クローズアップ現代で放送された糖質制限について
NHKのクローズアップ現代で、本日、2012年8月30日19時30分から「糖尿病」をテーマとしたコンテンツが放送されました。
その前半、13分程度の時間放送されたのが「糖質制限」に関する内容でした。
⇒ NHKクロースアップ現代 糖尿病の"常識"が変わる
No.3239 2012年8月30日(木)放送
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3239.html
糖尿病とはどういう病気なのか、糖質制限がどうしてその食事として適しているのか、そういう理屈について説明がなされました。
そして、成功例の女性の結果が紹介されていました。
こちらは糖質制限実践者の我々から見たらまったく標準的な結果ですが、糖質制限のことを知らない方々から見れば衝撃の結果であったと思われます。
番組画面を撮影させていただいたのですが、糖質制限成功後の女性の姿。
そしてこちらが、糖質制限を始める前の姿です。
3か月の糖質制限で20kgの減量に成功したとのことですし、血液検査の諸数値の方は1か月で速やかにも改善したそうです。
当初は、日本糖尿病学会発行の食品交換表に従って実践しようとしたけれども、2か月で挫折していたそうです。
糖質制限が有効な理屈は今さらここで書くのもなんですけど、
糖尿病はインスリンが糖質を処理しきれないことにより、余った糖質が血管を痛めつけることにある。
だから、インスリンで処理しなければならない糖質の量を減らしてやることで、糖尿病の症状悪化が防げる。
そういう理屈が説明されていました、わかりやすいアニメを使ってですね、すばらしい。
これに対して、日本糖尿病学会の理事の清野先生の発言につっこみたくなる部分がありました。
「日本人に糖尿病が増えたのは、近年、日本人の食事の脂質摂取量が増えた、それが高血糖を招いたからだ。」
とおっしゃったのです。
糖質制限について、糖尿病の本体は糖質を食べて処理しきれなかった高血糖にあるということがアニメを使ってまで説明された番組。
血糖を上げるのは脂質でもタンパク質でもない、糖質摂取が最大の問題なのだと前半で定義した番組。
その番組の後半で、「脂質の摂りすぎが糖尿病を生んだ」とおっしゃる。 (-"-)
清野先生は何らかの科学的根拠に基づいてそうお考えなのかもしれませんが、私は、それは間違っていると思います。
日本人に限らず、世界中で肥満と糖尿病が増えたのは、労働量の低下で消費エネルギーが減っているのにもかかわらず、きわめてエネルギー効率に優れていて、余れば速やかに体脂肪になる糖質、その摂取量を減らさずにせっせととり続けたからです。
詳しくはこのカテゴリの記事を読んでみてくださいね。
⇒ 世界人類総糖尿病化計画
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat22/
それと、糖質制限食を糖尿病の人にもっと勧めたらいいのではないかというキャスターの問いかけに対して、清野先生、
「糖尿病の人は4割がすでに腎機能に異常があるので、タンパク負荷の高い糖質制限は行うべきではない。」
ともおっしゃいました。
びっくらこきました。
ほんとうに「日本人の糖尿病患者の4割はタンパク質摂取制限が必要な腎機能障害を持っている」とすると、大変なことです。
890万人と言われている糖尿病患者の4割だから、350万人はタンパク質摂取制限が必要な状態にあるという理屈になりますが、それでよろしいか?
糖尿病患者の大多数(95%)が含まれる2型糖尿病、その大部分、おそらく300万人以上はが30歳以上での発症です。
すると、「30歳以上の日本人のおよそ25人に1人は、糖尿病のためにタンパク質摂取への配慮が必要な腎機能の悪い状態にある」ということになりますね。
糖尿病以外で腎機能が悪い人も含めて考えると20人に1人はタンパク摂取への配慮が必要な腎疾患を持っているということでもあります。
素晴らしくラッキーなんでしょうね、私の周囲にはたまたま、腎臓が丈夫な人しかいないのでしょう。
タンパク制限が必要なほどに腎機能の悪い人、見かけません。
(念のため書いておきますが、これは皮肉ですよ~。)
と、まあ、言質を取るようなことはあまりしたくなかったのですが、矛盾点が気になったので指摘してみました。
いやな視聴者ですね。 われながら。 はあ。
糖質制限ダイエット ブログランキングへ
でも、番組の企画自体はよかったですね。
糖質制限の認識とそれへの意識が日本中に広くいきわたったという意味では素晴らしい番組でした。
スポンサードリンク 2012年8月30日 23:19 スポンサードリンク
匿名希望です。
クローズアップ現代を興味深く観ました。
日本糖尿病学会の現時点での立場を公的なメディアで放映したという点からは、歴史的な記録になると思います。時代の流れを考えると、数年後には物笑いの種になるであろう内容を学会の理事たるものが発言してしまった貴重な資料となるでしょう。
コメントありがとうございました。
ほんとに、日本糖尿病学会、だいじょぶか?
って、もはや腹が立つというよりも心配しちゃいますね。
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ご迷惑をおかけしました、皆様。
コメントをベースに自分のブログ記事を書いたので、
トラックバック送らせて頂きました
クローズアップ現代は、
全文テキストで読めるんですね。
動画は冒頭の8分少々だけですが。。。
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3239_all.html
お!ありがとうございます。
クローズアップ現代、放送直後に見に行ったときにはまだ掲載されていなかったんですが、ありがとうございます。
みなさまもぜひ原文のご確認を。
こんばんは、大関と申します。
先生のぶろぐは大変興味深く読ませていただいています。いつも勉強させていただいてます。
私も糖尿病で、糖質制限を行い、体重が7ヶ月で117kgから103kgと14kg減量に成功しました。HbA1cはまだ7.2ですが以前の値に比較して低下傾向です。
NHKのクローズアップ現代で、2012年8月30日19時30分から「糖尿病の常識が変わる」がありました。私も興味深く拝聴していましたが・・・・・
スタジオでの糖尿病学会理事先生のコメントに無理と矛盾があるように思いましたのでコメントさせていただきます。
糖質制限で「一方の男性は自己流で行い体に悪影響が出た」の場合は、摂取カロリーが従来の3分の1程度に減少、と記述されていましたので先生のいわれるように単なる摂取カロリー不足で、糖質制限の失敗例としては疑問が生じます。また、糖尿病の方の4割は腎障害があり糖質制限食のようにたんぱく質の多い食事法は一般的でない。とも言っていますが、確かに腎障害のある場合は、糖質制限は不向きかもしれませんが、4割はどうなんでしょう。
インシュリン療法が、最後の手段から、初期段階でも使われる方法が一般化しつつあることに関して、インシュリンで血糖値を下げることは理解できますが、選択肢として血糖値を上げない食事方法を行うという選択肢は無いのでしょうか?医師でもなく専門家でもないのでなぜ選択肢が無いのか疑問です。
「日本人というのは、もともと農耕民族で、インスリンの働きがよかったので、あまりインスリンが出ない体が作られています。そこに運動不足とか、あるいは動物性脂肪をたくさん食べることによって、どんどん血糖が上がるという特徴があります。」
この文章からは、動物性脂肪が直接血糖値を上げるように取れます。
高糖質食+動物性脂肪過多 → インシュリン増加 → 脂肪の取り込みによる肥満 → インシュリン抵抗性の増加 → 結果としての高血糖
このような理由で、血糖値があがるといっているのか、それとも直接脂質が血糖値を上げているのかどっちなんでしょう?
「たんぱく質と脂質は血糖値を上げず、糖質のみが血糖値を上げる」という生化学的事実は偉い人達はご存じないのでしょうか?
とにかく、今回の放送は、糖質制限食が広がってきていること、効果があることが全国的に広まったことに意義があるとは思いますが、糖尿病学会サイドでは、一般的ではなく現在検討中の方法であると述べています。糖質制限食は認めたくは無いけど認めざるを得ないというスタンスでしょうか、
ともあれ、糖尿病患者の私としては、血糖値を下げる方法があれば、長期的影響や安全性云々よりも、目の前の腎透析を避けれる糖質制限食を実施していきます。
日本糖尿病学会理事の清野先生とは、
関西電力病院院長の方ですか?
理事に清野氏が2名いるので確認させてください。
大関さん
コメントありがとうございます。
糖質制限7か月での14kg減量と、HbA1cの改善、おめでとうございます。
7.2であれば、もう一息ですね、昔の基準であれば6.8になったということですし。
すばらしい。
あと半年後にはに6.5以下になっていることを目指して、無理のないペースで糖質制限を継続してみてください。
クローズアップ現代の糖尿病学会の理事の先生は、あれでも「糖質制限に譲歩」して頑張って出演されたのだろうなと推察します。
でも、認めたくない本音がいろいろと矛盾する言葉を引き出しているのでしょうね。
私にも「脂質摂取が増えたのが糖尿病の原因だ(脂質が高血糖を生む)」と言いたい風に聴こえました。
テキストに起こされた文章を見ると、大関さんがおっしゃるような好意的な解釈で受け取れなくもないように読めるのが、技巧派ですね(笑)。あとからどうとでも言い直せますもん。
日本糖尿病学会としては「糖質制限食を認めたくないけど認めざるを得ない」というスタンスの入り口まで来たのかなと思える放送でした。
もう一息です、私も頑張ります。
実践者がその効果を声を大にして叫び続けることが大事です。
関電病院の院長先生のように見えますね、でも、最終確認は番組の方(NHKクローズアップ現代)にお願いします。
来週のNHK「きょうの健康」は糖尿病です。
テキストを読みました。11/8(木)が食事です。
相変わらずの炭水化物50~60%をバランス良くの他に、血糖値を上げる食べ物としてご飯・パン・菓子・揚げ物などが明記されています。
★糖質制限食については1ページ使って紹介されています。
主食を食べた場合とおかずだけの場合、2つのグラフが割りと大きく出ています。
主食を食べた場合・・・血糖値が300を超えている。
おかずだけの場合・・・100~200の内に収まっている。
説明として、「通常の食事で効果が上がらない場合、糖質制限食が検討される」となっています。
クローズアップ現代より一歩前進ですかね。
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薬物療法で、SU剤が書かれていますが、
例えば、千里山病院(強化インスリン療法とDPP-4阻害薬ですい臓を保護する糖尿病治療と、喘息のテーラーメイド医療を行っています)
http://www.senriyama-hp.or.jp/think/think8
のホームページでは。「使ってはいけない薬としてSU剤があります」とはっきり書かれています。この病院は、HOMA法についての説明もあり丁寧です。残念ながら、糖質制限については触れていません。
私個人は、すい臓をむち打つ薬は、原則使用禁止にしたほうが良いと思います。
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雑誌「クロワッサン」11/10号は、「血液と血管のアンチエイジング」特集です。
順天堂大学の平澤先生が、「私としては、糖尿病の人は、糖質20%以下をお勧めします」と言っています。
じれったい気持ちがありますが、数年の内に、NHKも糖尿病学会も糖質制限をメインにするようになると思います。 長くなりました。
訂正です。
雑誌「クロワッサン」11/10号で
「私としては、糖尿病の人は、糖質20%以下をお勧めし
ます」と言っていたのは順天堂大学の
白澤卓二先生でした。
失礼いたしました。
炭水化物50~60%を信望している人たちは、その比率に何の科学的根拠もないのに執拗にそれに縋り付きますからね、そして糖質制限は長期安全性が分からないから危険だと叫ぶ。
糖質60%の方だって長期安全性なんて誰も証明してないのに、そのことは棚上げで、日本古来の伝統食ですからの一点張りです。
それが不思議でしょうがありません。
日本が豊かになって今のような白米中心で糖質60:脂質20:タンパク質20のPFCバランスの食事になったのは1980年ぐらいからなのにね(笑)。
安全性の保障を得るためには、
糖質20%以下のスーパー糖質制限と糖質60%食に分けて、10年間ぐらいの長期試験を行うことが必要ですね。
その結果を見て決めていただくと。
私は糖質60%食の実験なんて絶対に参加しませんけどね。
長谷川さん
丁寧にありがとうございます。
NHKのクローズアップ現代で、今日、2012年11月12日「糖尿病を手術で治す」が放送されました。内容としては、前回8月30日に放映されたものの、「手術」の部分をあらためて取り上げたものです。http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3272.html
胃バイパス手術です。
胃を10分の1に、小腸を1m切りつなげます。食べ物の吸収を抑えます。鍵を握ると考えられているのは小腸です。その末端には特殊な細胞があり、食べ物に反応してホルモンを出します。 このホルモンはすい臓に働きかけインスリンを出すよう促します。
手術の結果、食べ物が吸収されないまま、たくさんこの細胞に届きます。
すると、ホルモンの量が増え、インスリンを出す働きが高まると考えられています。
これまでの研究では手術を受けた人の8割以上で血糖値が正常化。
薬などの治療が必要なくなったと報告されています。(米国)
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ゲストは、門脇孝氏です。コメント以下。
・ BMI 35以上で血糖コントロールが出来ていない人には朗報です。寛解状態です。
・ 手術後2年間は有効との結果が出ています。今後検証が必要です。
・ 手術後も、食生活等が悪ければ、糖尿病が再び悪化する可能性があります。
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一人は、運転手さん。HbA1c11.9が、手術後、5.9。
お昼を食べている姿が出ていましたが、なんとラーメンです。
門脇氏は、内科医としての矜持がないのでしょうか。
糖質制限食をいやがり、手術を是認する理由が分かりません。手術を受けた人(日本)の中には、やはり、逆流性食道炎になった人がいます。
最後は、手術もあるでしょうが、何でもっと食事・運動療法に力を入れないのでしょう。
「運転手は、席に座っていることが長いから」とナレーションがありましたが、私は、今は朝から晩までパソコンか事務です。内科医師だってほとんど診察室で座っているでしょう。運動療法が出来ない理由にはなりません。忙しくても、糖質は避けられます。
門脇氏は、脚気論争の時の森鴎外(東大医学部・軍医務局長・中将)のようです。
今日はのんびりしていようと思ったのに、イカってしまいました。
絶句ですね。