Top >> 糖尿病と糖質制限 >>  糖質が文明を育み、維持してきたのにどうして今敵視されるのか

糖質が文明を育み、維持してきたのにどうして今敵視されるのか

糖質の摂取が世界中で2型糖尿病患者の数を増やしている。

それは間違いないと私は思っています。

カロリー神話に混乱した医師や栄養士が脂質摂取をひたすら制限して、その代わりに糖質を摂取させたことが最大の原因です。


でも、糖質が本当に悪者なのかと言われれば、そうではないと思うのです。

使い方の難しい、よく燃える燃料なだけです。


スポンサードリンク

穀物を精製して得る糖質が文明を育んだのは間違いない


文明というものが生まれたのはほんの1万年ほど前からのことですよね。

日本ではせいぜい5000年ぐらい前からなのでしょうか。


世界各地で文明が生まれ、発展したのは大きな川の流域でした。

今では誰も信用してないかもしれない四大文明なども(もっとたくさんあったという意味です)、すべて川の流域で生まれた文明です。


それはなぜか?

農耕を継続するためには水資源の安定供給が必須だからです。

穀物を育てるために、川の流域に住んだのです。


そして、穀物を育て、貯蔵することで人類にはゆとりが生まれました。

毎日のように食べ物を調達しなくてはならない狩猟採集生活では、食料の確保のために一日が明け暮れていて、文明を育むことはできません。

人類に文明をもたらしたのは農耕と穀物の力なのです。





効率の良い栄養である糖質は労働とセットで力を発揮した


人間にとって、糖質は単なるエネルギーでしかありません。

人間の体を作っているのはたんぱく質と脂肪であり、糖質は構成要素としてはほとんど寄与していません。

そもそも、我々は食べた、もしくは体のたんぱく質と脂肪から糖質を作り出すことができます。

だから、本来、食べる必要があった栄養素ではないはずです。


しかし、人類に文明が生まれると、農耕の人手だけでなく、都市の建物やインフラの建築にも人手がかかるようになりました。

そのためには多大な労働力が必要となります。

その労働力として、奴隷や農民が生まれます。


ひたすら労働して、都市や国家を支える奴隷や農民、彼らに重労働を課して毎日働かせ続ける。

そのためには効率の良いエネルギー供給が必須です。

毎日ものすごい量の労役を課された彼らに供給するエネルギーとして、穀物や砂糖で摂取できる糖質は極めて安価で安定的に手に入れることのできる食料だったのです。


ハードワークの江戸時代の農民を城の改修工事に駆り出しても、白米の握り飯を与えておけば元気も回復しましたし、高血糖の満腹感で労働者も満足しました。

産業革命のヨーロッパでは、重労働の労働者に午後の紅茶に砂糖をたっぷり入れて飲ませれば、元気が回復してまた働けます。

為政者からしたら、穀物や砂糖という糖質は、労働者を働かせ続けるために最高の食べ物だったのです。


文明を支えて発展させたのも糖質だったというわけです。



化石燃料の利用と電気の発明が糖質を危険な食べ物にした


上に書いたように、文明を支える労働力のために、糖質はとても大事な栄養となりました。

労働とセットで摂取させる栄養として、穀物や砂糖は安価で安定供給できる大事な食べ物だったのです。

しかし、文明の発達とともに、様相が異なってきます。


例えば石炭や石油の利用が文明の進化をもたらした産業革命

あれにより、人力で賄っていた労働力の多くが化石燃料というエネルギーで代替されました。

人力による労働力というのはまだまだたくさんの場所で必要とされていましたが、このころから急速に生活習慣病が中産階級に出てくるようになります。


そして電機の発明、自動車の発明、エアコンの発明、そして最終的にはコンピュータの発明。

これらの新しいエネルギーや文明機器の出現により、人類の労作量はものすごく減ります。

産業革命の頃だけでなく、第二次世界大戦前に比べても著しく減りました。


でも、人類は習慣化した糖質摂取をやめませんでした。

効率がよいエネルギーであり、少ない量の摂取で体が動く糖質、でも、過剰に摂取するとほとんど体脂肪として貯蔵されます。

体脂肪が増えると、糖質を吸収するのにてこずって高血糖が長く続きます。

すると高血糖により血管が障害を受け、糖尿病になります。


それが、世界中で2型糖尿病が増え続けている原因です。


幸い、世界各地に「糖質制限」という概念が広がり始めたことで、それは頭打ちになっています。

国策で糖質制限を勧めているスウェーデンなどでは明らかに2型糖尿病患者数が下がり始めています。

でも、まだまだ我々日本人は糖質を摂取しすぎなのです(糖質制限してない人、という意味ね)。


もちろんこれは我々のライフスタイルが変わったことに根本原因があるのです。

糖質に罪はありません、単なる効率の良いエネルギーです。


だから、どうしても糖質を食べ続けたければ、エアコンを使わずに、昔の労働者並みに毎日肉体労働でたくさんの汗を流す。

そうすれば、糖質を食べまくっても糖尿病になる人は少ないと思います。(この文章、ちょっと訂正しました。)


働かざるもの、糖質食うべからず。


いい諺ではないですか。  ゞ(^▽^;)イヤソレチガウシ


2015年10月19日 03:06

スポンサードリンク

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://xn--oqqx32i2ck.com/mtos/mt-tb.cgi/369

コメント(20)

『働かざるもの、糖質食うべからず。』
サイコーにクールな諺になっちゃいました、個人的にものすごくツボにキテマス。

糖質制限実践者には何ら問題ないでしょう、ですけど曲解する方のために「肉体労働せざる時、糖質食うべからず」でどうでしょう?
それでも通じないかもしれませんが・・・

車好きならわかると思うのだけど、糖質て
ニトロ燃料みたいなものですよねー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

常用してたら壊れるって^^

まさに「太く短く 生きる」ためのサプリ!

先生が明確に示す通り、文明は人の歴史ですが、糖の有効利用の歴史ですね~^^
私もカーボローディングを活かす運動の秋を実現したいです^^;

10月25日のレースの結果についてご報告します。
この日強風の為、レース中止となりました。
残念なご報告となってしまいました。

しかしながら実はホッとしております。というのも2週間前から調子がめちゃくちゃ悪く(風邪?)レースの前日も治りきってませんでした。(実は今もあまり調子が良くないです)胃腸が弱ってしまって余り食べることができません。
食欲が全く湧かず熱は出ないが具合が良くない(鼻が大量に出て、起きていられず只ずっと寝てました)日が続いていたので、主人に迷惑かけたら申し訳ないと思っていたので私的には良くない事だけれど良かった(-_-;)。

皆様もここ最近気候の変化が激しいので体調管理にはお気を付け下さい。

今や、地球の裏側の情報でも、クリック一つで分かり、買い物、洗濯、掃除、食事、食器洗い、風呂、室温管理、ビルの上り下りもボタン一つ押したら終わり、北海道から沖縄まで日帰りで座っているだけで出張でき、高層ビルが半年ぐらいで立ってしまうような世の中。
人間がやることはボタンやレバーを押したり家から職場までの歩行ぐらい。
急速な社会の変化に動物としての人間の体が対応できていない。
今後もロボットなどができたり、自動車の自動走行などますます便利になり、簡単に糖尿病になる。
ただ人間は頭が良いので食の革命が起こらないか期待したいものである。

>>「糖質制限ダイエットに最適!ごはんの代わりにブロッコリーが入った弁当が超うまヘルシー」
https://www.careertrek.com/daily/broccoli-bento/

選択肢が増えるのは良いですね。
全国的に普及して欲しいです。(無理っぽいですが…)

栄養士的観点から、当然「カロリーが足りないっ!」ですよね???

私は食べ過ぎると下痢しますが、下痢しない程度に良く食べてると、空腹感がなくなって快適なんですが、この夏3kgほど太りました。

私の個人的感じでは食事前30分~1時間前ほどで空腹がくるぐらいが良い感じです。今は体重は元どうりです。

返信ありがとうございました。
そして、毎度わかりにくい質問を申し訳ありませんでした。

「糖質制限 + 山盛りのブロッコリー = ならエネルギー、タンパク量を指摘する」という意識が働いてしまいました。

「通常のバランス食 + 山盛りのブロッコリー = ならヘルシーだけど常識を考えてね」ってとこでしょうか?、便秘しないならいいでしょう・・・とか。
365日ブロッコリー山盛りも非現実的ですし。

ただ現場では詳しく背景を伺ってみないと勘違いの元になるので、思わず突っ込んでしまいました。ちょっとした本能みたいなものになっています。

> 酒食ってなんやねん(笑)

それはそれで糖質中毒でなく
アルコール中毒ですねw

アメリカでインスリンの価格が30倍に高騰してる!?

http://labaq.com/archives/51873843.html

アメリカで悲惨な状況が逆加速されている!?

昔から日本の医療事情は、善きにつけ悪しにつけ、アメリカに数年遅れで追随しているとききます。
なかなかに怖い状況ですよね…?

コメントする

(お気軽にコメントして下さい☆丁寧にお答えします。コメントは承認されるまでは表示れませんが今しばらくお待ち下さい。)

糖尿病と糖質制限

関連エントリー

糖質が文明を育み、維持してきたのにどうして今敵視されるのか
カロリー制限と糖質制限は糖尿病の異なる食事療法 混ぜるな危険!
毎日糖質を摂取しないと脳の発育が悪くなるほど人間は弱い生き物なのか?
健康な胎盤も胎児も 成人より高いケトン体値の中で育まれるという事実
妊娠糖尿病の妊婦さんの食事でも糖質は必要不可欠な栄養素ですと?
ベイスンによる食後高血糖低下の効果が弱くなってきたんですが?
夏休みに始めてみたらどうでしょう?
2型糖尿病を指摘された人を待ち受けているトラップ
1型糖尿病の人が糖質制限する意義
1型糖尿病患者さんの糖質制限の成功率は?
マイルドな糖質制限とプチ糖質制限食、スタンダード糖質制限食
糖尿病の食事療法 脂質食療法と飢餓療法
糖質制限食で逆に具合が悪くなった糖尿病の患者さんたち
食品交換表の誕生 1963年に始まった現代の糖尿病食
世界と日本における糖尿病食事療法の変遷
インスリン初期導入療法は画期的な新しい概念などではない
山川式食事療法 これもまたマイルドな糖質制限食なのです。
影浦式食事療法の補足2: 実はマイルドな糖質制限食だった
影浦式食事法の補足1: 糖質制限と糖代謝能
糖質摂取しないと糖質代謝能が落ちるという理屈 症例報告編 
糖質摂取しないと糖質代謝能が落ちるという理屈 理論編
正月のお雑煮 都道府県によって糖質量がすっごく違う(^_^;)
インスリンを糖尿病初期から使うことの是非
内臓脂肪とインスリン抵抗性と慢性炎症と熱ショックタンパク質に関して その1
1型糖尿病の患者さんがタンパク質を食べても血糖値が上昇する理由
クローズアップ現代で放送された糖質制限について
クローズアップ現代で紹介された糖質制限で悪影響が出たケースは栄養失調
糖質制限の長期的効果を調べる研究にお金を出してくれそうなところは?
糖質制限の長期的影響を追跡するにはどうしたらいいのか?
インスリンがなかった時代の糖尿病食はどのようなものか?


プロフィール

carpincho3

50代の男性医師です。低糖質ダイエットを実践してその効果に驚き、このサイトを作りました。

連絡先はこちら↓
carpincho3blanco3@gmail.com 
(全角の@を半角の@に変えてください。)

私のブログをまったく読まずに一方的に質問を投げかけるのはおやめください。 いただく質問の答えは、ブログ内の記事、あるいはコメントでのやり取りに記載されている場合が多いと思います。 量が多くて読むの大変だから、ということであれば、知恵袋などの質問サイトをご利用なさってはいかがでしょうか。 また、コメントへの返信やメールへの返信は「無償の善意の第三者」としてやり取りさせていただいているつもりです。 自分の家臣に問いただす殿様みたいな非常識な投げかけは、ときに無視しますので、あしからずです。 コメントやメールには医学的に間違いないようにお答えしたいと思いますし、急に忙しくなって対応できないこともありますので時間がかかる場合があります、ご了承ください。


サイト内検索

当サイト内の記事を検索が出来ます。

記事総数: 323
コメント総数: 3789
スポンサードリンク
糖質制限関連おすすめ書籍
ウェブページ
リンク
読者の皆様へ

糖質制限がうまくいかない人は明らかに一定数存在しますし、その方々の存在を否定するつもりなど毛頭ありません。
人はそれぞれ遺伝子が違い、環境が違い、そのアプローチに挑むときの年齢や健康状態も違うのですから、同じことをしても同じ反応が出ないのは当然のことだと思います。 私も、そのことについては頻繁に言及しています。

しかし一方で、記事一つ一つは、異なる人へ向けての異なるメッセージです。
すなわち、個別記事というものは、どういう人々に何を伝えるか、ターゲットを明快にして書くものだと私は考えています。
そういうところでいちいち、しかし、例外はあります、とか言って全ての人に配慮した注釈を付けると、読む側もメッセージがなんなのかわからなくなります。

したがって、読まれた方の立場次第では、その記事では自分の存在を無視されているように感じる、配慮が足りないと感じられる記載内容があり得ます。
その場合、その記事はほかの人に向けられた記事であると、スルーしていただけたらありがたいです。

よろしくお願いします。

ぽっちゃりも糖質も菊芋におまかせ ↑宣伝ヽ(´▽`)/
スポンサードリンク