肝機能がすごく落ちている人は、適度な糖質摂取・制限が必要
早期インスリン導入と糖質制限を比較した記事で、肝臓にとって、糖質とインスリンを処理する負荷よりも、アミノ酸から糖新生する負荷の方が楽なのではないかと書きました。
その証拠に、2型糖尿病で肥満の人は肝機能障害を血液検査で指摘されているケースが多いけれども、糖質制限するとそれがスパッとよくなるよ、と。
実際、私も短期間で劇的によくなりましたし、そういう報告が山ほどあります。
それに関して、こういう疑問が湧いてくるかもしれません。
「肝硬変の人は糖質制限したらだめなんだろ、それなら肝機能異常がある人が糖質制限するのは危険じゃないのか?」
いえいえ、肝機能異常と肝硬変では肝臓がやられていると言っても、そのやられ方を全く別のものだと考えて取り組む必要があるのです。
内臓脂肪の増加を伴う肥満に併せて発生する肝機能異常の場合、肝臓内脂肪蓄積(脂肪肝)が主因となって肝機能が阻害されますし、肝細胞の傷害も発生しています。
でも、この状態は肝細胞の機能がないわけではなくて、やられている細胞が多いけれども、どんどん再生して頑張ってるという状態です。
脂肪肝が改善すれば、脂肪にやられる細胞がなくなりますので、肝機能検査の数値は正常に復帰します。
これに対して、肝硬変というのは肝臓の細胞が破壊と修復を繰り返しているうちにとうとう再生が追い付かなくなった状態です
瘢痕化と線維化が進んで、まともに機能する肝細胞がかなり少なくなって、島状にどうにか残っている状態です。
この状態では、負荷の重い糖質取り込みと脂肪合成はおろか、負荷の軽い糖新生まで困難なほどに肝機能が落ちています。
糖質制限してもわれわれが元気で健康なのは肝臓が十分な量の糖質を作り出せるから。
だから、残念ながら肝硬変まで行ってしまうと、あるいはその一歩手前で非常に肝機能が悪い状態だと、極端な糖質制限はお勧めできないわけです。
ただし、まったく同じ理由で、肝臓に多大な負荷をかける糖質過剰の食事もまた、肝硬変の方にはお勧めできないこともわかりますよね。
肝臓に「糖新生の負荷」はかけないけれども、「インスリンによる糖取り込みと脂肪への変換の負荷」もかけない量の糖質を摂取するのが理想的であると考えられます。
あくまでもその人の肝臓の調子を見ながら調整するということになりますが、糖質は中等度の量の摂取が良いと思われます。
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肝硬変の人の食事ガイドブックには、
「消化の良いもの、あるいは適度なバランスの精製された栄養素を含む食品を適量食べる。」
なんて玉虫色のことが書いてありますけど、実際、個人個人が食べて検査して微調整するしかないのが現実ですよね。
糖質「制限」と言っているのでこの辺が変に突っ込まれている気がします~~~
適正な糖質量(当然その人によって異なる)を取るに為にどうするか?との話になれば「本当なら」みんな同じテーブルで話せると思うんですけどね~~
なるほどそうですね、「糖質制限」、とか「低糖質」とかいう言葉がダメなのかな。
「適切な糖質摂取量は50~60%に決まってるだろう、それがまず前提で、その後で個人個人の症状を見て投薬を考えるのだ、それ以外の選択はありえん!」
という人たちもかなりたくさんいるのですが、彼らも「糖質制限」と言わなければ同じテーブルについてくれるようになればいいですねえ。