うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった 藤川徳美 素晴らしい!
「鉄が不足すると、前にも述べましたように、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が作られにくくなりますので、精神的に頑なになりやすく、些細なことでキレやすくなります。とはいえ、人前や公共の場では、そのような情動があっても、表出する人は稀です。
ところが家庭の中では、こうした感情があからさまになってしまうものです。とくに自分の庇護下にあると思っている子どもに対しては、かなりストレートな感情表現として現れやすくなります。
たとえば、すぐに返事をしないとか、宿題が終わっていないとか、些細なことでイライラしたりキレたりして、叱りつけてしまいます。中には手が出る人もいます。後になって、「言いすぎた」「ひどいことをしてしまった」と自責的になり、落ち込んでしまいます。
家の中がそのような状況だと、子どもは委縮してしまいます。おびえながら過ごすような毎日です。
こうした状況が積み重なると、子どもの側にも、不登校、チックなどの心身症の症状が現れることもあります。
このような場合には、まずは母親の鉄不足を改善することが大切です。母親の精神状態が良くなることによって、子どもの些細な行動も許せるようになります。
もちろん、許せるようになるからといって、甘い子育てになるということではありません。本当に叱らなければならない場面では、冷静に叱ることができるようになりますので、子どもの状態も落ち着いてくるでしょう。」
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(書籍本文73~74ページより抜粋)
今回は多くの人(一般の方、医療関係者)に取ってパラダイムシフトとなるであろう本をご紹介します。
タイトルの通りで、藤川徳美先生の「うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった」という本です。
光文社新書からは夏井睦先生、宗田哲男先生らの糖質制限の意義を世に問う書籍がすでに出ていますが、それらに負けず劣らず、というかそれらを下敷きにさらに進んだ良書です。
今回の藤川先生の本、医療関係者すべてと健康に興味のあるすべての人に読んでいただけたらと思います。
まず私ごとですが、私はDr.カルピンチョこと、吉田尚弘と申します。
2012年4月からこの「低糖質ダイエットは危険なのか?中年オヤジドクターの実践検証結果報告」をDr.カルピンチョというHNで記載してきました。
掲載開始時は理化学研究所に勤めていたのですが、2016年3月に研究職を退職して臨床の現場に戻りました。
臨床に戻って一年、ご縁をいただいて2017年の4月からHealthpressというサイトで実名で糖質制限に関連する記事の連載を始めさせていただきました。
こちらで先日、記事として書かせていただいたのがこちらです。
糖質制限に失敗する女性は「隠れ栄養失調」? 鉄分不足でエネルギーが消滅!
http://healthpress.jp/2017/07/post-3102.html
糖質制限に関するトピックとして、糖質制限がうまくいかない時にどんなことが考えられるか?
鉄分とたんぱく質が足りない女性が厳しい糖質制限に失敗する理由について書かせていただきました。
一文でまとめると、
「鉄分とたんぱく質が足りないのでミトコンドリアがうまく機能しない、だから上手に脂質を燃やしてエネルギーにすることができずに厳しい糖質制限が続けられない。」
、というものです。
この記事についてはいくつかの書籍を参考書籍として紹介させていただいていますが、もっとも強く影響を受けたのは実は藤川徳美先生の理論を中心としたフェイスブックの記事群(メガビタミン主義+糖質制限=藤川理論(非公開))だったのです。
このグループの記事群に書かれている理論は分子栄養学に詳しい方々の説明を中心としたものです。
さまざまな病気の発生に栄養失調がどのように関わっているか、では、具体的にはどのようにして栄養失調を改善して病気を治したらいいか。
グループの参加者と諸先生のコミュニケーションを通して、様々な問題が解決されていきます。
鉄不足と糖質制限についてもそちらで学ばせていただき、過去に購入していた溝口先生の本などを改めて読み、多くのことを学ばせていただきました。
そのグループの中心としてとらえられている藤川先生の「鉄」をメインテーマに据えた待望の新書がこの本なのです。
前置きが長くてすみません(;^ω^)。
さて、冒頭に紹介した文章は、本の内容からの抜粋です。
この文章を紹介したのは、小中学生を育てている家庭であればどこの家でも起こっていそうな状況についての記載だからです。
こどもの些細なことにイライラしてしまうお母さん、でも、それはお母さんのせいではなくて、鉄不足という隠れ栄養失調のせいかもしれないのです。
本のタイトル通りに精神的不安、パニック障害などの原因として「鉄不足」を我々は考慮しなければならない。
この本を読めば読むほどそれを痛感します。
具体的には、鉄不足でどんなことが起こるのでしょうか?
こちらも本からの抜粋をご紹介します。
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「まず、フェリチン値が30以下であれば、貧血の有無とは関係なく、鉄不足という診断となり、積極的な治療対象となります。
鉄不足の症状は次の通りです。
○イライラしやすい。集中力低下。神経過敏。些細なことが気になる。
○立ちくらみ、めまい、耳鳴り。偏頭痛。
○節々の痛み(関節、筋肉)。腰痛。
○喉の違和感(喉が詰まる)。
○冷え性
○朝なかなか起きられない。疲れ。
○出血(アザ)。コラーゲン劣化(肌、髪、爪、シミ)。ニキビ、肌荒れ。
○不妊。
○レストレスレッグス症候群(RLS=ムズムズ脚症候群)
○やたらと氷を食べる。・・・・・・など。」
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(本文96~97ページより抜粋)
ありふれた症状であり、良く聞く病気ですよね。
生活習慣病の患者さんに向かっていると非常に良く遭遇する諸症状でもあります。
これらの諸症状の背景、というか発症メカニズムに鉄不足が潜んでいる可能性があるということなのです。
この場合、鉄不足を補正してあげるだけで様々な症状が改善する可能性があります。
さらに言えば、精神神経的な治療薬だけではなかなか症状が改善しなかった人の症状が、鉄不足の補充を組み合わせるだけでも改善する効果が期待できるということです。
その具体的な方法については本をぜひ、ご覧ください。
うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった (光文社新書)
Amazonリンク
うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった [ 藤川徳美 ]
楽天リンク
私も以前からFacebookで勉強させていただいていたのですが、本の形で読むことで、鉄不足をどのように診断するのか、どのように対処すべきかが明確になりました。
早速、手元に届いた翌日から実臨床に取り入れさせていただいております。
基本は「糖質制限+鉄不足の改善」です。
私の中では「今年の一推し医学書籍」です。
Facebookで勉強したければ、こちらのグループに参加申請されることをお勧めします。
メガビタミン主義+糖質制限=藤川理論(非公開)Facebook
https://www.facebook.com/groups/1727173770929916/
私も藤川先生のブログやFacebookでも勉強させていただいていまして、待望の本でした。
発売日に予約購入して読み終わりました。
とてもわかりやすく説得力のある素晴らしい本だと思います。
色々なケースの疾患が糖質制限+鉄で改善し、薬も最低限もしくは薬無しまで完治出来る。
目から鱗ですよね。
栄養の重要性をひしひしと感じました。
藤川先生が尊敬されている三石巌先生の本も明日届く事になっています。
糖質制限を始めてから、たくさん本を読むようになりました。
知らない事を勉強できるのは人生の喜びです。
こうであるはずだという思い込みに固執する事なく頭を柔らかくして、正しい事は何なのか追求していきたいですね。
で、次に私が心待ちにしているのはカルピンチョ先生の御本でございます。
どうかよろしくお願いします( ^ω^ )
カルピンチョ先生
久しぶりにコメントさせていただきます。
私には一人息子がいて、ご多分に漏れず中学校に入ったくらいから反抗期になりました。
この息子の態度に対して妻が(私に言わせると)「同じ土俵に立って」言い争いになるので、親なのでもっと余裕を持って対応するように言うのですが、なかなか・・・・・でした(私は「甘い」と言われるし・・・苦笑)。
今回のエントリーを読んで、妻は健診の度に血色素量が低すぎて毎回要検査になることに気がつきました。
鉄剤を処方されるのですが、なかなか良くなりません。というか、貧血に慣れているのか、気がつくと飲まなくなっているようです。
ご紹介の本、江部先生のブログでも話題になっていました。
早速読んでみることにします(妻に読ませようか・・・素直に読んでくれるかなぁ・・・)。
ひっ跳べ
>カーコさん
さっそく読まれたのですね。
> とてもわかりやすく説得力のある素晴らしい本だと思います。 色々なケースの疾患が糖質制限+鉄で改善し、薬も最低限もしくは薬無しまで完治出来る。 目から鱗ですよね。 栄養の重要性をひしひしと感じました。
・・・そうなんですよね、私もFacebookで読んでいたのですが、ほかの先生方の書かれている投稿やコメントのやりとりが膨大で毎日すごい量の更新で。
正直、読む暇が作れずにかなりの部分、読み取りすら挫折してました。
本を出していただけてよかったです。
> 糖質制限を始めてから、たくさん本を読むようになりました。 知らない事を勉強できるのは人生の喜びです。 こうであるはずだという思い込みに固執する事なく頭を柔らかくして、正しい事は何なのか追求していきたいですね。
・・・はい、藤川先生も書かれていますが、査読システムのある英語論文を出すのには下手すると数年かかるんです。論文を通すためにやる意義の分からない一年はかかる追加実験をやらされたり、査読者の論文を引用して肯定するような文章の追加を要求されたりして(査読者が誰かは匿名ですが、レビューを見たらだいたいどこのどいつかわかります(笑))。
私、残りの生きてる時間を、英語論文を書いて投稿して無為なやり取りと望まない改変を繰り返すのには使いたくなくなったのが研究者をやめた主な理由です。
>で、次に私が心待ちにしているのはカルピンチョ先生の御本でございます。 どうかよろしくお願いします( ^ω^ )
・・・が、がんばります
まぁ、大阪勤務でいらっしゃったのですね!
あたしも大阪在住です^^何かあれば訪ねて行きたく思います^^
過去の血液検査では辛うじて「貧血」ではなく
鉄分不足の自覚症状もないので、今まで放っていたのですけど
一度フェリチン値も調べて頂いた方がいいのですね・・
Healthpressの過去記事、読ませて頂きます(^∇^)
>ひっ跳べさん
あ、ひっ跳べさんのご家庭でもそのような傾向が?そしておくさまに貧血が明瞭にあるのですね?
>妻は健診の度に血色素量が低すぎて毎回要検査になることに気がつきました。 鉄剤を処方されるのですが、なかなか良くなりません。というか、貧血に慣れているのか、気がつくと飲まなくなっているようです。
・・・ぜひ、奥様にも鉄欠乏を改善していただけたらと思います。
鉄欠乏状態の方々、私が現在勤務中のクリニックのメインの患者さんである肥満の方々にもけっこういらっしゃって、検査会社の基準値ではなくて、藤川先生のおっしゃる鉄欠乏の基準で見てみると、かなりの数、いらっしゃいます。
(鉄欠乏の肥満の方と、鉄は十分で肥満の方とは半々ぐらいですけど)
鉄欠乏の方の場合、肥満ですから栄養過剰のように医者を含めた周りと、なによりも本人も思っていますが、実は極めて偏った栄養失調状態であると思います。
そして、そのような潜在的鉄欠乏の人では不安や不眠、精神的ストレスを抱えている傾向は明らかに高いと感じています(統計を取ってみたいと思っています)。
現在、血液検査でそのような傾向が見られた方には鉄欠乏性貧血の方へ対処するつもりで栄養指導を行い始めています。
女性の方では鉄欠乏はそう簡単には改善しませんし、鉄欠乏の人は「レバーや赤身肉、赤身魚が大嫌いでご飯と菓子パンと麺が大好き。」という人が多いので、食べてほしいと思う食材をなかなか食べてくれません(食べ物を変えるのは嫌だから薬でなんとかしてよと言ってくる人も多いです)。
この先まだまだ時間がかかるとは思いますが、地道に鉄欠乏改善を進めていきたいと思っています。
>みいさん
2017年4月から大阪駅近くのクリニックで勤務しています。
ただ、そちらは理事長の指針で糖質制限は推奨していないので来ていただいても糖質制限のお話を私からすることは禁じられています。
また、スタッフも厳格な糖質制限は危険であると否定的に考えています。
(クリニックでの栄養指導は山田先生のロカボ上限ぐらいの低糖質な内容なんですけど)
ということでいらっしゃってもストレスを感じられると思います。
糖質制限が前提であれば神戸市で月曜日の夜診をしている病院があるので、そちらに来ていただければ対応させていただきます。
Facebookの某グループでは公開しているのですが、こういう誰でも見ることのできる媒体では迷惑をかけることになる可能性があるので、メールで問い合わせてください。
お手数ですがよろしくお願いします。
カルピンチョ先生
妻へのアドバイスをありがとうございます。感謝です。
以前申し上げたように(覚えていらっしゃるでしょうか?)私は単身赴任しておりまして、単身赴任先で2015年から糖質制限を始めました。
東京の自宅に帰った時には妻も私の影響で糖質制限をしておりますが、大まかにはプチくらいでしょうか。ちなみに妻は肥満ではなくBMIでは21くらいです。
鉄分の吸収はタンパク質が大事と先生のHealth pressの記事にも藤川先生のフェイスブックにも記載してありますが、妻は少ないかもしれません(だから改善しない?)。これが問題かな、と思っているところです。
一時期レバーを積極的に食していたりしたようですが、ブームで終わったようで(苦笑)。
先生や藤川先生のご指導を受けられればいいのですが・・・関東からは・・・ですね。
夫婦で話をしていこうと思います。
ところで、「みいさん」へのコメントを拝見しました。
現在のクリニックは糖質制限を推奨していないとか。こう言ってはナンですが、(事情も分からない人間の発言ですみません)個人的にとても残念と思います。
糖質に関する問題点に非常に詳しいカルピンチョ先生が、その知識を日頃の臨床に発揮できないという点です(「大阪駅近くのクリニックで」です)。すごくもったいないなぁ・・・・・。
私も研究者なので、研究者を辞めて臨床へ移られたというのは大きな決断でいらしたと思います。でも、それは素晴らしいことだと思います。
ただ、糖質制限を基本とした医療を考慮されていたのかな、と思ったものですから以上のように考えてしまいました。
先生の事情が分かっていないので生意気なコメントですみません。
でも、そういう環境でも公に糖質制限に関するコメントを述べてらっしゃるので、余計な心配なのかもしれませんね。
相変わらず、飲んで書いてます(笑)。
ひっ跳べ
>ひっ跳べさん
> 以前申し上げたように(覚えていらっしゃるでしょうか?)私は単身赴任しておりまして、単身赴任先で2015年から糖質制限を始めました。
・・・ああ、そうでしたね、おぼろに思いだしました、すみません。単身赴任しているからこそ食事を変えることができるというのはありますね。誰かと一緒にいると糖質の森に誘い込まれるという危険もありますし(笑)。
>鉄分の吸収はタンパク質が大事と先生のHealth pressの記事にも藤川先生のフェイスブックにも記載してありますが、妻は少ないかもしれません(だから改善しない?)。これが問題かな、と思っているところです。 夫婦で話をしていこうと思います。
・・・BUNの値はどうでしょうか、これが一桁だったりするとその可能性が高まります。レバーをおいしく食べる方法を楽しく開発できたらいいですね♪
>個人的にとても残念と思います。 糖質に関する問題点に非常に詳しいカルピンチョ先生が、その知識を日頃の臨床に発揮できないという点です(「大阪駅近くのクリニックで」です)。すごくもったいないなぁ・・・・・。
・・・ありがとうございます。しばらく研究者だったので臨床に戻るのに去年一年はいろんな内科や婦人科で外来診療させていただきました。そして糖質制限を推し進めていけたらいいなと思いつつ、食餌療法に深く関わる診療科で働けたらそれが一番いいかなと思いましたが、なかなか難しいですね。
でも、肥満の患者さんにどのような問題があり、どのように対処すべきかということも現在、学んでおります。
BMI30を超える肥満の患者さんを診療しながら、今まで私が気づけなかったこともいろいろと学ばせていただいております。
一定度以上の肥満の方の場合、糖質への執着はけっこう高いことも実感しました。厳密な糖質制限を勧めると挫折しそうな方が少なからずいらっしゃる。そして質的な栄養失調の方もけっこう多いです。
たいへん勉強になっています。
もちろん、勉強したことはフィードバックしたいですし、私のこれまでの知識や経験を生かしていきたいとも強く思っています。
文筆業と現場を切り離すべきか、もちろん、どこかで折り合いがつくのが理想ですけど、いろいろ考えているところです。
カルピンチョ先生
ありがとうございます。
なるほど、了解しました。
いくつになっても(失礼!)日頃の臨床で学ばれている姿に感動いたしました。
素晴らしいと思います。
本件は、昨日くらいにたがしゅう先生も話題にしておられますね。
みなさまのコメントをよくよく租借したいと思います。
ひっ跳べ
先生をユーチューブで見たいです
何とぞ 御一考をお願い致します
動画配信ということですね。
一度は準備してCamtadiastudioとかもインストールしたのですが、理研で発表した論文の動画解説(英語)だけしかYoutubeには上がってないです。
で、このときちょっとデブ戻りしているので見られたくない(笑)。
でもこちらです。
https://youtu.be/klzsqkr9qC8
話す方が記事を書くよりも簡単ですよねたしかに。
カルピンチョ先生
早速 動画拝見させて頂きました
流暢な 英語でしゃべってる 先生は
<このときちょっとデブ戻りしているので
見られたくない(笑)>なんていって おられるが
事前に イメージしてた方より はるかに
男前で びっくりしました
流石です・・・・
是非 是非 次回は日本語でお願い致します
ビデオ拝見しました。
わあお、お若いですねー、写真よりずっと。御髪もふっさふっさ。
内容へのコメントでなくて、すみません。だって難しすぎてさっぱり、、、。
>総ケトン体 1550さん
どうもありがとうございます。カピバラによく似たおっさんではなさそうだとわかっていただければうれしいです(;^ω^)。
>ルバーブさん
内容はこのブログと関係ないですもんねえ。面白い話だと思うんですけどね。←自画自賛
髪の毛は糖質制限でできる限り長く持たせたいと思います。(笑)