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糖質を60%摂取するのはアクセル全開で車を走らせるようなもの


自動車やバイクに乗る人はたくさんいますよね。

若いころはそれらのエンジンの性能や耐久性についてあれこれと調べて知識を得た人も多いと思います。

車を買うときにもDOHCがいいのか、ターボがいいのかなんて悩みましたよね。


さて、自動車好きが高じてレースなどにも興味を持つようになると、もう一つ気になったのがエンジンの耐久性でした。

8時間耐久レースとか24時間耐久レースとか、有名なル・マンなどで日本車が上位の成績を収めると大喜びし、焼き付いてしまって完走できないとがっかりしたものです。

Mazda-787B.JPG

"Mazda-787B" by 韋駄天狗 - 投稿者自身による作品 (本人撮影). Licensed under CC 表示-継承 3.0 via ウィキメディア・コモンズ - http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mazda-787B.JPG#/media/File:Mazda-787B.JPG

この場合、エンジンの耐久性もさることながら、ドライバーの技量も重要でした。

ただもうアクセル開けまくってガンガンに攻めると焼き付いてしまうから、限界ギリギリのところで速く走り、エンジンにかける負荷を少なくしながらなんとか24時間持たせる。

あほなドライバーだと12時間ぐらいで焼き付かせてしまいます。

もちろん、エンジン性能や冷却システムの性能が低いとドライバーがいくら頑張っても駄目なんですけどね。



さて、車のエンジンの話、我々の体に置き換えて考えることができます。



われわれ現代の日本人は、毎日、ほぼ毎食、糖質を摂取します。

食事するたびに分解、吸収された糖質が血中に速やかに入り、血糖が急上昇します。

それを下げるために、膵臓は大慌てでインスリンを分泌するし、肝臓はインスリンの作用で吸収した糖質をせっせと脂肪に変えて貯蔵します。

毎食後数時間は、膵臓も肝臓もフル回転です。


この状態、一日三回、数時間にわたってアクセル全開でガソリンをぶち込んでエンジンをぶん回してあなたの自家用車を走らせているのと同じです。

毎日毎日、3~4時間の耐久レースに一日三回挑んでいるわけです。

そんなことやったら


1.エンジンがだんだん疲弊して性能が落ちていくこと、わかりますよね。

2.駆動系が回され続けてだんだん摩擦抵抗が増えて、フリクションロスが増えていくこともわかりますよね。

3.タイヤがすり減るのも早いですよね、というか、パンクする危険も高まります。。


エンジンが熱だれしてきて、アクセルを踏んでもパワーが出にくくなってきた状態、これが、あなたの膵臓や肝臓が疲弊した状態です。

駆動系の摩擦抵抗が増えてきてパワーを生かせない、これがインスリン抵抗性が高くなってきた状態です。

そしてタイヤがすり減って、パンクする、これが合併症で網膜や腎臓がやられる状態です。


これが2型糖尿病の本態だと考えてください。

自家用車を毎日毎日ぶん回し過ぎなのです。

耐久性の高いエンジンだと何十年も持ちこたえるのですが、耐久性の低いエンジンだと性能が落ち、やがて自動車全体の問題が出てくるのです。



では、どうすればいいのでしょうか?


糖質制限の考え方では、アクセルを踏むのをやめるのです。

エンジンは回し続ける必要があるので、アイドリング程度のエンジン回転により、とろとろと走ります。

AT車でドライブモードに入れてアクセルを踏まなくても走ってる、その状態です。


その状態でゆっくりと自家用車を転がしてクールダウンすることにより、エンジンを休ませてあげることができます。

あなたの肝臓や膵臓を休ませてあげるわけです。


その状態で走っている分には、駆動系の摩擦抵抗も問題になりません。

インスリン抵抗性も関係ないのです、食後高血糖はないのだから。


その状態で走っていれば、高速で転がされ続けてパンク寸前だったタイヤも次第に冷えてくるので、パンクを免れますし、すり減っていても安全に走り続けることができます。

繰り返されていた食後高血糖がなくなるので、血管の合併症がかなり回避できるということです。



これが、糖質制限するということです。

まずはこれを心に止めておいてください、走らせ続けて疲弊したマイカーのアクセルを踏むのをやめて、アイドリング程度でゆっくり転がしましょう、というスタンスです。

スピード出さずに、エンジンをいたわってあげましょうということです。


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もちろん、エンジンを回し続けるための最低量のガソリンは必要ですよね。

それはたんぱく質と脂質を摂取していれば、そちらから糖新生という手段で作り出すことができるので、食事でとる必要はない、というわけです。



そして、この記事と併せて、一部の患者さんたちが固執している「耐糖能」という概念についても別の記事で車のたとえ話で言及します。

⇒ 耐糖能の正体とは


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2015年5月10日 20:13

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コメント(2)

カルビンチョ先生、お久しぶりです。
いつの間にか、復活していたのですね、さらに、お元気そうでよかったです。

この、車を例にした最近の話たち、とても面白いです。また、個人的なことですが、レーシングカートなるもので、レースに夢中になって参戦していた若き日のことを思い出してしまいました。

そんな経験からですが、ゴールラインを通過することこそ、完走することこそがまずは大事なレースにおいて、エンジンやタイヤなどのコンディションに思い及ばないドライバーこそが、まさに、糖質中毒にやられている状態!?なのかな、な~んて、思ってしまいました。

そして、先生の最新記事にもあるように、そんな本質を理解できない、しようとしないで、享楽に勤しんでいるばかりだと、人生という名のレースも無事に完走出来るかどうかは、神のみぞ知る、ということになってしまうのでしょうね。

まあ、でも、そんなことも、将来、isp仕様の高性能エンジンや部品・タイヤなどが開発され、「インシュリンが出なくなった、ならば、膵臓交換だぜ。」とばかりに、あとは、ピット作業が順調に済めば、チェッカーフラッグを受けるまで、糖質摂取の全開に次ぐ全開が可能になるかもしれませんね。(笑)

いやいや、それでも、ドライバーが糖質中毒の怖いもの知らずだと、一番にチェッカーを受けるどころか、完走することも、不可能でしょうね。
本当の勇気と蛮勇を振るうの差は・・・、
とにかく、怖いもの知らずは、ロクな結果を生まないことが、レースの世界では知られていますからね。

いつの時代も、どんな世界でも、クレバーなことが大切で大事なことですもんね。

ご飯粒や麺類に負けず、パン類などの糖質にも負けない、あ~、そんな人に、私はなりたい、なんちゃってです。 ははは

でも、薬止めますか、それとも、人間やめますか、・・・じゃない、糖質制限止めますか、の選択で、躊躇なく糖尿病の薬を止めることが出来たのも、カルビンチョ先生方たちのブログなどの労作のお蔭だったものですから、当ブログの復活、よかったです。

これからも、先生のペースで、いろいろ、教えてくださいね。

冗談が過ぎていたら、ごめんなさいです、それでは。

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糖尿病の科学

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したがって、読まれた方の立場次第では、その記事では自分の存在を無視されているように感じる、配慮が足りないと感じられる記載内容があり得ます。
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