん、飲める量が増えてきます。
でも、しばらく飲むのをやめていたり、休肝日を設けると、だんだん飲酒に弱くなり、酔いやすくなります。
これは肝臓のアルデヒド分解酵素などの発現がアルコールを飲むことで上がり、飲むのをやめると下がるからです。
同じことが起こっているだけだと思うんですよね。
糖質負荷をかければ、身体はそれをなんとかするために頑張ります。
でも、それ、かなり鞭打って働かせている状態だと私は思うんですよ。
もっと言い変えましょうか、筋トレを毎日している人が、筋トレをやめると筋肉落ちますよね。
75㎏のベンチプレスができていたのが、60㎏のベンチプレスがやっとにまで筋力が落ちます。
でも、それ、75㎏のベンチプレスができることって、必要なことなのかどうか?
不要だと思うんですよね。
「糖質制限で耐糖能が低下した」としても、糖質を食べなければいいだけのことです。
本来の人間の体の能力としては、75gOGTTはもっと低くて当たり前なんじゃないかと思います。
これを確認するためには、糖質制限している人だけで様々な検査データの標準値を取りなおす必要があると思います。
現在の「検査標準値」というのは、あくまでも糖質主体の現代のライフスタイルの中で生きている人々の平均値です。
毎日筋トレしている人たちの筋力(毎食で糖質摂取している人たちの75gOGTT)を標準だとしているということと同じだと思うんですよね。
それに合わせる必要はない、人類はもう一度、「標準値」を食生活に応じて考え直すべきではないかと思うのです。
耐糖能は悪化するけど、そもそも糖質をとらないから大丈夫と言っているだけで、貴方も江部さんも、糖質を取らないと耐糖能が悪化するケースがある、ということについては全く否定できないということですね
それって治療ではないですよね?とても医者の言葉とは思えません。
足を切断したから歩けなくなったけど、車いすで生活すれば大丈夫、足は正常になります。と言っているようなものではないでしょうか
>疑問さん
そもそも。糖質の摂りすぎですい臓のキャパを超えちゃったから糖尿病になるんですよね?
あなたが言ってるのは、タバコの吸いすぎで肺がんになった人が禁煙したら「適度にタバコを吸ったほうがいい、完全に禁煙してしまうと耐ニコチン能が低下するぞ!」と言っているようなものだと思いますが。
カルピンチョ先生はどうお考えでしょうか?
「耐糖能」とやらを低下させたくない!と言って大量に糖質を摂取し、合併症になってたら意味ないですよね。
>疑問さん
あなたの「糖質摂取をやめると耐糖能が落ちる」、「それはよくない」、という考え方は根本的に間違っています。
アルコール摂取のことを考えてみましょう。
20歳を過ぎると多くの人がお酒をたしなみますよね。
でも、最初からガンガン飲める人はいないですよね。
少しずつ摂取量を増やしていくうちにたくさん飲めるようになっていきます。
それはなぜでしょうか?
アルコールやアルデヒドを分解する酵素の分泌量が徐々に増えていくからです。
(アルコール濃度が高い状態に慣れるのもありますが、肝臓の頑張りが大きいです。)
でも、毎日毎日過剰量のアルコールを飲み続けていると、いつか肝臓の限界を超えて、分解できなくなります。
(おもに糖質を摂取している方の場合、ですけどね)
2型糖尿病もそれと同じことなんです。
毎日毎日過剰量の糖質を摂取し続けていると、膵臓のインスリン分泌量は増えますし、肝臓のブドウ糖処理能力も上がります。
それが限界を超えて続けられたときに2型糖尿病が発生するわけです(個人差があります、酒に強い人と弱い人がいるように、糖質摂取に強い人と弱い人がいるのです)。
膵臓や肝臓の糖質処理能力を超えた糖質を摂取し続けてている状態だから、糖質摂取するのをやめろというのが我々です。
限界を超えて働き続けて悲鳴を上げている膵臓や肝臓を休ませてあげなさい、という理屈です。
そういう方々が糖質制限すると、膵臓や肝臓は限界を超えた頑張りをしなくてよくなります。
それにより、膵臓や肝臓は休めます。
個人差はありますが、やがて肝臓の機能はほとんどの方で改善します。
しかし、75gOGTTのような気違いじみた負荷試験をすれば、疲れ果てて休んでいた膵臓も肝臓も、休んでいただけに対応できなくなるわけですよ。
もう少し別なたとえで言いましょうか?
アクセル全開で、時速200㎞で走り続けている、エンジンが焼き付きそうになっている車に乗ってるとします。
糖質を毎日三食食べ続けるということはそういうことです。
糖質摂取してはインスリンをどばどば出して、肝臓で処理する。
アクセル全開で走り続けているのです。
強いエンジンの車の人は走り続けることができますが、エンジンの耐久性が低いと危険です。
いつか、焼き付いてしまいます。
でも、体は悲鳴を上げてくれる。
焼き付きそうになってきたエンジンは、エンジンパワーが落ちてきて、時速が160㎞とかまで落ちてきます。
それが、インスリン分泌能が落ちてきた、耐糖能が落ちてきたという状態です。
食後高血糖が下げられない状態です。
我々糖質制限者は、エンジンが焼き付きそうになってるからスロットルを緩めてゆっくり走りなさいと言います。
エンジンが焼き付いては元も子もないから、低速走行にしませんか?
という理論です。
あなた方、糖質崇拝者は違います。
アクセルをべた踏みしてもっとガソリンを注ぎ込みなさいと言います。
あるいは、ターボ機能などをボルトオンしてもっとパワーを出しなさいと言います。
焼き付きかけたエンジンですが、さらにガソリンが注ぎ込まれて、あるいは過給圧が高まって燃焼することでパワーを振り絞りますから、また200㎞出ます。
(それがSU剤とか、DPP4阻害剤のアイデアです。)
でも、エンジンは壊れる方向一直線、やがて突然焼き付きます(インスリンが一切でなくなり、2型なのにインスリン投与を余儀なくされます)。
一方、我々糖質制限者が乗っている車は、エンジンをクールダウンするために超低速でゆっくり走らさせています。
こちらはエンジンの回転数を落とした状態、時速10㎞とかでとろとろ走ってる状態です。
ここにアクセルべた踏みでガソリンを注ぎ込んでも、すぐに時速200㎞を出すことはできません。
やがてエンジンが十分クールダウンできたら、再び高速で走ろうと思えば徐々にスピードを上げていってふたたび200㎞で走ることもできます。
ですが、いきなり200㎞は出せません、徐々にスピードを上げていくしかない。
糖質制限したら耐糖能が落ちるというのはそういうことです、あたり前田のクラッカー。
でも、もともと、時速200㎞で走る必要なんてないのです。
急がないでゆっくり、内臓をいたわりながら走っていこうよ。
時速10㎞で走っていれば膵臓というエンジンはずっと壊れないんだから。
というのが我々糖質制限者の考えです。
わっかるかな~?
わかんね~だろうな~?
>匿名さん
おっしゃる通りです。
私の考えも、疑問さんへの返信に書かせていただいた通りです。
ゆっくり記事として返信するつもりでしたが、気になさる方々がいらっしゃるかなと思ってコメント返信させていただきました。