あさイチで山田悟先生が出てきて糖質制限について語っていた
という話を、職場でお昼ご飯の時に聞きました。
断片的な伝聞で全部は聞いていないのですが、具体的にはどんな話だったんでしょうか?
山田先生の主張される糖質制限食は一食あたり20g~40gという、マイルドな糖質制限から一歩進んだ、しかしスーパー糖質制限よりは少し糖質摂取量の多い糖質制限ですよね。
山田先生がそう主張される理由は、MTProにこの前バーンスタイン博士との対談のあとで寄稿しておられましたが、「ケトーシスを避ける」というのが前提にあるようです。
ただし、それでもギリギリのところまで糖質制限を進めることはしている。
前の記事で、ケトアシドーシスが怖いからケトーシスを避ける糖尿病専門医のことを、急性アルコール中毒が怖いからアルコール摂取をすべて禁止するようなものだ、と書きました。
しかし、山田先生の糖質制限は、
「好きならお酒を飲んでもいいよ、だけど、肝臓で一晩で処理できる量までだよ、それ以上はダメだよ。」
という感じでしょうか。
ケトーシスを避けるという慎重派であることは変わりませんが、糖質制限のメリットは十二分に認めているので、「アンチケトーシス派」の先生方が折れて認めるぎりぎりのところの糖質制限量として主張されている、というところでしょうかね。
「政治的なことも考慮した糖質制限」と言えるのかもしれません。
でも、実際に、1型糖尿病のようにインスリン分泌能が全くない人がケトーシス状態にあると、ちょっと風邪ひいただけで簡単にケトアシドーシスになる危険性はあります。
その危険性を慎重に回避するという点では的確な選択なのではないでしょうか。
LancetやNEJMに記載された、糖質制限をしてケトアシドーシスに陥ったという歴史上たった2例の患者さんたち(以前に書いた遺伝子変異や遺伝子発現量低下などの問題で、「体質的に糖質制限が向かない人」方なんじゃないかと想像します)、このマイノリティーの方たちの絶対安全までを考えれば、そういうセーフティーマージンも仕方ないのかなと。
ただし、ある程度のインスリン分泌があることがわかっている2型糖尿病の人で肥満傾向のある人は、最初っからスーパー糖質制限を試すのでいいんじゃないかと私は思います。
それでうまくハマれば、すこぶる健康な体をすぐに手にすることができますし、高血糖にさらされる時間もほとんどなくなります。
たとえばですね、少なくとも、なにかの機会でまる一日絶食しても、次の日に普通に起き上がり、お昼ご飯ぐらいまで水分だけで平気で活動した経験のある人は大丈夫です。
(運動部のハードな合宿とか、自衛隊員の訓練や、救急病院の外科医には当たり前にあるシチュエーションですよね、風邪で具合悪かった人や、つわりの妊婦さんだって似たようなシチュエーションはありえます)
そういう人たちは、適切な糖新生や、血液pHのバッファー機能を持ち合わせているはずなので、いきなりスーパー糖質制限をしても心配いらないと、私は思います。
糖質制限ダイエット ブログランキングへ
人それぞれ、十人十色の糖質制限スタイルがあっていい。
でも、一番おすすめはスーパー糖質制限です、可能であればぜひやってみてください。
それが私のスタンスです。
もちろん、糖尿病の治療で既に服薬中の方は医師と相談しながら進めてください。
カルピンチョ先生、先日はありがとうございます。
山田先生は糖質は一日に130グラム摂取は必須とのことで話しておられました。
ネットではよく紹介されているニューイングランド・ジャーナルのイスラエルの研究(DIRECT)が、紹介されていて面白かったです。
私は知らなかったのですが、カロリー制限をするよりも、糖質制限でカロリー制限をしなかった方が、結果として摂取カロリーも低かったそうです。
出演者は精神的なものだろうとのこと。カロリー制限されないと逆にそんなに食べないと。
私も、カロリー制限されるとたいていの方は制限カロリーいっぱいまで食べるだろうなあと。
先生が言われるように糖質は目の前にあればあるだけ食っとけが本能だろうし。糖質が制限されるとそれ以外は必要なだけ食っとけが本能かもしれないなあと。
あとは成功例失敗例の紹介でした。
成功例の方はスーパーでした。失敗例は例の過剰なカロリー制限で足の筋力低下、視力低下でした。糖質制限してカロリーを三分の一にしてインスリンを打っていたそうです。
ある意味むちゃくちゃでここまでの極端な失敗例だと、逆に糖質制限でもこんなことをしない限り大丈夫なんだ思われていいかもしれません。
カルピンチョ先生が言われるように、山田先生は色んなしがらみや、治療の平準化のために苦労されているんだなあとと感じました。
でも個人的には、スーパー糖質制限で好きなものを食べるのはストレスが少ないですが、あんなに中途半端にご飯を食べる(茶碗半分ほど)のは我慢できないだろうなと感じました。
でも、多くの人はこの方が抵抗がないのかもなあとも思いました。
また、糖質をカットする分のカロリー摂取は植物性油脂やタンパク質でとのこと。
中糖質食ならばきっとその方が良いのかもしれませんね。
きっと、いままでの誤った常識(植物性は良くて動物性は悪い)が世間で浸透していて、これも普及や政治的には良いのでしょうね。
でも、とても難しそうで私にはできません。
あっさり、スーパー糖質制限で、その範疇で本能や好みに合わせて好きなものが食べたいです。
山田先生の方法はすごく狭いレンジを狙っているように感じます。でもその方が、しがらみをすり抜け、世間受けもよいのかも。
私は山田先生は初めてTVでお見かけしましたが、いろんな意味で難しいレンジをすり抜け只者ではないなあ、と感じました。
また糖質制限をする場合、SU剤やインスリン注射をしている方は、医師と相談の上行うようにと具体的に薬剤を上げたはっきりとした指示があり、好感が持てました。
しんさん
詳しくありがとうございます、よくわかりました。
とりあえずお礼まで(__)
後ほどまた書かせていただきます。
ではでは
NHK あさイチ
最新版!オンナの糖尿病対策術
www.nhk.or.jp/asaichi/2013/02/06/01.html
精神科医師Aさん
ホームページありがとうございます。
なるほど・・・
なんだか、山田先生の主張からさらに一歩引いた主張ですね。
山田先生は毎食20~40gでできれば少ない方、という糖質制限だったはずですが、
番組では一日130g以下に下げないになっているのか・・・
昨年5月のパシフィコのときのコンセンサスまで上げたんですね。
これでは、マイルドな糖質制限になっちゃうから、油脂の摂取やカロリー制限が避けられません。
う~ん、おやじたちには薦められないなあ、かえってややこしいよ。
ちょっと残念。
まあ、それでも前進としましょう。
能登先生+朝日新聞のネガティブキャンペーンよりは前向きです。。。
ちょっと違う話題ですが
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1302/1302012.html
昨日のMTProに出た記事で
豪州でのデータみたいですが
動物性脂肪から植物性脂肪に切り替えさせた人達が
逆に脂肪率高まったという結果ですね。
やっぱり、どちらも適量ってことなんでしょうかね。
いろいろ奥深いですね。
体質的に糖質制限が向かない人・・・物凄い少ない人数でしょうね、糖尿病予備軍と言われる人々(一年前の私含めて)に比べれば。その昔シートベルト着用が義務付けされたころ車に乗ったまま水中に投げ出されてベルトのせいでパニックになって死んだという話を聞いたことがありましたが、いったいこの全世界で何千万の命をシートベルトは救ってきたんだろうかと。糖質制限は第二のシートベルトになるかもしれませんね。
山田悟という方は優秀な日本のサラリーマンなんでしょうね、残念ながら科学者としては二流以下かな。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr101102.html
真面目な研究やそれをもとにした提言に対して泥仕合とか言えちゃう傲慢さ、無神経さが良くも悪くも日本人エリートだよなあと。
toさん
そうですね、ω6脂肪酸に関しては実は体に良くないんじゃないかという意見は以前から出ていたのですが、大規模臨床調査でそれが確認されたという点でインプレッシブですな。
アメリカ心臓病学会がすかさず釈明会見を開いていたのも印象的でした。
でも、これも統計ですから、ω6であっても植物性脂肪に切り替えて好調という人も含まれうるわけで。。。
結局やはり、一人ひとりが検証しながら自分にあった食事方法を見つけていくのがいいのでしょうねえ。
<The Art & Science of Low-Carbohydrate Living> by Jeff Volek & Stephen Phinney .... というローカーボ食を勧める本にDietary saturate fat is not a demon when
you are low carb adaptedとあります。ここをきっちり押さえることが大事ですよね。
←実はこの本、医療従事者向け。私には難解で、ほとんど放置状態なんですが、、、。
シートベルトのたとえ、わかりやすいです。
ワクチン接種もそうですよね、リスク計算したらどちらが安全性が高いのか、数学的に考えればわかるのですが、情緒的に考える人の意見のほ言うが強くなるので。
もちろん、人の心は数学では測れないのも事実ではありますが、数学を否定することまではしないで欲しいと思います。
山田先生は論文やコメントを読ませていただく限り、科学者としてもひじょうに優秀ですよ、わかりやすいです。
あの二つの学会のやりとりにはどちらにも問題があると私は思っています。
すごく長い話になるのでよう書きませんけど(^_^;)。
ルバーブさん
なるほど、きっちり糖質制限ができていれば脂肪酸摂取は問題ない、ということが既にテキストに書かれているというわけですね。
勉強になります。
でも英語読むの大変ですもんねえ。(^_^;)
はじめまして、糖尿人で医療関係職のtakurouです。
糖質制限で希望を見出すことができ、先生のブログも参考にさせていただきながら、日々過ごしております。
>あの二つの学会のやりとりにはどちらにも問題があると私は思っています。
>すごく長い話になるのでよう書きませんけど(^_^;)。
書ける範囲で、私見(暫定的意見)という範囲で、ご意見をお聞かせ頂きたいと存じます。
気長に待っています。
takurouさん
私見という形であっても論理的整合性を必要としますので、短くは書けません。少なく見積もっても3つから4つの長い記事が必要ですし、それを補足するための記事も同じ程度必要ではないかと思います。
また、それらの記述のための文献確認に膨大な時間を必要とします。
それで挫折しました。
ちなみに、このブログの記事はすべてわたくしカルピンチョの私見であり(引用文は含みますが)、査読を受けた論文ではありませんのでご了承ください。
カルピンチョ先生、
よく分かりました。
これからも、為になる話題提供、宜しくお願いします。
初めまして。超ユルユル糖質コントロール実践中、二年前はスーパーで実施していたのですが体重の減少が続くため、ベスト体重と睨めっこしながら糖質を適量摂取しています。(現状血糖値には問題はありません)山田先生の糖質制限について色々ご意見が書かれていますが、セミナーや講演を良く聞くと理解してもらえますが、山田先生は一律に何グラムって主張をされているのではなくて、それよりも食後血糖値を上げない事、つまり血糖値の上昇が無い糖質量を奨励されています。結果として摂取出来る糖質量は個人差が大きく20~40gとか、一日130g以下といった表現となっています。極論20gでも食後血糖値が上昇する人でしたらそれ以下を推奨されると思います。一食当りの糖質量よりも食後血糖値を測定する事を強く推奨されているのは自分の体の状態を良く理解した上で摂取できる糖質量を理解し実践される事を強く望んでおられる様に思っています。150名程が集まるセミナーでも全員の食前・食後血糖値を測定する事によって、スーパー糖質制限とかユルユル糖質制限とかの議論ではなくて参加者個人の状態と糖質制限の効果が良く理解出来るセミナーとなっていますので、是非参加されたらと思います。
>プッチョさん
>山田先生は一律に何グラムって主張をされているのではなくて、それよりも食後血糖値を上げない事、つまり血糖値の上昇が無い糖質量を奨励されています。結果として摂取出来る糖質量は個人差が大きく20~40gとか、一日130g以下といった表現となっています。極論20gでも食後血糖値が上昇する人でしたらそれ以下を推奨されると思います。一食当りの糖質量よりも食後血糖値を測定する事を強く推奨されているのは自分の体の状態を良く理解した上で摂取できる糖質量を理解し実践される事を強く望んでおられる様に思っています。
・・・教えていただいてありがとうございます。
私もその理解でおりますし、糖質摂取量の適量は人それぞれとこのブログでも書いているつもりですが(^^;)。
しかし、私がここで書いているのは、山田先生の立場上、「糖質制限絶対反対!糖質食わせて血糖あげてインスリンを打つのが正解!」とおっしゃるような先生方の間で、なかなか苦労されているということを伝えたかっただけです。
ご理解いただけるような記事にならなかったのは私の力不足ですね。
今後一層努力いたします。
>150名程が集まるセミナーでも全員の食前・食後血糖値を測定する事によって、スーパー糖質制限とかユルユル糖質制限とかの議論ではなくて参加者個人の状態と糖質制限の効果が良く理解出来るセミナーとなっていますので、是非参加されたらと思います。
・・・本気でおっしゃってます?