ベイスンによる食後高血糖低下の効果が弱くなってきたんですが?
ベイスンというのはαグルコシダーゼ阻害剤で、腸管からの糖質の吸収を抑えるお薬です。
やむを得ず糖質を食べるときに飲んでいるけれども、その効果がだんだん薄れてきました、というコメントの質問がありました。
頂いたコメントへの返信を記事として書かせていただきます。
キョンさんからいただきました。
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キョンさん
6ヶ月前から糖質制限をしています。
健康診断で食後の血糖が200を超えている事が発覚して実施中です。
ヘモグロビンA1Cは4.8ですので、インスリンが遅れて出ているとの医師の見解です。
体重は8キロ落ちて血圧も正常になり、スタイルも良くなり、風邪もひかなくなり、花粉症も今年は不思議と軽かったので、良いこと尽くめと思っていいました。
炭水化物を取らないときは、血糖値80~90で、お米、麺類を食べた時は血糖値200まで上がるので、どうしても食べなくてはいけない時にベイスン0.2mgを服用していました。(頓服的に)そうすると血糖値170程度まで落ちるので、血管イベントが発生すると言われている180以下にはなるので安心していましたが、最近ベイスンを服用していても、米、麺類を食べると200を超えます。
糖質制限をしているので体が糖に対して感受性が強くなり少しの量で血糖値が上がると言う事は無いのでしょうか?
そして、もう一つ質問ですが
夕食後の2時間の血糖が72~79です。
低血糖は70以下と聞いていますが、簡易血糖測定器は10%の誤差が有ると聞いていますので低血糖状態ではないかと思います。
低血糖も血管イベントを起こすとの事ですが、この程度なら問題ないのでしょうか?
夕食は糖質を取った方が良いのでしょうか?
以下 日々の食事メニューを記入しておきます。
朝は ゆで卵2個 レタス150g 健康食品のプロテン (糖 質0) マルチビタミン(A、B、C、D、E、K、 鉄)
昼週4 肉か魚かどちらかを150g レタス50g 白菜200g 豆腐半丁 こんなやく50g
昼週3 定食 魚か肉の定食でお米150g もしくは ラーメンかそばかうどん
夜 肉か魚かどちらかを150g レタス50g 白菜200g 豆腐半丁 こんなやく50g
ビール糖質0 350mlを2本 焼酎甲 150ccを毎晩飲んでいます。
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キョンさん
コメントありがとうございます。
食後血糖値をまめに計測されているようで素晴らしいと思います。
ぜひ、続けてください。
でも、結果に一喜一憂しないで、長く続けてみて、自分の食後血糖上昇変動の傾向を掴んでください。
食後血糖値の上昇はその人の体質次第ですし、体調次第ですし、食べ方次第です。
1gの糖質をたべて血糖値が3上がる人もいれば、5上がる人もいます。
同じ人でも、食べる順番とかスピードとかその日の体調とかでそれは変わります。
腸内細菌の構成も糖質制限する前と後では変わりますし、キョンさんのようにお昼には糖質をガッツリ食べてらっしゃる方の場合、腸内細菌の日内変動もすごく激しいと思うのですよね。
(糖質大好きな細菌と脂肪酸が好きな細菌の勢力争いが毎日起こっているはずです。)
そうすると、食後高血糖の程度も毎回、ぶれても仕方がないと思われます。
一番良い解決策のひとつはお昼ご飯も糖質制限することではないかと思いますが、仕事上難しいのでしょうね?
それへの対抗策としてのベイスンの服用、理に適ってはいます。
ベイスンの効果ですが、これは腸からの糖質吸収を妨げる薬です、この薬の効果もこれまた、何を食べたか、どんな順番で食べたか、その日の体調はどうか、といったことでいくらでも変わりますし、腸内細菌の状態によっても影響を受けます。
以前と最近で効果が違う、というのは多少は仕方ないと思います。
なかなか、理科室の試験管の中での実験のような操作できないと思っていてください。
キョンさんの場合、また、書いてらっしゃるように、HbA1cが4.8mg/dlということで、食後高血糖の時間もそれほど長くないと思われます。
ということは、主治医の先生がおっしゃるように、いわゆる「反応性低血糖」あるいは「機能性低血糖(医学的に公式な概念とはいえない)」という状況だと思うのです。
インスリンの効くタイミングが悪いわけですね。
原因はこれまた様々。
インスリンの出方が変なのかもしれませんし、インスリン抵抗性が変わったのかもしれませんし、糖新生のタイミングがおかしいのかもしれません、グルカゴンによるグリコーゲン分解もおかしいのかもしれません。
それらの現象が何故起こったのかも、原因はさまざまです。
現象の背景に反応性低血糖があるのかどうかを調べようと思う場合には、
日曜日などに起床時の空腹時血糖値計測から始めて、朝食摂取直前、摂取後1時間、2時間、3時間、4時間、5時間というふうに連続的に血糖値を測定してみてください。
それにより、あなたの血糖値のピークがどのへんにあるのかがわかります。
糖質をほとんど食べないのに食後1時間の血糖値が上がるようであれば、何らかの機序により、グリコーゲン分解によるグルコース放出が起こっている可能性もあります。
食後3時間や4時間にピークが来れば糖新生亢進の影響が考えられます。
血糖値が高い状態がだらだらと続くようであれば、インスリンの分泌が悪いかインスリン抵抗性が上がったかの可能性があります。(HbA1cの値が低い場合にはこの可能性は少ないと思いますが)
2~3回繰り返してみて、一定の傾向があればそれをもって主治医の先生に相談していただければいいと思います。
インスリン抵抗性が上がっていると判断されれば、メトホルミンの内服などを勧められるかもしれません(キョンさんの場合はなさそうです)。
ほかにもいろいろ、可能性を挙げだしたらキリがないのですが、やめておきます(^^;)。
考えればいくらでも考えられますが、考えても仕方ないです。
特にこれといった傾向がなくて、毎回ピークの位置が変わるようであれば、そういう体質、あるいは体調なんです。
ということで、受け入れましょう。
血圧正常で元気であることを優先して過ごしてください。
ほかの数値も標準範囲であり、動脈硬化傾向もないのであれば、血糖値に一喜一憂する必要はないです。
その分、運動するなり好きな趣味に没頭するなり仕事に打ち込むなり、時間を有効に使われては、と思います。
コメントありがとうございました。
血圧正常ですし、元気なので血糖値で一喜一憂しないようにします。
少し神経質に成りすぎていました。
HbA1cは単位がmg/dlではないと思います。
通りかけさん
あれ、まちがってましたか、ご指摘ありがとうございます。
・・・まあ、みんな分かっていると思いますので、放置してみます(笑)。
どうもありがとうございますね、またよろしくです。
カルピンチョ先生ご無沙汰しています(勝手に)。私は肥満に悩んで早?十年の女です。ご飯もうどんももちも糖はみーんな大好きだから低糖質はあきらめようと思っていたのですが,子宮摘出をしてから体力が落ちると共にだらだら生活のドツボにはまり人生最重量をマークし,力士のような自分にまじめに焦りました。そこで,あれこれ試しましたがどれもこれも失敗し,また戻ってきました。
結果が出てからコメントしようと思って頑張ってみました。ちょうど十日たちまして,この間大腸検査もあったので,体重は減ったり増えたりしつつもスタートから2.1kg減り喜んでいます。まだ体調や見た目の変化は実感ないのですが,元気な熟女目指して頑張ります。
子宮はないのですが閉経はしていないらしいです。なので少々不安ですがちょこちょこ血液検査もしながら善玉コレステロールと中性脂肪の変化を楽しみに頑張ります。
48歳の男性糖尿病患者です。
35歳で劇症型の1型糖尿病を発症してからインスリン注射を打ち続けて血糖コントロールをしてきました。
現在の処方はヒューマログを朝は4単位、昼は6単位、夕は6単位、あと基礎分泌量を補う為に夜にトレシーバを16単位打っています。
これまではヘモグロビンA1Cが6.5以下の良好な血糖コントロールを維持してきましたが最近同じ量の食事を食べていると代謝や筋肉が落ちたのかヘモグロビンA1Cが7.9にたちまち悪化してしまいました。
悩んでいたところたまたまこちらのブログを読み糖質制限食を取り入れたら空腹血糖値が平均115と劇的に改善し血糖測定すると80台の時もあり逆に低血糖を心配するぐらいになりました。
これまでなかなか高血糖状態が下がらなかったのが嘘みたいに血糖値が下がりました。
本当にありがとうございます。
次の診察が楽しみです。
糖質制限食についてはいきなり0にするのは低血糖が怖いので現在の糖質制限は朝と昼の2食を糖質を半分にして夕食は0にしていますがいかがでしょうか?
私の受診している病院は田舎のせいもあり某大学病院から派遣されてくるDrが2~3か月でころころ変わるので自分でしっかり管理しなければ合併症で苦しむと自覚はしております。
このブログの内容を詳しく読ませてせていただくと数々の批判を受けているようですね?
私はこの糖質制限食のブログを勇気を持って書いていただいている先生に深く感謝致します。
これからも愛読させていただきますのでよろしくお願いします。
やはり個人差はありますよね(^^)
焦らないで続ける事が大切なんですね!
前回コメントした劇症型の1型糖尿病患者です。
強化インスリンの治療をしており処方はヒューマログ朝4単位、昼6単位、夕6単位、トレシーバを寝る前に16単位です。
本日糖尿病の定期診察があり血液検査でヘモグロビンA1cが7.9→7.2まで一気に下がりました。
当ブログを参考にして糖質制限をしたおかげです。
ちなみに中性脂肪値は231→90と驚異的な減少でした。
いかに炭水化物の食べ過ぎが血糖値や中性脂肪に悪影響を与えているか実感しました。
担当の主治医も喜びトレシーバを14単位に減らしてくれました。
これからも引き続き糖質制限食で血糖コントロールをしていきたいと思います。
当ブログを公開してくれた先生に深く感謝致します。
>tuitelotokoさん
>本日糖尿病の定期診察があり血液検査でヘモグロビンA1cが7.9→7.2まで一気に下がりました。
>当ブログを参考にして糖質制限をしたおかげです。
>ちなみに中性脂肪値は231→90と驚異的な減少でした。
・・・よかったですね!
お役に立てたならよかったです。
その後、どうなのでしょうか、1型なので、維持インスリンは減らさずに食事対応部分だけ減らしていくのが理想だと思います。
主治医の先生とよく相談されてくださいね。
(もちろん、糖質制限していることは伝えてありますよね?)
>tuitelotokoさん
放置していたコメント返信をさかのぼりながらしているので、あとから頂いだコメントへの返信が先で、タイミング悪くてすみません。
>これまではヘモグロビンA1Cが6.5以下の良好な血糖コントロールを維持してきましたが最近同じ量の食事を食べていると代謝や筋肉が落ちたのかヘモグロビンA1Cが7.9にたちまち悪化してしまいました。 悩んでいたところ・・・
そうなんですよね、バーンスタイン先生が糖質制限食を強く推奨するのもここにあります。
糖質を摂取しながらインスリンを使う治療は管理が楽ですが、やがてコントロール不良に陥る人が多いのです。
繰り返す食後高血糖、そして生体の反応に比べればどうしてもタイミングのずれるインスリン注射、繰り返す高血糖状態が徐々に徐々に血管をむしばんでいきます。
中高年で発症する2型糖尿病の人は、厳しいカロリー制限と薬でごまかしながらもなんとか行ける人が多いでしょうけれども、比較的早く発症する1型糖尿病の方の場合は蓄積される血管へのダメージが半端ないことになりがちです。
それを考えると、やはり糖質制限が食事療法の基本だと思います。
(バーンスタイン先生ほどに緻密に管理するのは無理かもですけど(;^ω^)。)
tuitelotokoさん、ぜひ、これからも加減しながら糖質控えめライフをお過ごしくださいね。
ゆるゆるとがんばり続けてください。
わたしもぼちぼちまいります。
東郷ユウヤさん
いったいこの記事のどこの部分に対してどう感じてのコメントなのか今一つピンときませんが(笑)、ダイエットもアフィリエイトもがんばってくださいね。
>ぴぴにゃんこさん
コメントありがとうございます。
その後、糖質制限は続けて見られていますか?
晩御飯の時だけでもいいので、糖質を減らすこと、試みられてくださいね。
きっとよい効果が出ますから。
がんばって(^^)/
>カルピンチョン先生
昨年の2015年3月27日にコメント返信をいただきましたtuitelotokoです。
アドバイスありがとうございました。
あれから糖質制限を続けていたら劇的な変化がおきました。
体重は昨年の同じ時期より12kg減って痩せて快適になっただけでなく膵臓からインスリンが出ている事が判明し晴れて劇症型の1型から2型糖尿病と診断が覆りました。
たまたま引っ越して別の糖尿病専門クリニックに行ったら主治医から血糖値の変化が少ないので2型糖尿病ではないのかと指摘があり24時間蓄尿検査でペプチドの値を調べたら十分な自己インスリンの分泌が判明しました。
当初は1日3回打ちしていた超速攻型インスリンのヒューマログを飲み薬のグルべスに切り替えましたが現在では飲み薬も不要になり持続型のトレシーバも10単位だけでヘモグロビンA1cは6.6まで改善しています。
本当にこのサイトを立ち上げてくれた先生には感謝しています。
あのままこの事実に気が付かずに糖質を食べ続けてインスリンをガンガン打っていたら今頃はどうなっていたかと思うとゾッとします。
幸い担当の主治医も糖質制限には理解があるので今後も継続してヘモグロビンA1cを下げて合併症を防ぎたいと思います。
>tuitelotokoさん
いやあ、びっくり、おめでとうございます!
35歳で1型と診断されていて、それが14年後に2型と診断が覆るなんて。
でも、24時間の蓄尿サンプルで内因性のペプチドが確認できたのであれば、少ないながらも膵臓がインスリンを作っているってことですからね。
糖質制限で膵臓への負担が減ったことで膵臓の機能が復活してきたのでしょうね。
こうしてうかがって見ると、疑問がわきます。
自己免疫性疾患であれば、多くの場合は膵臓のランゲルハンス細胞は10年もたてば完膚なきまでに叩き潰されているという理解なんですよね。
1型糖尿病を発症してしまった患者さんの多くはこのパターンです。
でも、中には、自己免疫系の影響は少なめで、
あるいは自己免疫系によるランゲルハンス細胞への攻撃が途中で軽減して、
実は膵臓の機能が残っているタイプの人がある程度いらっしゃるのではないかと思えてしまいます。
tuitelotokoさんのように。
もしもそう言う人がある程度の頻度で1型糖尿病(と診断された)患者さんの中に含まれるのであれば、tuitelotokoさんのように糖質制限してインスリン投与量を減らさないとそれはわからないですね。
だって、たくさんのインスリンを打ち続ける限り、膵臓の出る幕はないし、計測しようなんて思いませんからね。
全員とは言いませんけれども、一部の「1型と診断されている糖尿病患者さん」の中には、インスリン分泌機能が残っているのだとしたら、投与しているインスリン量を最低量まで減らせるかもしれない。
やはり、1型糖尿病の人も糖質制限はやる価値高いと思いますね。
ともかく、tuitelotokoさん、おめでとうございました!