Top >> 糖尿病の科学 >>  新型人類から旧型人類が生まれるの、おかしくないよ

新型人類から旧型人類が生まれるの、おかしくないよ


糖質を毎日バカ食いしても糖尿病などの病気にならない人々
=新型人類(日本人全体の60%)

糖質を毎日バカ食いしたら糖尿病をはじめとするメタボもろもろの病気で悩む人々
=旧型人類(日本人全体の40%)

と、前の記事で決めつけて見ました(笑)。

⇒ 糖質食べても平気な人々
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat29/post_184.html


どうして糖質食べると病気になる人を旧型人類としたかというと、人類はもともと、糖質なんか主食にしていなかったからです。

糖質を主食にするようになったのは農耕文明が始まってからですね。

せいぜい1万年ほど前のことです。
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat10/5300.html

農耕文明が確立して数千年たって、農耕技術がレベルアップしたことで、「かなり確実に手に入る食料=備蓄した穀物」というライフスタイルがようやく確立します。

そうなると、食べるものがないときには「備蓄した穀物」を細々と食べて命をつなぐしかないわけです。

(そういう飢饉の気候では狩猟採集生活もままなりませんから)


と、考えると、「糖質ばっかり食べてると糖尿病になる」ようなやわな連中は、飢饉のたびに淘汰されるわけですよ。

糖質対応遺伝子を一つも持たない人類は病死していきます。

「糖質ばっかり食べても病気になりにくい」人類が効率よく生き延びるわけです。

(肥満遺伝子を持った人が生き延びるのと同じ発想です。)



で、毎日糖質ばかり食べて健康な私の両親のような人々は、「糖質摂取対応型遺伝子を持った新型人類」。

糖質制限しないと糖尿病が止められない私は「糖質摂取非対応の旧型人類」。


糖質を栄養として食べることができるようになったオオカミが犬になったという話にも似てますね。
http://xn--oqqx32i2ck.com/review/cat29/post_171.html

新型人類=犬

旧型人類=オオカミ

というわけです。

(・・・そういえば、ニホンオオカミって絶滅したんだったな(;´・ω・))



で、そのように定義したわけですが。

進化したはずの新型人類から、昔ながらの旧型人類ができてくるのはどういうわけだ?

そう思われた方もいらっしゃるかと思って、ちょっと簡単に遺伝学の説明を。



例えば、血液型がA型の男性とB型の女性から生まれた子供の血液型。

ABOでいえば何型になると思いますか?

答は、すべての血液型が生まれる可能性がある、です。


遺伝子は皆さん両親から受け継ぎますから、同じ遺伝子を2つもっています。

A型の遺伝子の人は、ほんとうはAA型、もしくはAO型です。

B型の遺伝子の人は、ほんとうはBB型、もしくはBO型です。


もしもAO型の人とBO型の人から子供が生まれたら、それぞれのどちらかの血液型遺伝子を引き継ぎますから、

AB型、そのままAB型
AO型、つまりA型
BO型、つまりB型
OO型、つまりO型

その4つのパターンが生まれるわけです。


たとえば、ここでA型とB型は糖質摂取対応遺伝子で、O型は糖質摂取非対応遺伝子だとしましょう。

そうすると、A型の父親もB型の母親も、糖質を食べても平気なわけです。

でも、もしもあなたがO型に生まれてしまったら、糖質を食べたら処理しきれないで高血糖になり、やがては2型糖尿病で苦しむ。

そういう考え方です。


だから、新型人類から旧型人類が生まれるわけです。

AO型やBO型の新型人類は、旧型人類の遺伝子型であるO型も持っているものの、それがA型やB型という優勢形質のおかげで見えないわけです。



・・・これはあくまでもわかりやすくたとえ話をしただけです。

実際には、糖質処理にかかわる酵素の遺伝子や、それらの作用点となる分子の遺伝子、あるいはインスリンからインスリン受容体への信号伝達経路など、数百の遺伝子が糖・脂質代謝にはかかわっているはずです。

それらの組み合わせの総和が、体質を決めます。


糖質を毎日バカ食いしても対応できる遺伝子の組み合わせとなる総和を持っている人

YellowLabradorLooking_new.jpg
=新型人類(わんちゃん) ・・・糖質制限しなくても病気になりにくい


糖質を毎日バカ食いしたら対応できない遺伝子の組み合わせとなる総和しか持ってない人

607px-Howlsnow.jpg
=旧型人類(オオカミ) ・・・糖質制限しないと病気になる


ということです。



よくご存じの人には釈迦に説法の無駄な記事となりましたが、遺伝学の話はずっと避けて通ってきた方々、参考にしていただけましたら幸いです。



最後に、この

「体質的に糖質対応可能な人とそうでない人がいる」

という概念。


私が勝手にここで書いているだけです。 ゞ(^^;)カッテニスルナ

教科書的に決まっていることだと思わないでくださいね。 





スポンサードリンク
2014年1月14日 20:46

スポンサードリンク

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://xn--oqqx32i2ck.com/mtos/mt-tb.cgi/292

コメント(4)

とても面白い記事で、笑いながら読ませて頂いております。
旧人類と新人類の定義が面白い。
いわゆる逆転の発想ですね。

いくら糖質を食べても大丈夫な人というのは、大変ビックリしました。
わたしは、
(こっそり、、、) 
バーンスタインの本をバイブルのようにして読んでいたので、なるほど
こういうふうにも考えることができるのだと、目からうろこでした。
(なにせ 今と違って最初は少数(=異端)派でした。)

時々、お邪魔させて下さい。

ゆるマクロビ、ゆる糖質制限など試していますが未だ全く効果の上がっていないO型人間です。糖尿病ではないものの、炭水化物が大好物なため、体重も体脂肪率もここ20年ほど、ずっと高めの水準を維持しています。一方、現代の日本では、炭水化物を用いた食品の方が比較的安く、広く普及しています。このような状況下でO型人間が健康を保とうとするのはなかなか大変です。
ところで、アルコール飲料も糖質を原料とするものが多いですが、日本人にはアルコールを分解できる酵素を持っている人が少ないそうです。私はアルコールもそれなりに嗜み、しかも顔色に出ないのでついつい飲みすぎてしまうため、これも体重の高水準維持に寄与しているものと思われます。ですがこれは私がアルコールを分解する酵素を持っているからこそできることで、O型であることとアルコールを分解する酵素を持っていることが同時に成立しているというのが時々不思議になります。
先生には今後是非、アルコール好きなO型人間のための糖質制限方法について考察していただきたいな、と密かに思っています。

コメントする

(お気軽にコメントして下さい☆丁寧にお答えします。コメントは承認されるまでは表示れませんが今しばらくお待ち下さい。)

糖尿病の科学

関連エントリー

糖尿病診断テスト75gOGTT(経口グルコース負荷試験)に潜むトリック
ネアンデルタール人と現生人類の分岐点に糖質摂取は関係するのか?
糖質制限すると耐糖能が落ちるから危険という耐糖能の正体とは?
糖質を60%摂取するのはアクセル全開で車を走らせるようなもの
糖質制限しても早朝空腹時血糖が高い・・・暁現象とソモジー効果
新型人類から旧型人類が生まれるの、おかしくないよ
いくら糖質を食べても大丈夫な人々
進化をやめたボノボたち
新世界より でんぷんより果物を選んだ結果
ヒトの唾液腺アミラーゼの発現調節領域の疑問
犬として生きる方が効率が良かった狼たち
日本人はでんぷんを食べるのに適した遺伝子を持っている?アミラーゼのコピー数の違い
新型糖尿病治療薬は新型コロナウイルスのターゲット
ケトーシスとケトアシドーシスの違いは何か? その2
ケトーシスとケトアシドーシスの違いは何か? その1
糖質負荷すると糖代謝能が上がるように見えるメカニズム
空腹と記憶力とインスリン
ヒートショックプロテインにちょっと手こずってます。白旗なう。
内臓脂肪とインスリン抵抗性と慢性炎症と熱ショックタンパク質に関して その2


プロフィール

carpincho3

50代の男性医師です。低糖質ダイエットを実践してその効果に驚き、このサイトを作りました。

連絡先はこちら↓
carpincho3blanco3@gmail.com 
(全角の@を半角の@に変えてください。)

私のブログをまったく読まずに一方的に質問を投げかけるのはおやめください。 いただく質問の答えは、ブログ内の記事、あるいはコメントでのやり取りに記載されている場合が多いと思います。 量が多くて読むの大変だから、ということであれば、知恵袋などの質問サイトをご利用なさってはいかがでしょうか。 また、コメントへの返信やメールへの返信は「無償の善意の第三者」としてやり取りさせていただいているつもりです。 自分の家臣に問いただす殿様みたいな非常識な投げかけは、ときに無視しますので、あしからずです。 コメントやメールには医学的に間違いないようにお答えしたいと思いますし、急に忙しくなって対応できないこともありますので時間がかかる場合があります、ご了承ください。


サイト内検索

当サイト内の記事を検索が出来ます。

記事総数: 291
コメント総数: 3303
スポンサードリンク
糖質制限関連おすすめ書籍
ウェブページ
リンク
読者の皆様へ

糖質制限がうまくいかない人は明らかに一定数存在しますし、その方々の存在を否定するつもりなど毛頭ありません。
人はそれぞれ遺伝子が違い、環境が違い、そのアプローチに挑むときの年齢や健康状態も違うのですから、同じことをしても同じ反応が出ないのは当然のことだと思います。 私も、そのことについては頻繁に言及しています。

しかし一方で、記事一つ一つは、異なる人へ向けての異なるメッセージです。
すなわち、個別記事というものは、どういう人々に何を伝えるか、ターゲットを明快にして書くものだと私は考えています。
そういうところでいちいち、しかし、例外はあります、とか言って全ての人に配慮した注釈を付けると、読む側もメッセージがなんなのかわからなくなります。

したがって、読まれた方の立場次第では、その記事では自分の存在を無視されているように感じる、配慮が足りないと感じられる記載内容があり得ます。
その場合、その記事はほかの人に向けられた記事であると、スルーしていただけたらありがたいです。

よろしくお願いします。

ぽっちゃりも糖質も菊芋におまかせ ↑宣伝ヽ(´▽`)/
スポンサードリンク