健康な胎盤も胎児も 成人より高いケトン体値の中で育まれるという事実
昨年の夏に産婦人科の宗田先生とメールでやりとりをしていました。
人間の胎児や胎盤の細胞の主な栄養源がケトン体ではないかという話です。
数年前から宗田先生はそう主張されていますが、それにはエビデンスがあります。
宗田先生は2013年にケトン測定器を購入されました。
そして、人工中絶胎盤や分娩時の胎盤の絨毛組織のケトン体濃度を測定しました。
それだけでなく、出産直後の臍帯血内のケトン体濃度も測定した結果、そのいずれもが、成人の標準値とされている数値よりもはるかに高い数値であることを確認されています。
江部先生のブログにも宗田先生の学会発表(2015年1月)が掲載されています。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3248.html
ただ、このエビデンスがあるにもかかわらず、前の記事で紹介したように、
「妊婦は毎日糖質を食べ続けないとダメ」
「そうしないと胎児の脳の発育が悪くなる」
そう信じて、宗田先生の発表を攻撃される方々がいるのだとか。
それにどう論理的に反論すればいいのか、についてのやり取りをメールでしておりました。
私の提案したアイデアは、鳥の卵の話を持ってくるというものです。
鳥のヒナの発育に親からもらう糖質は不要だからです。
鳥は、卵で育ちますよね。
卵の黄身の中にある栄養分をもとにして、鳥のひなの体は出来上がります。
鳥の胎児の発育を支えるものは黄身の栄養分と、白身の水分と栄養分、殻を通して呼吸する酸素だけです。
生まれてくるまで、卵の外から入ってくるのは酸素などのガス成分だけです。
栄養成分表示表を見てみてください。
それで、鶏卵についてみてみましょうか、さて、この中の栄養成分はどのようなものがあるでしょうか?
主なエネルギー源となるのは脂質です、そして体を作るタンパク質です。
糖質なんて、1%以下です。
鶏のヒナは、糖質なんて全くない卵の黄身からあのヒナとして生まれてきます。
殻を内側から自分でつついて、割って出てきます。
出てすぐは最初はうずくまっていますが、すでに鳴いてるし、目も開けたり閉じたりしています。
小一時間もすれば起き上がり、自分の足で動き回ります。
そして、生まれてすぐに、親を見極めるための脳はすごいスピードで活動して刷り込みを始めています。
餌と思われるものをついばむ行動も勝手に始めています。
運動神経系の発達も、脳神経系の発達も、生まれるまでに完成しています。
鳥のヒナが育つ過程では、糖質なんてこれっぽっちも必要としていません。
そういう厳然とした事実があるわけです。
では彼らがエネルギー源としているのは主に何か?
ケトン体であると思われます。
もちろん、アミノ酸からの糖新生は行われている可能性がありますが、最も大事なエネルギーは、黄身に含まれている脂質を基にしたケトン体だと思われるのです。
すなわち、宗田先生が発見した
「妊娠中の人の胎児や胎盤のケトン体濃度は著しく高い(成人の20~30倍)」
という現象は、
「鳥のヒナの卵の中におけるエネルギー代謝状態とよく似ている」
というように思えるということです。
少なくとも、鳥や爬虫類が卵の中で育って生まれて活動するためには、親から糖質を供給される必要なんてどこにもないわけです。
と、ここまで書いたところで
「おまえの言うことを聞いて糖質制限した妊婦の子供の知能が低かったらおまえは責任をとれるのか!」
「鳥類と哺乳類を一緒にするな!」
などという反対意見も聞こえてきそうです。
それらのポイントに関しては別の記事で。
⇒ 毎日糖質食べないと胎児がバカになるほど人間ってもろい生き物なん?
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat26/post_216.html
スポンサードリンク 2015年4月 5日 21:31 スポンサードリンク
カルピンチョ先生ご無沙汰しています。
昨年はいろいろありがとうございました。
RIZZO T.らの論文をきちんと読んでいない日本の
糖尿病医、産科医のためにケトン体が知能低下を起こすなんて言うことが信じられています。ケトン体のおかげで
脳神経が元気でいられるのに濡れ衣です。
この件に関してはいろいろ準備中ですが
よろしくご指導ください。
お久しぶりです。
相変わらず飲みまくっている糖質制限酔っぱらい内科医のdqndoc1019です。
>鶏卵についてみてみましょうか、さて、この中の栄養成分はどのようなものがあるでしょうか?
>主なエネルギー源となるのは脂質です、そして体を作るタンパク質です。
>糖質なんて1%以下です。
流石です。
冴えてますねぇ、先生。
この説明、どこかで使わせてください。
m(_ _)m
さらなる考察を期待しております。
面白い話ですね。
もう一歩進めて、有精卵に、1日20gずつ(あ、数字はいい加減ですw体重比で人間に換算して240gに相当する量とかでいいと思うのですがw)のブドウ糖を注射して、育てるって実験があったらもっと面白いかもとか思いました。
何らかの代謝異常や、食欲や食の好みに対する嗜好や、太りやすい体質になるとか…
いろいろ大人の鶏になってからの経過観察まで楽しみな実験になりそうな気がします^^;
逆に、おとなになってから肥満体質にするには、卵の段階からブドウ糖注射が有効とか…になる可能性も…。
鶏肉の霜降り化が起きるかもですw
>宗田先生
ごぶさたしています、すみません。
> この件に関してはいろいろ準備中
これからも楽しみにしています(*^▽^*)
よろしくお願いします。
>dqndoc1019さん
お元気そうですね。私も隙あらば飲みまくってますw
どうぞ、ご自由にお使いください。
糖質が脳神経系の発達に重要だという先生方からの反論も聞いてみたいものです。
>AWC34さん
ねずみなどでは妊娠中に高カロリー食や飢餓食を食べさせて、生まれた仔ねずみの代謝や太りやすさがどうなるか、なんて実験はたくさんやられていますね。
人間は1980年ごろから政府主導で「長期にわたって60%の高糖質食を食べるとどうなるか」の実験をやってますから、そろそろ別の実験に移っていただきたいですねえ。(笑)
妊娠糖尿と産婦人科から診断を受けてます。
低糖質食にして血糖値は、空腹時血糖も食後血糖もみるみる改善しているのに、低糖質制限をしてることが気に入らないようです。「血糖値が下がって、自分はそれで良いかもしれないけれど、あなたは医療識もないのに赤ちゃんを危険にさらしてることわかってますか。」と言われました。でも、早めに高血糖を脱出して、出産までに正常値を保つ期間をより長くした方が、気長に生活改善だの血糖値観察だのして、あげくにインスリン注射を始めるようになるよりは、赤ちゃんには最良だと思うのですが、どうでしょう?出産も4ヶ月の時点でその病院管理が宣告されてるのですが、食事も心配でご飯だけ抜いて貰えそうにないので、こっそり捨てないとダメかなと不安です。高糖質食を食べなければ血糖値は正常値なのに、無理やり食べさせられ「血糖値がなかなか下がらない」とインスリン注射を射たないとあなたとあなたの赤ちゃんはだめです。と言われるのはわりきれません。
>「妊娠糖尿と産婦人科から診断を受けてます」さん
糖質制限で改善されましたか、よかったです。
今日の記事でも書きましたが、
1.人類が糖質を豊富に摂取できるようになったのはごく最近のことです。
2.食後高血糖を誘導するのは糖質摂取です。
これらの二つのことを考えれば、妊娠糖尿であっても糖質制限が正しい食事方法の一つであることに異論はわかないと思うのですけどね、その先生も。
でも、自分の頭で考えない先生だったら理解できないでしょうね。
>早めに高血糖を脱出して、出産までに正常値を保つ期間をより長くした方が、気長に生活改善だの血糖値観察だのして、あげくにインスリン注射を始めるようになるよりは、赤ちゃんには最良だと思うのですが、どうでしょう?
おっしゃる通りだと思います。
>高糖質食を食べなければ血糖値は正常値なのに、無理やり食べさせられ「血糖値がなかなか下がらない」とインスリン注射を射たないとあなたとあなたの赤ちゃんはだめです。と言われるのはわりきれません。
個人的な見解ですが、入院しないで自分で糖質制限して血糖管理している方が安全だと思いますよ。
セカンドオピニオンとして宗田先生のところを受診してみるというのもありかと思います。
宗田マタニティクリニック(産婦人科)
http://www.muneta.org/
〒290-0024 千葉県市原市根田320-7
TEL : 0436-24-4103
FAX : 0436-24-4112
E-mail : mmc@mbr.nifty.com
休診日 : 木曜日 日曜日
診察時間 : 9:30~12:00/15:00~16:30
(土曜日 16:00迄)
納得できない医療を我慢して受ける必要はありません。
もちろん、納得されている方が「糖質摂取してカロリー制限して抑えきれなかったらインスリンを打つ」、という治療法を選択される場合、それを止めることも致しませんけど。
選ぶのは患者さん自身です。
胎盤は高濃度のケトン体を含んでいる、ということで
あることを思い出したのでコメントさせていただきます。
日本国内ではヒト胎盤抽出物の注射剤が
二種類ほど承認販売されております。
いわゆるプラセンタ注射です。
大変うさんくさい薬剤でしかも特生という
やっかいな代物なのですが美容系クリニックでは
とてももてはやされています。
なにしろ生物由来のエキスであるため
なにが有効成分なのかまったくわかっておりませんでした。
しかもその製造工程では徹底的に煮詰めたり
フィルターを通したり滅菌を繰り返したり
アミノ酸のカスくらいしか残ってないんじゃないの?
というプラセボ効果期待薬剤の代表でした。
ただ、宗田先生の発表から、有効成分の本体は
ケトン体というのが有力だと思いました。
プラセンタの効能は肝機能改善、更年期障害
うつ、美容などなど。
これらは正に糖質制限により得られる
ケトン体効果だと思われるわけです。
おそらくメーカーもこのことには気づいておらず
注射液中のケトン濃度の測定もしていないはずです。
でもだったら何も特生なんて面倒な薬でなくて
ケトン体注射でもしてりゃいいんじゃないの?
いや結局、糖質制限で十分でしょ。
という結論になりますよね。
>FFさん
プラセンタ注射、あれ、馬か豚だと思っていたのですが、今でもヒトを使ってるんですか!?
昔は某製薬会社のプロパーさん?が産婦人科めぐりして胎盤お持ち帰りになられていて、飲み薬になるとかいう話は聞いていたのですが、プリオン病の流行とともに回収屋さんもその行為も消えたつもりでいました。
ほんとうに今でもヒトを使ってるなら恐ろしい話ですね・・・
初めまして。現在10週の初産婦です。
悪阻が酷く、食べることも飲むことも出来ず入院、点滴をしています。
体重は1ヶ月で12㎏痩せました。
入院前の尿検査はケトン3+。毎日点滴4本(ビタミン剤1、ブドウ糖3)を入れていますが、今日の尿検査ではケトン4+だそうです。
これは、赤ちゃんがまだまだケトン体が足りないと言ってるって事なのでしょうか?
ケトン体が増えていることが心配で、ケトンについて調べていたところ、偶然この記事を見つけました。
>ほそやさん
質問ありがとうございます。
重症の悪阻はしんどいですよねえ、妊娠を経験した方からもしばしば理解もしてもらえないし、経験してみないと本当のしんどさはわからない。
(わたしも男ですからリアルにはわかりませんが)
尿検査のケトンが改善しないですが、これは赤ちゃんがケトンが足りないといっているのではなくて、ただ単に絶食状態で体脂肪が分解されているだけの話です。
細谷さんご自身に必要なエネルギーが不足しているので、体が必死でエネルギーを作り出している状態です。
いったんこのモードに入ると、ブドウ糖の点滴を数日間続けただけではなかなかスムースに戻らない可能性があります。
どの程度の点滴量かわかりませんが、点滴をするようになって2週間ぐらいは時間的な猶予を見てください。
なお、妊娠10週ということですが、12週あたりで赤ちゃんの方も胎盤が完成してホルモンモードが切り替わる(妊娠黄体主体から胎盤主体へと)と思いますので、その頃にはつわりが改善する可能性が高いです。
しんどいとは思うけど、先の見えている苦しみですから、もうひとふんばりです。
丁寧な回答をありがとうございます!
私自身のエネルギーを作っていたのですね。
悪阻はひどいものの、吐く回数が心なしか減ってきているように感じています!この調子で頑張ります!
毎日点滴は4本で、一本目はB1?が入ったビタミン剤、残りの3種類はブドウ糖のようです。
また、昨日の回診でずっと食べていないから血液検査がチョット引っ掛かってますが様子を見ましょうと言われました。
主人には、腎臓の数値?がなんちゃらと言ったそうなんです。そこまでひどくないからと言われたらしいですが、私が気にするからと教えてくれません。
私は逆に気になって仕方ありません。ずっと食べていないと腎臓にどのような影響があるのでしょうか…。
>ほそやさん
腎臓の数値が引っ掛かったとすればBUN(血中尿素窒素)ですかね?
腎機能が落ちれば数値が上がるものとして通常は考えますが、
しばらく絶食しているとアミノ酸を糖に変える糖新生が起こりますので、その際に筋肉などから窒素が出てきて数値が上がります。
つまり、この場合腎臓には何も影響はありません。
BUNが高くなっていても、それは絶食で筋肉を分解して糖新生が起こっているせいだから気にしないでいい、みたいにご主人は言われたんじゃないでしょうかね?
そうなんですね。
非常に分かりやすく丁寧で、回答していただき嬉しかったです。
あまり気にせず、早く体が回復するように願うばかりです。
また記事の更新を楽しみにしています。
どうもありがとうございました(^^)