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国際糖尿病連合(IDF)の糖質制限へのスタンス


国際糖尿病連合(International Diabetes Federation: IDF)というのは世界各国の糖尿病学会を統べるアンブレラ機関です。

様々な学会の意見を集約して、高血糖の基準などを決定して全世界に告知する機関ということですね。

そのIDFの機関誌にDiabetes Voiceというものがあって、糖尿病治療の専門家や、患者たちが様々な文章を寄稿しています。


その中で糖質制限に関する意見があったので紹介しておきます。

それは2007年の12月号に掲載されたもので、以前のIDFのVice President(副理事長)のRon Raabさんが書かれたものです。

タイトルは、

Why I adopted a reduced carbohydrate approach Diabetes Voice December 2007 | Volume 52 | Issue 4

私が糖質制限を選択した理由

Having lived with diabetes for many years, Ron Raab noticed that when he reduced the amount of carbohydrate in his diet, his blood glucose levels improved.
His experience of the shortcomings of high-carbohydrate dietary recommendations in regulating his blood glucose led him to adopt an alternative approach.
In this article, the author outlines his choice of a much reduced carbohydrate dietary intake as a key element of his diabetes management.
He also highlights the logic of this approach and some of its supporting evidence, and describes the major contradictions inherent in the high-carbohydrate recommendations that constitute mainstream advice.

糖尿病患者として長年過ごしてきたロン・ラーブは、食事中の炭水化物量を減らした時に、血糖値が改善することに気づきました。
彼自身の血糖を管理する上で、推奨されている高炭水化物食には欠点があることに気付いた彼は、別なアプローチを選択することにしたのです。
この記事では、彼自身の糖尿病を管理する上で、彼の選択した極端な炭水化物制限が鍵となる要素であることの概要を説明します。
彼はまた、この方法の理論とその裏付けとなる証拠のいくつかについて示し、主流である高炭水化物摂取に内在する主要な矛盾について説明しています。


という内容で、詳しくは読んでいただければわかるのですが、自分自身が1型糖尿病の患者で長年インスリン投与を続けてきたRaab氏が、自らの経験を糧に、最終的に糖質制限食を選んでいます。

かつての糖尿病学が推奨していた高炭水化物食を続けても血糖コントロールはさっぱりうまくいかなかったこと、それでも頑張って推奨される高炭水化物の食事を続けていくことで糖尿病の合併症はひどくなる一方であったこと。

それが1998年に糖質摂取量を減らせばいろんなことが改善することに気付いて、糖質摂取量を積極的に減らした途端にうまくいき始めたことを書いています。


かつては一日250g以上の糖質を摂取していたRaab氏が、今では一日80gの炭水化物しか摂取していません。

それにより、HbA1cは劇的に改善したし、食後のインスリン投与量もかつて投与していた量の半分以下で十分となったそうです。

(40年以上続いている1型糖尿病患者なので、インスリン分泌はまったくありません、ですからインスリン投与は欠かせません。)


血糖値の日内変動幅は小さくなり、低血糖の症状も軽くなったそうです。

(糖質制限に反対する医者がしばしば誤解している部分ですが、糖質制限すると低血糖発作は起こりにくくなります。)

血圧は正常化し、眼底の網膜症は落ち着き、血中脂質濃度も問題ないレベルとのこと。

そして、食欲が抑えられ(インスリンは食欲を増進させますがその投与量が減ったわけですから)、気持ちも前向きになり、外見が良くなったとのことです。


Raab氏は自らの成功体験について語り、糖質制限がなぜ糖尿病患者の食事療法として優れているのかについて触れ、最終的には、糖質制限食をどのように実践すればよいのかについて、具体的に記してくれています。

詳しくは原著記事を読んでみてください。

Why I adopted a reduced carbohydrate approach PDF


IDFという、世界中の糖尿病学会を統べる上位機関の機関誌に、かつての副理事長で、自分自身が1型糖尿病患者である方が、一日80gという「極端な」レベルの糖質制限を実践して、それを勧める記事が載っていたわけです。

それも2007年の12月、今からおよそ5年前に、ですよ。

IDF(国際糖尿病連合)はその公式見解として糖質制限についてはまだ何も言っていませんが、かつての責任者が糖質制限にお墨付きを与える記事を寄稿して、それを掲載している。

そういうスタンスにあるということなのですね、5年前から。




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2012年8月18日 00:39

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コメント(2)

最近このブログを拝見して、興味を持った2型糖尿病歴15年、父、伯父、叔父、従兄弟の全てが糖尿病患者(5歳年長の従兄弟は失明、人工透析を経て57歳という若さで急逝しました)という家系の一員です。
糖質ゼロ食を提言されている釜池豊秋氏を支持されている方々のブログ(http://bbs11.aimix-z.com/mtpt.cgi?room=ppkorori&mode=view&no=171)の中に「AIR=急性インスリン応答」の説明として、「一定かつ大量のインスリン」が分泌されるとありますが、これは具体的にはどの程度の量なのでしょうか?
またこれは摂取した糖質量とは全く無関係に分泌されるものなでしょうか?
ブログ中には5g未満であれば急性インスリン応答は発生しないような表現がされているので、この限界値は実際どの程度なのか(5gなのか、10gでも大丈夫なのかなど)知りたいと思いました。
ご存知であればご教示頂きたくよろしくお願いいたします。

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